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外壁のメンテナンスコラム

  1. 外壁のメンテナンスコラム
  2. DIYで失敗しない!FRP防水のトップコートを塗り替える手順

DIYで失敗しない!FRP防水のトップコートを塗り替える手順

DIYで失敗しない!FRP防水のトップコートを塗り替える手順

こんにちは、ステップペイントの現場担当、土橋 昭です!

外壁塗装やリフォームの現場に立っていると、お客様から「ベランダの色あせや小さなひび割れが気になるんだけど、自分でなんとかならないかな?」というご相談をいただくことがあります。

「FRP防水のトップコートをDIYで塗り替え」と検索されている方は、まさに今、ご自宅のベランダやバルコニーの状態を見て、費用を抑えるためにご自身での塗装を検討されている最中かなと思います。

ですが同時に、塗り替えのやり方や難易度、そもそもDIYで失敗しないか、とても不安に感じていますよね。

特にFRP防水の場合、DIYの情報を調べると「研磨」や「アセトン脱脂」といった専門的な下地処理が出てきますし、「プライマー」は本当に必要なのか、塗り替え時期の目安が「5年」なのか「10年」なのか、情報が色々あって混乱してしまうかもしれません。

この記事では、そうした疑問や不安を解消できるように、私、土橋が現場の視点から、FRP防水トップコートの塗り替えDIYについて、基本からしっかり解説していきますね。

DIYできる限界の見極め方から、失敗しないための重要な手順まで、分かりやすくお伝えします!

記事のポイント

  • DIYできる劣化症状の見極め方
  • DIYの費用とプロ依頼の費用比較
  • 失敗しないための下地処理(研磨・アセトン)の重要性
  • 正しいトップコートの塗り方と手順
目次

FRP防水のトップコートをDIYで塗り替える際の基礎知識

まずは、DIYの作業に取り掛かる前に、「本当に自分でできる状態なのか?」を見極めるための基礎知識をしっかり押さえておきましょう。

この見極めを間違えると、せっかくのDIYが逆効果になってしまうこともあるので、とても大事なところですよ。

劣化症状とひび割れの見極め

FRP防水のメンテナンスで一番大事なのは、「DIYで対応できるのは、表面のトップコート層の劣化だけ」ということです。

その下の「防水層」本体までダメージが達している場合は、DIYでの補修は難しく、専門業者による診断と修理が必要になります。

ご自宅のベランダがどちらの状態か、まずはセルフチェックしてみましょう。

DIYで対応できる可能性のある症状

これらの症状は、FRP防水層本体を守っている「トップコート」が、紫外線や雨風、歩行による摩擦で劣化しているサインです。

この段階であれば、DIYで新しいトップコートに塗り替えることで、保護機能を回復させられる可能性が高いですね。

チョーキング(白亜化)

表面を手で触ると、チョークのような白い粉が付く状態。これは塗膜の樹脂が劣化して、顔料が粉状になって現れているんです。

トップコートが紫外線で劣化した初期サインですね。

色あせ・変色

全体的に色が薄くなったり、くすんだりしている状態。これも紫外線による塗膜の劣化が主な原因です。

ヘアクラック(微細なひび割れ)

髪の毛ほどの細いひび割れ(幅0.3mm未満が目安)。トップコート表面だけの浅いひび割れなら、塗り替えでカバーできる(塗料で埋まる)こともあります。

コケや藻の発生

トップコートの保護機能が落ちて表面がザラザラし、水分や汚れが溜まりやすくなっているサインです。

プロへの相談を強く推奨する症状

以下の症状が見られる場合、トップコートの下にあるFRP防水層本体が破損している可能性が非常に高いです。

この上からDIYでトップコートを塗っても、防水機能は回復しません。雨漏りの原因を放置することになり、最悪の場合、建物の構造体にまで水が回ってしまう危険性があります。

すぐに専門業者に相談してください。

FRP層(ガラス繊維)の露出

トップコートが完全に摩耗して、下のキラキラしたガラス繊維が見えている状態。ここまで来ると、防水層本体が直接ダメージを受けているので、塗り替えではなく防水層の補修が必要です。

深いひび割れ・亀裂

ヘアクラックとは明らかに違う、ミシッとした太いひび割れ。FRP防水層自体が建物の動きや劣化で断裂している可能性があり、ここから直接水が浸入します。

防水層の「浮き」や「膨れ」

歩くとフカフカする場所があったり、水ぶくれのように膨らんでいたりする状態。

これは、下地と防水層の間に入り込んだ水分が、太陽の熱で水蒸気になって防水層を押し上げている証拠です。膨れを切開して内部を乾燥させ、防水層を再施工する必要があります。

水たまりが長時間引かない

排水がうまくいかず、雨の後に数日間も水たまりが残る場合。防水層の劣化だけでなく、ベランダの床自体に歪みが出ている可能性も考えられます。

排水ドレン(排水口)周りの異常

排水口の周りが割れていたり、防水層との間に隙間ができていたりする場合。ドレン周りは雨漏りが最も発生しやすい箇所の一つで、DIYでの補修は非常に困難です。

劣化症状とひび割れの見極め
AIイメージ画像

塗り替え時期は5年?10年?

塗り替え時期について、「5年」と「10年」という2つの目安を聞いたことがあるかもしれません。「どっちが本当?」と迷ってしまいますが、実はどちらも間違いではありません。

これは「何を」メンテナンスするか、の視点が違うんですね。

  • 約5年~8年ごとトップコート(保護層)の塗り替え目安です。
  • 約10年~12年(環境により15年程度)FRP防水層(防水機能本体)の耐用年数(寿命)の目安です。

つまり、FRP防水というのは、「防水層本体(10年以上もつ)」を「トップコート(5年で劣化する保護膜)」で守っている構造なんです。

(参考:FRP防水工事施工指針・同解説(PDF)

トップコートは、FRP防水層の弱点である「紫外線」や「歩行による摩耗」から本体を身代わりになって守ってくれています。

そのため、もちろん日当たりや雨風の当たり方、ベランダを歩く頻度によって劣化のスピードは変わってきますが、目安として5年~8年も経つと徐々に劣化していきます。

そうやって、保護機能が失われていくんですね。

もし5年~8年ごとのトップコート塗り替え(数万円程度)を怠って10年以上放置してしまうと、防水層本体が傷んでしまいます。

そして、防水層自体のやり直し(部分補修や再施工)が必要になると、状態にもよりますが数万円~十数万円規模の、高額な工事が必要になってしまうんです。

ですから、10年以上もつ防水層本体の寿命をしっかり全うさせるために、5年~8年ごとを目安に保護膜であるトップコートを塗り替えてあげます。

これが、結果的に一番コストパフォーマンスの良い、理想的なメンテナンスサイクルになりますね。

Information

あくまで目安です。チョーキングや色あせなどの劣化サインが出たら、年数に関わらず点検・塗り替えを検討しましょう

塗り替え時期は5年?10年?
AIイメージ画像

DIYと業者の費用相場比較

やはりDIYを検討する一番の理由は、費用のことかなと思います。一般的なベランダ(約10平方メートル)を例に、おおよその費用目安を比較してみましょう。

ただし、これはあくまで一般的な目安です。材料のグレードや下地の劣化状況によって、費用は大きく変わってきますので、参考程度に見てくださいね。

施工方法費用相場(10㎡目安)メリットデメリット
DIY(トップコートのみ)約1.5万円 ~ 3万円前後
(材料+最低限の道具)
・材料費中心で抑えられる
・自分のペースで作業できる
・下地処理や計量を失敗すると短期で剥がれる
・有機溶剤の扱い・安全管理が自己責任
・保証がない
専門業者(トップコートのみ)約3万円 ~ 6万円前後・高圧洗浄・研磨・脱脂などを含めた適切な下地処理
・メーカー仕様に沿った施工で密着性・耐久性が期待できる
・施工保証が付く場合がある
・DIYより費用は高い
専門業者(防水層補修・再施工を含む)約8万円 ~ 15万円以上
(劣化状況により大きく変動)
・防水層本体の不良も含めて根本的に補修可能
・雨漏りリスクを抑えられる
・トップコートのみより高額
Information

相場は近年の各種専門業者サイトや相見積もり事例から見た一般的なレンジで、地域・劣化状況・材料グレードにより変動します。

DIYは材料費だけで済むのが魅力ですが、プロに頼む場合の費用には、材料費のほかに、人件費、高圧洗浄や研磨などの下地処理費、養生費、諸経費、そして「施工保証」などが含まれています。

もしDIYに失敗してしまった場合、その手直しで結局はプロに頼むことになり、「中途半端に塗られた塗膜を剥がす」という余計な作業費が発生します。

「最初からプロに頼むよりも費用が高くついた…」なんてことも、現場ではよくある話なんです。

DIYの失敗リスクと注意点

FRP防水のDIYで最も多い失敗は、すでにお話しした2つのパターンです。

  1. 数ヶ月で塗膜がパリパリ剥がれてくる
  2. いつまでも表面がベタベタする(硬化不良)

1の「剥がれ」は、ほぼ100%、下地処理の失敗が原因です。

特に、後ほど詳しく説明する「研磨(目荒らし)」や「アセトン脱脂」といった作業を手抜きしてしまうと、新しいトップコートが古い防水層にしっかり食いつかず、簡単に剥がれてしまいます。

剥がれた箇所から水が浸入し、DIY前よりも状況が悪化することもあります。

2の「硬化不良」は、トップコートの主剤と硬化剤の計量ミスや、雨の日や湿度の高い日(湿度85%以上)に作業してしまったことが原因で起こります。

FRPトップコートは化学反応で硬化するので、この条件が揃わないと固まらないんです。

こうなると、ベタベタを取り除くのは非常に大変で、専門業者がアセトンやシンナーで拭き上げる作業が必要になり、当然、追加の費用が発生してしまいます。

FRP防水のトップコートは、ペンキを塗るような簡単な「塗装」とは違い、化学反応を伴う「専門作業」に近いものです。

安易に考えると、大切なベランダを傷めてしまうリスクがあることを知っておいてくださいね。

ベランダ塗装の難易度は?

ここまで読んでいただくとお分かりかもしれませんが、FRP防水トップコートのDIYは、「塗装の難易度」というより、「下地処理の難易度」が非常に高いです。

ホコリが舞う中での研磨作業や、アセトンのような有機溶剤の取り扱い(火気厳禁・換気必須)、化学反応の管理(計量・気温・湿度)など、体力的な負担も、知識的なハードルも高いと言えますね。

私個人の意見としては、塗装のDIYとしては最上級クラスの難易度かなと思います。

DIYでFRP防水のトップコートを塗り替える実践手順

基礎知識やリスクを理解した上で、「それでもDIYに挑戦したい!」という方のために、ここからは具体的な実践手順を解説していきます。

成功の鍵は、どの工程も絶対に飛ばさず、丁寧に作業することです。

必要な道具と材料リスト

まずは準備が肝心です。ホームセンターや専門のネット通販などで揃えましょう。

FRP防水用の「DIYキット」として売られているものを選ぶと、必要なものが一通り揃うので便利かもしれませんね。

必要な材料

FRP防水用トップコート(主剤・硬化剤セット)

既存のFRP防水に適合する、「FRP用」や「防水トップコート用」と明記された改修用のトップコートを選んでください。

一般的には2液型のポリエステル系や、FRP改修用のウレタン系などがありますが、一番大事なのは、必ず使用する製品のカタログや施工要領書(仕様書)をよく読むことです。

(参考:ジョリエース JA-280 カタログ(アイカ工業/PDF)

そして、既存のFRP防水層との相性が確認されているものを選ぶことです。製品によってプライマーの要否なども変わってきますから、ここはしっかり確認してくださいね。

アセトン

4L缶など、多めに用意しておくと安心ですね。研磨後の脱脂にたっぷり使い、表面の油分やワックス分(パラフィン)を拭き取ります。

ただし、ここで一番大事なのは、「必ず使用するトップコートやプライマーのメーカー仕様書で指定された溶剤」を使うことです。

一般的にはアセトンが指定されることが多いですが、指定外の一般的な塗料用シンナーやアルコールでの代用は避けてください。

もし既存のFRP防水層との相性が悪いと、表面を溶かしたり軟化させたりする失敗にも繋がりますから、必ず使用する製品の仕様書に従いましょう。

FRP用プライマー

下地との密着性を高めるために推奨します。これも「FRP用」を選びましょう。

ウエス(使い捨ての布・タオル)

大量に必要です。アセトン脱脂で惜しみなく使います。

マスキングテープ、養生シート(マスカー)

塗装しないサッシ周りや壁を保護します。

サンドペーパー(#80~#120あたり)または研磨ディスク

研磨(目荒らし)用です。粗めのものが必要です。

洗浄剤(中性洗剤やベランダ用クリーナー)

高圧洗浄機がない場合、デッキブラシでの洗浄時に併用します。

必要な道具

  • 電動サンダー
    研磨作業の効率と品質を考えると、ほぼ必須です。手作業での研磨は非常に過酷で、研磨不足になりがちです。
  • ローラーハンドル、ローラー(短毛タイプ)
    トップコートは薄く均一に塗るため、毛足の短い(短毛)ローラーを選びましょう。
  • 刷毛(隅や細かい部分用)
    溶剤(アセトンなど)に強いタイプを選びましょう。
  • 塗料バケツ、攪拌(かくはん)棒
    トップコートを調合するために使います。
  • 電子はかり(または計量カップ)
    硬化剤の計量に。料理用でも構いませんが、0.1g単位で計れると安心です。

安全のための保護具(必須)

アセトンやトップコートは有機溶剤を含み、研磨では大量の粉塵が出ます。健康を守るために、以下の保護具は必ず着用してください。

  • 防毒マスク(有機溶剤用)
    粉塵用マスクでは有機溶剤の蒸気は防げません。
  • 保護ゴーグル
    アセトンや硬化剤が目に入るのを防ぎます。
  • 耐溶剤性手袋(ニトリルゴム製など)
    通常のゴム手袋はアセトンで溶けることがあります。
必要な道具と材料リスト
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下地処理の手順(研磨とアセトン)

ここがDIYの成否を分ける最重要工程です。全工程の9割はここで決まると思ってください。この作業が面倒だからと手を抜くと、100%失敗します。

1. 高圧洗浄・清掃

まずは高圧洗浄機、なければデッキブラシと水で、ベランダ表面の汚れ、コケ、古い塗膜の浮いた部分を徹底的に洗い流します。

(高圧洗浄の重要性については、外壁塗装工事で行う高圧洗浄作業の所用時間や当日の注意点を解説の記事もご参照ください。外壁の話ですが、汚れを落とす基本は同じです。)

2.完全乾燥

洗浄後は、表面が乾いて見える状態から、さらに時間を置いて下地内部までしっかりと乾燥させます。

目安として天気の良い日に最低1日以上、湿度が高い日や雨が続いた後などは、2〜3日以上と、乾燥期間を長く取る必要があります。

水分が残っていると、研磨もできませんし、塗膜の膨れや早期剥離の最大の原因になります。

3. 研磨(目荒らし)

表面が完全に乾いたら、電動サンダー(または手作業でサンドペーパー)を使って、ベランダの全面を研磨します。

目的は2つです。

  • 古いトップコートの劣化した層(チョーキング層など)を削り落とす。
  • 表面に細かな傷をつけ、新しい塗料の「食いつき」を良くする(足付け・目荒らし)。

「もったいない」と思わず、表面全体が白く毛羽立つくらいまで、均一に、しっかりと研磨してください。

特に隅や端は研磨不足になりやすいので、意識して行いましょう。この作業が甘いと、塗料は必ず剥がれます。

⒋ 清掃(粉塵除去)

研磨で出た大量の粉塵を、ほうきや掃除機で徹底的に取り除きます。粉が残っていると、この後のアセトン脱脂の効果が半減しますし、塗料に混ざって仕上がりも汚くなります。

⒌アセトン脱脂(最重要)

清掃が終わったら、プライマーを塗る直前(またはプライマー不要の仕様の場合はトップコートを塗る直前)に、アセトン脱脂を行います。

目的は、FRP防水の表面に残っている目に見えない油分や、既存のトップコートに含まれるワックス成分(パラフィン)を完全に除去することです。

実は、FRP防水のトップコートには、硬化後に表面に浮き出てきて空気(酸素)を遮断し、完全硬化を促すための「パラフィン(ワックス)」という成分が含まれていることが多いんです。

これが残っていると、新しい塗料の密着を強力に妨害します。このパラフィンや油分を溶解除去できるのが「アセトン」なんですね。

一般的なアルコールや塗料用シンナーでは、この脱脂が不十分になる可能性があります。

やり方は、キレイなウエスにアセトンを染み込ませて、ベランダ全体を拭き上げていくだけです。ただし、ポイントがあります。

  • ウエスはすぐに汚れます。ケチらずに、常にキレイな面・新しいウエスに交換しながら拭き進めてください。(汚れたウエスで拭くと、油分を塗り広げているだけになります)
  • アセトンはすぐに揮発します。拭いたらすぐに乾くので、乾燥時間は不要です。
下地処理の手順(研磨とアセトン)
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プライマー塗布のコツ

「プライマー(下塗り材)は必要ですか?」という質問も多いですね。

たしかに、FRP防水の塗り替えでは、塗料メーカーの仕様書(カタログ)で「研磨(サンディング)+アセトン脱脂のみで塗装可」とされているケースがあります。

そうした場合は、条件を満たせばプライマーが不要なこともあります。

ですが、DIYで仕様書通り「完璧な下地処理」を行うのは正直かなり難しいですし、現場でよくあるのが「今塗られている古いトップコートの種類が何なのか分からない」というケースです。

密着不良のリスクを確実に減らすためにも、「(これから塗る)トップコートのメーカーが指定している専用のプライマー」をセットで併用することを、私としては基本方針として強く推奨しますね。

プライマーは、下地とトップコートを繋ぐ「接着剤」のような役割を果たします。下地の吸い込みを止めたり、研磨で弱った下地を固めたりする効果もあるんです。

塗り方のコツは、「薄く均一に」です。厚く塗りすぎると、逆に乾燥不良や剥がれの原因になることもあるので注意してくださいね。

塗料の説明書に書かれている乾燥時間を必ず守ることも大切です。

トップコートの塗り方

プライマーがしっかり乾燥したら(製品によりますが数時間)、いよいよトップコートを塗っていきます。ここからは時間との勝負ですよ。

1. 調合(計量)

トップコートは、主剤と硬化剤を混ぜて使う「2液型」が基本です。この2つを混ぜた瞬間から硬化が始まるため、塗り切れる分だけ(例えば1〜2㎡分ずつ)を都度作るようにしましょう。

一度混ぜると化学反応は止められません。混ぜてから硬化が始まって使えなくなるまでの時間を「ポットライフ(可使時間)」と呼びますが、気温が高い夏場は短く、冬場は長くなります。

一番の注意点は、硬化剤の比率を電子はかりなどで「正確に」計量することです。

主剤1kgに対して硬化剤1%(10g)など、製品によって厳密に決まっています。目分量は絶対にダメですよ。比率が狂うと、硬化不良(ベタベタ)の原因になります。

2. 塗装(1回目)

調合したら、まずは刷毛を使って、壁際の立ち上がりや排水溝の周りなど、ローラーが入りにくい「隅(すみ)」の部分から塗っていきます。

その後、ローラーを使って広い平面を塗っていきましょう。塗る際は、塗料を配るように広げ、薄く均一になるように意識してください。厚塗りはムラの原因になります。

3. 塗装(2回目)

1回目の塗装が指で触っても付かない程度(指触乾燥)になったら(気温によりますが1〜2時間程度が目安)、同じ手順で2回目の塗装を行います。

2回塗ることで、塗りムラがなくなり、防水層を保護するために必要な膜厚(塗膜の厚み)が確保できます。

完全に硬化・乾燥するまでは、ベランダに入らないように注意してくださいね(軽歩行が可能になるまで、目安として24時間程度は見ておきましょう)。

トップコートの塗り方
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安全作業のための最重要注意事項

FRP防水のDIYでは、アセトンやトップコート(主剤・硬化剤)といった化学製品を扱います。これらは非常に引火しやすく、健康に有害な蒸気を発生させます。

安全対策を怠ると、火災や中毒事故に繋がるため、以下の点を絶対に守ってください。

⒈火気厳禁・静電気対策

作業中はタバコ、コンロ、給湯器の種火など、すべての火気を絶対に厳禁としてください。

アセトンやトップコートの蒸気は空気より重く、低い場所に溜まります。離れた場所の火種でも引火する危険があります。

また、静電気の火花でも引火する恐れがあります。作業前は金属に触れて体の静電気を放電し、化学繊維の服を避けるなどの対策も有効です。

⒉換気と保護具の徹底

蒸気を吸い込むと有害(眠気、めまい、頭痛、吐き気など)ですので、安全装備は必須です。

  • 有機ガス用防毒マスク
    粉塵用ではなく、必ず有機溶剤用の吸収缶が付いたタイプを使用してください。
  • 保護ゴーグル
    アセトンや硬化剤が目に入るのを防ぎます。
  • 耐溶剤性手袋
    ニトリルゴム製など。通常のゴム手袋はアセトンで溶けることがあります。

これらを必ず着用してくださいね。当日はベランダの窓や扉をすべて開け放ち、可能であればサーキュレーターや扇風機などで風の流れを作って、常に十分な換気を行ってください。

⒊SDS(安全データシート)の確認

アセトンやトップコートなどの化学製品を購入したら、作業前に一度、「SDS(安全データシート)」をメーカーのホームページなどで確認することをおすすめします。

これは、その製品の「安全な取り扱い説明書」のようなもので、より詳しい危険性や応急処置、保管方法が書かれています。(「(製品名) SDS」などで検索すると見つかることが多いです)

DIYで行うFRP防水トップコートの塗り替えのまとめ

DIYで行うFRP防水トップコートの塗り替えは、いかがでしたでしょうか。

結論としては、DIYは「可能」ですが、成功の鍵は「塗装」そのものよりも、面倒で大変な「下地処理(研磨とアセトン脱脂)」にある、ということが伝われば嬉しいです。

DIYを成功させるためのポイントをもう一度おさらいしますね。

DIY成功のためのチェックリスト

  • 防水層本体(浮き・膨れ・深いひび割れ)に異常がないか?(あればDIY不可)
  • 天候は良いか?(雨の日、高湿度の日はNG)
  • 気温は低すぎないか?(目安として5°C以下では硬化不良のリスクあり)
  • 安全装備(防毒マスク、ゴーグル、耐溶剤手袋)は揃っているか?
  • 下地処理(高圧洗浄→完全乾燥→研磨→清掃)を徹底できるか?
  • アセトン脱脂(火気厳禁・換気必須)を正しく行えるか?
  • トップコートの調合(計量)を正確に行えるか?
  • (最重要)使う材料すべての「施工要領書」や「SDS」を読み、指示された使い方(配合比・乾燥時間など)と安全対策を守れるか?

この記事で紹介した「DIYできる症状」と「プロに任せるべき症状」をしっかり見極めていただき、もし「あ、うちのベランダはDIYじゃ無理かも…」「こんなに大変だとは思わなかった…」と感じたら、絶対に無理はしないでくださいね。

中途半端なDIYで状態を悪化させてしまうと、かえって修理費用が高額になってしまいます。

「うちの場合はどうかな?」「ちょっと見てほしい」など、FRP防水のトップコート塗り替えやDIYに関して不安な点があれば、私たちステップペイントはいつでもご相談に乗りますよ。

お気軽にお声がけくださいね!

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