
「いざ足場が取れてみたら、思っていた色と全然違う!」外壁塗装の現場で、お客様から最も多くいただくご相談のひとつが、この色に関するトラブルです。
小さなサンプルを見て悩みに悩んで決めたはずなのに、なぜ仕上がりのイメージがズレてしまうのでしょうか。
実はこれ、皆さんの目が悪いわけでも、塗料の品質が悪いわけでもありません。色の見え方には、面積の広さや太陽光の当たり方など、環境によって大きく変わる不思議な性質があるのです。
この記事では、私たち現場の人間だからこそ知っている、色が違って見える原因と、後悔しないための具体的な対策についてお話しします。
長年現場を見てきた私が、プロの視点から「色の真実」を包み隠さずお伝えしますので、ぜひ最後までお付き合いください。
記事のポイント
- サンプルと実際の壁で色が違って見える「面積効果」の正体がわかります
- 太陽光や時間帯によって色の見え方がどう変わるか理解できます
- 色選びで失敗しないための、プロが実践するテクニックを学べます
- 万が一イメージと違った場合の、現実的な対処法と費用負担について知ることができます
- 1. 外壁塗装のサンプルと色が違う原因と対策を徹底解説
- 1.1. 面積効果が最大の原因?色の見え方の錯覚
- 1.1.1. 面積効果のルール
- 1.2. 太陽光や環境が色に与える影響とは
- 1.2.1. メタメリズム(条件等色)と時間帯による変化
- 1.3. 小さい色見本は危険?大きなサンプルで確認
- 1.3.1. 正しいサンプルの確認方法
- 1.4. 色選びシミュレーションの落とし穴
- 1.4.1. モニターと現実の色の違い
- 1.5. 塗装の上塗りで色が濃くなる現象の真実
- 1.5.1. 色が濃く見える主な理由
- 1.5.1.1. 塗膜の厚みと隠蔽性
- 1.5.1.2. 乾燥による変化(ウェット&ドライ)
- 1.5.1.3. 艶(ツヤ)の影響
- 1.6. 失敗ブログから学ぶ色選びの注意点
- 1.7. 人気色の画像だけで判断するのはNG
- 1.7.1. 写真は真実を写さない?
- 1.8. グレー塗装でサンプルと色が違う事例
- 1.8.1. グレーの見え方のクセと対策
- 2. 外壁塗装でサンプルと色が違う時の対処法と防止策
- 2.1. 仕上がりが気に入らない時はどうすればいい
- 2.2. 色トラブルで業者にクレームは言える?
- 2.2.1. 業者の明らかなミスの場合
- 2.2.2. 「イメージと違う」場合は「相談」スタンスで
- 2.3. 塗り直しは可能?費用負担の境界線
- 2.3.1. 現場からのアドバイス
- 2.4. 工事の途中で色変更はできるのか
- 2.4.1.1. 塗料発注前
- 2.4.1.2. 塗料発注後・納品後
- 2.4.1.3. 中塗り後
- 2.5. 知恵袋でも相談が多い色選びの悩み
- 2.6. ツートンカラーでの配色失敗を防ぐコツ
- 2.6.1. ツートン成功の秘訣
- 2.6.1.1. 同系色でまとめる
- 2.6.1.2. 比率を考える(6:4〜7:3)
- 2.6.1.3. サッシ(窓枠)の色を意識する
- 2.7. 塗装の色が違うと感じたらすぐに相談
- 2.8. 外壁塗装でサンプルと色が違う事態を防ぐ
外壁塗装のサンプルと色が違う原因と対策を徹底解説
「カタログで見たときは素敵なカフェオレ色だったのに、実際に塗ったらただの白に見える…」こうした色のギャップは、実は私たちプロの塗装職人でも、常に気をつけていないと起こりうる現象です。
なぜサンプルと実際の壁でこれほどまでに印象が変わってしまうのか。まずはその根本的な原因である、人間の目の錯覚や環境要因について、現場の経験を交えながら掘り下げて解説していきますね。
面積効果が最大の原因?色の見え方の錯覚
「面積効果」という言葉、聞いたことがありますか?これが、外壁塗装で「色が違う!」と感じる最大の犯人と言っても過言ではありません。
簡単に言うと、「同じ色でも、面積が大きくなると見え方が変わる」という目の錯覚のことです。色の面積効果は色彩学の基礎でもあり、私たちプロは常にこの効果を計算に入れて提案を行っています。
具体的には、以下のような現象が起こります。
面積効果のルール
- 明るい色(白やベージュなど)
面積が広がると、光の反射量が増えるため、より明るく、鮮やかに見えます。「淡いクリーム色」を選んだつもりが「真っ白」に見えるのはこのためです。 - 暗い色(黒やダークブラウンなど)
面積が広がると、光を吸収する面積が増えるため、より暗く、重く見えます。「チャコールグレー」が「漆黒」に見えることがあります。
例えば、手元の小さな色見本(3cm角程度)で「これくらいの落ち着いたベージュがいいな」と思って選ぶと、実際に100㎡以上の外壁に塗った時には明度(明るさ)と彩度(鮮やかさ)が数段上がって感じられます。
逆に、シックな濃い色を選んだ場合、サンプルでは感じられた微妙なニュアンスが消え、単なる「黒い塊」のような圧迫感が出てしまうこともあります。
私たちはこの現象を考慮し、以下の調整をご提案することが多いです。
- 明るい色の場合: イメージよりワントーン暗め(濃いめ)を選ぶ
- 暗い色の場合: イメージよりワントーン明るめ(薄め)を選ぶ
これを計算に入れることで、広い壁に塗ったときに「思った通りの色」に着地させることができます。

太陽光や環境が色に与える影響とは
色の見え方は、それを照らす「光」によっても劇的に変化します。多くのお客様は、色選びの打ち合わせをリビングなどの室内で行いますが、これが大きな落とし穴なんです。
室内の蛍光灯やLED照明の下で見る色と、太陽光の下で見る色では、まったく別物に見えることがあります。これは専門用語で「メタメリズム(条件等色)」と呼ばれる現象などが関係しています。
少し難しい言葉ですが、要するに「室内では見本と同じに見えたのに、外の光だと違った色に見えてしまう」という、光源の違いによる色のズレのことなんです。
メタメリズム(条件等色)と時間帯による変化
特にグレー系やベージュ系の中間色は、光の色温度の影響を強く受けます。
- 朝・昼(自然光)
青みがかった白い光のため、色は比較的クリアに、青み寄りに見えます。 - 夕方(西日)
赤やオレンジの光が強いため、壁全体が赤みを帯び、ベージュやブラウンはより濃厚に、グレーは紫がかって見えることがあります。
また、周囲の環境も重要です。
例えば、お隣の家の外壁が鮮やかなオレンジ色だったり、庭に緑豊かな植栽があったりすると、その色が反射して外壁に映り込み、本来の色とは違った色味に見えてしまうことがあります(環境反射)。
「南面は理想通りだけど、北面は日陰になってなんだか青っぽく寒々しく見える」なんてことが起こるのも、この光と環境のいたずらなんですね。
小さい色見本は危険?大きなサンプルで確認
塗料メーカーのカタログについている色見本チップ、あれは本当に小さいですよね。せいぜい数センチ角の大きさで、家全体のイメージを膨らませるのは至難の業です。
先ほどお話しした「面積効果」の影響もあり、あの小さなチップだけで色を決めてしまうのは、正直おすすめできません。チップの下地が白い紙であることも、対比効果で色を濃く見せてしまう一因となります。
私が現場で必ずおすすめしているのは、「A4サイズ以上の塗り板見本(サンプル板)」を取り寄せることです。
実際の塗料を塗った板なので、質感や艶の感じもわかりますし、何より面積が大きいのでイメージのズレが少なくなります。この見本板を、実際に外壁に当てて確認することが重要です。
正しいサンプルの確認方法
カタログの色見本は「印刷インク」であることが多く、実際の「塗料」とは発色が微妙に異なります。
- 壁に立てかける
地面に置いて見下ろすのではなく、垂直な壁に立てかけて、少し離れて見てください。光の当たり方が実際の外壁と同じになります。 - 時間帯を変える
晴れた日の昼間だけでなく、曇りの日や夕方にも確認すると安心です。 - 場所を変えて見る
日向(南面)と日陰(北面)の両方で確認すると安心です。
(参考:日本ペイント株式会社『色見本帳に載っている小さなサンプルでは色を選びにくい。もっと大きな無償サンプルが欲しい。』)

色選びシミュレーションの落とし穴
最近はパソコンやタブレットを使った「カラーシミュレーション」が普及していて、とても便利ですよね。ご自宅の写真を取り込んで、着せ替え人形のように色を変えられるので、全体の配色バランスを見るには最適です。
ですが、これを「絶対的な色の正解」だと思ってしまうと非常に危険なんです。
モニターと現実の色の違い
- モニター(RGB)
バックライトで発光しているため、鮮やかで透明感のある色に見えます。 - 実際の外壁(顔料)
太陽光を反射して色を見せるため、モニターよりも落ち着いた、やや「くすんだ」色に見えることがほとんどです。
特に、鮮やかなブルーやグリーン、パステルカラーなどは、モニター上の色をそのまま塗料で再現するのが難しい領域です。
また、外壁の凹凸(テクスチャ)も影響します。
例えばALC外壁やサイディングのように凹凸がある素材は、表面に無数の「小さな影」が落ちるため、シミュレーションのベタ塗り画像よりも実際は暗く・濃く見えます。
シミュレーションはあくまで「色の組み合わせを確認するツール」と割り切り、最終決定は必ず実物のサンプルで行うのが鉄則ですね。
ALC外壁などの特性については、『ALC外壁の後悔はメンテ次第!現場担当が解説』の記事でも詳しく解説しています。
塗装の上塗りで色が濃くなる現象の真実
「塗装工事の途中を見たときはもっと薄い色だったのに、完成して足場が取れたら色が濃くなった気がする」
ごく稀にですが、こういったお声をいただくことがあります。これにはいくつかの物理的な理由が考えられます。
色が濃く見える主な理由
塗膜の厚みと隠蔽性
下塗り、中塗り、上塗りと層を重ねることで、塗料の「隠蔽力(下地を隠す力)」が高まります。特に黄色や赤などの透けやすい色の場合は、しっかりと規定回数を塗り重ねることで、本来の深い色味が発色します。
乾燥による変化(ウェット&ドライ)
水性塗料などは、塗った直後の水分を含んだ状態(ウェット)と、乾燥して樹脂が硬化した状態(ドライ)で色が変化します。一般的には、乾くと色が締まって、少し濃く落ち着いて見える傾向があります。
艶(ツヤ)の影響
艶あり塗料の場合、光を強く反射します。角度によってはハレーションを起こして白っぽく見えますが、正面から見ると影のコントラストが強くなり、結果として色が濃く感じられることがあります。
これらの理由で多少印象が変わること自体は施工不良ではなく、塗料が正常に膜を形成しているサインですのでご安心ください。ただ、あまりにもイメージと違う場合は、遠慮なく職人に聞いてみてくださいね。

失敗ブログから学ぶ色選びの注意点
これから塗装をする方には、ぜひ他の方が書いた「外壁塗装の失敗談ブログ」などを読んでみることをおすすめします。
「サンプルと色が違う!」という悲鳴にも似た体験談は、私たちプロにとっても参考になる「生の声」であり、宝の山なんです。
よくある失敗パターンとその対策をまとめてみました。
| 失敗パターン | 原因と教訓 |
|---|---|
| 思ったより派手になった | 原因:小さなサンプルで「きれいな色」を選びすぎた。 対策:外壁において「鮮やかさ(彩度)」は強敵です。自分が思うよりも「少しグレーがかった、くすんだ色」を選ぶのが、上品に仕上げるコツです。 |
| 汚れが目立つ | 原因:真っ白や真っ黒を選んでしまった。 対策:純白や漆黒は、砂埃や排気ガスの汚れが目立ちます。少しベージュやグレーが混ざった「オフホワイト」や「ダークグレー」の方が、汚れは馴染んで目立ちにくいです。 |
| 近所で浮いてしまった | 原因:自分の家のことしか見ていなかった。 対策:色は周辺環境との「調和」が命です。ご近所の家や街並みのトーンを観察し、そこから浮かない色を選ぶのがマナーであり、失敗しない秘訣です。 |
ただし、ブログ主さんの家の環境(日当たりや周りの建物)と、ご自宅の環境は違います。
「この色番号(例:ND-105)は失敗するらしい」と情報を鵜呑みにせず、「なぜ失敗したと感じたのか」という理由の部分を参考にすると良いですよ。
人気色の画像だけで判断するのはNG
「Instagram」や「Pinterest」などで「外壁塗装 人気色」と検索すると、おしゃれな施工事例がたくさん出てきますよね。
「わぁ、この色素敵!うちもこれにしたい!」と、画像を見せて指名買いされるお客様も増えています。ですが、ここにも大きな注意が必要です。
写真は真実を写さない?
SNSの写真は、見栄えを良くするためにフィルター加工されていたり、プロのカメラマンが一番きれいに見える天気・時間帯を狙って撮影していたりします。
また、皆さんが見ているスマホの画面設定(明るさや色合い)によっても、色は違って見えます。「ナイトモード」になっていれば黄色っぽく見えますよね。
「画像通りの色」を塗料で再現するのは、実はプロでも非常に難しいことなんです。画像はあくまで「イメージの方向性(ナチュラル、モダンなど)の共有」に使い、実際の色決めは必ず実物の塗料サンプルで行うようにしましょう。

グレー塗装でサンプルと色が違う事例
最近、都会的でスタイリッシュな「グレー」の外壁が大人気ですが、実はグレーこそ「色が違う」トラブルが起きやすい色なんです。
グレーは無彩色(色味のない色)のはずですが、人間の目や脳は不思議な補正を行います。特に屋外では、空の色を拾ってしまうのです。
グレーの見え方のクセと対策
- 青く見える
晴れた日、空の青い光を反射したり、日陰に入って色温度が高くなると、薄いグレー(ライトグレー)は驚くほど「青っぽく」見えることがあります。 - 紫に見える
赤みを含んだグレー(ウォームグレー)の場合、夕日などの影響で紫っぽく感じられることがあります。
「コンクリートのような無機質なグレー」を目指していたのに、「なんだか青っぽい安っぽい色になった」という失敗例は少なくありません。
これを防ぐには、日本塗料工業会の色見本帳にあるような色味を持たない無彩色のグレー(N系)だけでなく、少し黄色や茶色を含んだグレー(グレージュ系)も候補に入れてみてください。
黄みを入れることで青みを打ち消し、屋外で見たときに「ちょうどいいグレー」に見えることが多いのです。
(参考:一般社団法人 日本塗料工業会「塗料用標準色 2024年P版」)
外壁塗装でサンプルと色が違う時の対処法と防止策
ここまでは原因についてお話ししてきましたが、ここからは「じゃあ、実際に色が違うと感じてしまったらどうすればいいの?」「防ぐにはどう動けばいいの?」という、より実践的な対処法について解説します。
現場に立つ私たちが、お客様と一緒にトラブルを解決してきた経験をもとにお伝えします。
仕上がりが気に入らない時はどうすればいい
足場が解体される前、あるいは塗装の途中で「あれ?色が違うかも…」と思ったら。まずは一人で悩まず、すぐに現場の職人か営業担当に相談してください。これが鉄則です。
「クレーマーだと思われないかな…」「職人さんに悪いかな…」と遠慮してしまう気持ち、痛いほどわかります。
でも、足場を解体してしまってからでは、手直しをするにも再度足場代(一般的な戸建てで15〜25万円程度)がかかってしまい、費用も時間も膨大になってしまいます。
まずは「自分のイメージとどう違うのか(明るすぎる、青っぽいなど)」を具体的に伝えて、現場で一緒に確認してもらうことが解決への第一歩です。
日向と日陰でどう見えるか、一緒に確認することで、業者側も対策を考えやすくなります。

色トラブルで業者にクレームは言える?
「色が違う」という理由でクレームを言えるかどうかは、その原因が「契約違反」にあるかどうかが分かれ目になります。
業者の明らかなミスの場合
指定した色番号(例:ND-105)と、実際に現場に搬入され塗られた塗料缶の色番号(例:ND-110)が違っていた場合は、完全に業者の施工ミス(契約不履行・契約不適合)です。
これは堂々と是正を求めて、無償での塗り直しを要求できます。証拠として、使用した塗料缶の写真を撮っておくのも有効です。
「イメージと違う」場合は「相談」スタンスで
色番号は契約通り合っているけれど、「思っていた雰囲気じゃない」「サンプルと違って見える」という場合は、残念ながら法的な意味での「瑕疵(欠陥)」には当たらないことがほとんどです。
この場合、一方的に業者を責めて塗り直しを強要するのは難しく、あくまで「相談」という形で解決策を探りましょう。
なお、トラブルを避けるためにも、契約書や打ち合わせ記録(色決め時の仕様書)は必ず手元に保管しておきましょう。
もし、業者と話し合っても解決が難しい場合は、お住まいの自治体の消費生活センターや、独立行政法人国民生活センターなどの公的な相談窓口に相談する方法もあります。
(参考:訪問販売によるリフォーム工事・点検商法(各種相談の件数や傾向)国民生活センター)
塗り直しは可能?費用負担の境界線
「どうしても色が気に入らないから塗り直したい!」となった場合、その費用は誰が持つのでしょうか。先ほど触れた通り、業者の発注ミス・施工ミスであれば、当然業者の全額負担です。
しかし、色番号通りに塗られているのに「イメージ違い」で塗り直す場合は、原則としてお客様(施主様)の負担となります。
新たに発注する塗料代、職人の人件費、工期が延びることによる足場の延長料金などが発生します。全面塗り直しとなると、数十万円の追加費用がかかることも覚悟しなければなりません。
現場からのアドバイス
ただ、私たち業者としても「お客様に喜んでほしい」「笑顔で引き渡したい」という気持ちは変わりません。
例えば「材料費(塗料の実費)だけ負担していただければ、職人の工賃はサービスします」といった折衷案を提案できるケースもあります。
頭ごなしに怒るのではなく、「困っている」「どうにかしたい」というスタンスで相談していただけると、私たちも社内で掛け合いやすく、協力しやすいのが本音です。

工事の途中で色変更はできるのか
「下塗りが終わった段階で、やっぱり色を変えたい!」これはタイミング勝負です。早ければ早いほど、費用の負担は少なくて済みます。
塗料発注前
もちろん無料で変更可能です。ギリギリまで悩んで大丈夫です。
塗料発注後・納品後
塗料は受注生産(調色)が多いため、一度発注すると返品がききません。既に発注した塗料代(材料費)はお客様負担になりますが、変更自体は可能です。
中塗り後
通常は「中塗り」と「上塗り」で同じ色を使いますが、上塗りの色だけを変えることも技術的には可能です。
ただし、下地の色(中塗り)が透けてしまったり、塗料本来の耐久性能が出なかったりするリスクがあるため、あまり推奨はできません。この場合も、追加の塗料代や手間賃がかかる可能性が高いです。
知恵袋でも相談が多い色選びの悩み
Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトを見ると、「外壁塗装の色がサンプルと違う」という相談がたくさん寄せられています。「業者は乾けば色は落ち着きますよ」と言うけれど本当?」といった不安の声も多いですね。
確かに、水性塗料は水分が蒸発して乾燥すると、樹脂の密度が高まり色が若干濃くなります。ですが、「白だと思っていたのにグレーだった」といった劇的な色の変化はしません。せいぜい微調整レベルです。
知恵袋の回答者は一般の方も多く、必ずしも専門的な知識に基づいているとは限りません。ネットの情報を参考程度にしつつ、やはり実際の現場を見ている担当者に説明を求めるのが一番確実です。
外壁塗装全般のよくある不安や後悔パターンについては、『外壁塗装20年してない?知恵袋でよく見る疑問をプロが全解説』も参考になると思います。
私たちプロは、その塗料の特性や乾燥後の変化(濡れ色と乾き色の差)を熟知していますので、根拠を持って説明できるはずです。

ツートンカラーでの配色失敗を防ぐコツ
「1階と2階で色を分けるツートンカラーにしたけど、なんだかチグハグ…」これもよくある失敗です。
色単体では良くても、組み合わせた瞬間にバランスが崩れてしまうのです。ツートンカラーで失敗しないためには、以下のポイントを押さえましょう。
ツートン成功の秘訣
同系色でまとめる
「ベージュ×ブラウン」や「グレー×濃いグレー」など、色相(色味)が似ている色同士を選ぶと、統一感が出て失敗しません。
比率を考える(6:4〜7:3)
色の面積比も重要です。6:4や7:3くらいの比率が最も美しく見えます。5:5で真ん中で分けると、どっちつかずな印象になりがちです。
サッシ(窓枠)の色を意識する
窓枠や玄関ドアの色は変えられません。サッシが黒なら外壁もモノトーン系、サッシがブロンズ(茶色)なら暖色系が馴染みます。付帯部との相性は非常に重要です。
グレーをベースにしたツートン配色の具体的なパターンや注意点は、『ND-013の外壁ツートンで失敗しない為の完全ガイド』で詳しく解説しています。
塗装の色が違うと感じたらすぐに相談
繰り返しになりますが、違和感を持ったら「すぐに」相談することが鉄則です。塗装工事は、高圧洗浄→下塗り→中塗り→上塗り と工程が進んでいきます。
中塗りの段階で「あれ?」と思えば、上塗りの前にストップをかけて確認することができます。中塗りと上塗りの色が違う場合、修正が効くラストチャンスかもしれません。
全て塗り終わって足場を解体してからでは、修正にかかるコストが何倍にも膨れ上がってしまいます。「おかしいな」と思ったら、遠慮は禁物です。

外壁塗装でサンプルと色が違う事態を防ぐ
最後に、この「色が違う」というトラブルを未然に防ぐための最強の方法をお伝えします。それは、「試し塗り」をお願いすることです。
実際の外壁の一部(目立たない場所)に、選んだ色を少しだけ塗ってもらうのです。もちろん塗料の準備や手間がかかるので嫌がる業者もいるかもしれませんが、契約後であれば対応してくれる業者も多いはずです。
あるいは、A4サイズの大きなサンプル板を持って、晴れた日、曇りの日、朝、夕方と、色々な時間に外壁に当ててみてください。少し離れた場所から眺めてみるのも大切です。
「たかが色」と思われるかもしれませんが、外壁は家の顔。これから10年、15年と毎日目にするものです。家に帰ってくるたびに「いい色だな」と思えるか、「失敗したな」と思うかでは、生活の質がまるで違います。
皆様が「この色にして本当によかった!」と心から思える外壁塗装になるよう、遠慮せずにこだわり抜いてくださいね。私たちも、そのこだわりにとことんお付き合いします!







