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外壁のメンテナンスコラム

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基礎と水切りの隙間をコーキングするのはNG?プロが教えるリスクと対策

家の基礎の隙間、埋めるのは絶対NG!

こんにちは。ステップペイントの現場担当 土橋 昭です。

年末の大掃除や、ふとした時にお家の周りを回っていて、外壁の一番下、基礎コンクリートと金属の「水切り」の間に、指が入るほどの隙間があることに気づいたことはありませんか?

「あれ?こんなところに隙間があっていいの?ここから雨水が入ったり、ゴキブリやムカデが床下に入り込んだりするんじゃないか……」と、急に不安に駆られ、ホームセンターへコーキング材を買いに走ろうとするお客様が実はとても多いのです。

そのお気持ちよく分かります。隙間があれば埋めたくなるのが人情というものですよね。

しかし、ちょっと待ってください。その「親切心」が、実は家にとって「寿命を縮める行為」になってしまう可能性が高いのです。建物には、あえて空けてある「意味のある隙間」と、放置してはいけない「危険な隙間」の2種類が存在します。

この記事では、現場で数多くの住宅診断を行ってきた私が、基礎と水切りの間にある隙間の正体と、絶対にコーキングで埋めてはいけない理由、そして虫が気になる場合の正しい対処法について、プロの視点で分かりやすく解説します。

記事のポイント

  • 基礎と水切りの間に隙間が空いている構造的な理由
  • 良かれと思って隙間を埋めることで発生する「床下の腐食」リスク
  • 通気を確保しながら虫の侵入だけを防ぐ具体的なDIY対策
  • プロに相談すべき「危険な隙間」の見分け方とメンテナンス時期
目次

基礎と水切りの隙間のコーキングは必要か?

結論から申し上げますと、一般的な住宅において、基礎と水切りの間にある隙間にコーキングをする必要は一切ありません。むしろ、その隙間は建物の健康を維持するために、計算し尽くされて設けられている「呼吸のための口」であるケースがほとんどです。

ここでは、なぜその隙間が必要不可欠なのか、建物の構造と通気のメカニズムから詳しく紐解いていきます。

水切りの隙間は通気のために必要

「なぜ、わざわざ虫やゴミが入りそうな隙間を空けているのか?」と疑問に思われるのも無理はありません。しかし、この隙間には、日本の高温多湿な気候から家を守るための、極めて重要な役割が与えられています。

それは、建物の壁体内を常に乾燥させるための「空気の取入口(給気口)」としての役割です。

専門的にはこの仕組みを「外壁通気工法(がいへきつうきこうほう)」と呼び、近年の住宅建築(特にサイディング張りやモルタル通気構法の家)では、欠かすことのできない標準仕様となっています。

(参考:第XⅢ章 木造住宅外皮の換気・通気計画ガイドライン(案)|国土技術政策総合研究所(国総研)

家全体を使った「煙突効果」のメカニズム

少し専門的な話になりますが、この仕組みを理解すると、なぜコーキングで埋めてはいけないかが腑に落ちるはずです。

壁の内部、つまり「透湿防水シート(柱などの構造体を覆うシート)」と「外壁材(サイディングなど)」の間には、約15mm〜18mmほどのわずかな空間(通気層)が設けられています。

皆様が気にされている基礎と水切り付近の隙間は、この通気層への「入り口」にあたります。

空気の流れ(サーキュレーション)の仕組み

  1. 入り口
    基礎の水切り付近の隙間から、新鮮で乾燥した外気を取り込みます。
  2. 上昇
    取り込まれた空気は、太陽熱などで温められながら壁の中を上へ上へと登っていきます(煙突効果)。
  3. 排出
    湿気を含んだ暖かい空気は、最終的に屋根の軒天換気口や棟換気(屋根のてっぺん)から屋外へ排出されます。

このように、家全体が一本の大きな煙突のような機能を持ち、電力を使わずに自然の力だけで24時間換気を行っているのです。この隙間は、いわば家の「鼻の穴」です。ここをコーキングで塞ぐということは、家の呼吸を止め、窒息させることに他なりません。

住宅の断面図イラスト。基礎の隙間から吸気し、壁内を通って屋根から排気される空気の流れ(煙突効果)を示している。

目に見えない「内部結露」の恐怖

もし、この吸気口を塞いで空気の流れを止めてしまうと、壁の中で何が起こるでしょうか。

夏場の湿気や冬場の室内と屋外の温度差によって、壁の内部で「結露」が発生します。通常であれば、通気層を流れる空気がこの水分を運び去ってくれますが、入り口が塞がれていると湿気は逃げ場を失い、壁の中に留まり続けます。

その結果、壁の中の断熱材がカビだらけになったり、水分を含んでズレ落ちたりして断熱性能が失われます。

さらに最悪の場合、柱や土台といった構造材が腐食し、家の耐震性さえも脅かす事態になりかねません。普段目に見えない場所だからこそ、この「通気」の確保は何よりも優先されるべき家のライフラインなのです。

(参考:「木造建築物の耐久性に係る評価のためのガイドライン」解説|国土交通省

コーキングで埋めると腐食の原因に

「隙間があると、そこから雨が入って土台が濡れてしまうのではないか?」

お客様から最も多く寄せられるのがこのご質問です。大切なお家ですから、穴が開いているように見える場所を心配されるのは当然のことです。

しかし、実はこの隙間をコーキングで塞ぐことこそが、「雨漏り」よりも恐ろしい「内部腐食」を引き起こす最大の引き金になってしまうのです。

ここでは、なぜコーキングがNGなのか、建物の「防水」と「排水」のメカニズムから詳しく解説します。

水切り板金は「入らせない」構造になっている

まず、「外からの雨」についてですが、基礎の上についている金属板(水切り板金)の形状を思い出してみてください。単なる平板ではなく、先端が下向きに折れ曲がっていたり、「返し」がついていたりします。

この形状は、上から流れてきた雨水をスパッと切って地面に落とすために計算されています。

また、下から風が吹き上げたとしても、水が重力に逆らって基礎の天端(てんば)の奥深くまで侵入し、土台を濡らすことは、構造上ほぼあり得ません。つまり、隙間が空いていても「雨が入るリスク」は極めて低いのです。

本当の恐怖は「逃げ場を失った水」

問題なのは「外から入る水」ではなく、「中から出ようとする水」です。

実は、どんなに完璧に建てられた家でも、壁の内部には水分が発生します。これには大きく分けて2つのルートがあります。

  • 内部結露
    冬場の温度差などで、壁の中に発生する水滴。
  • 万が一の浸水
    外壁のシーリング切れやサッシ周りのわずかな隙間から侵入した雨水。

本来、これらの水分は「透湿防水シート(防水紙)」の上を伝って重力で下へと落ちていき、最終的に基礎の水切りの隙間から屋外へ排出されるように設計されています。これを「二次防水」といいます。

(参考:住宅瑕疵担保責任保険 設計施工基準|国土交通省

コーキングは「出口に栓をする」行為

もし、あなたが基礎と水切りの隙間をコーキングで埋めてしまったらどうなるでしょうか。

それは、お風呂の浴槽の「排水栓」をしてしまうのと同じです。上から落ちてきた水分は出口を失い、壁の最下部にどんどん溜まっていきます。晴れた日になっても水は抜けず、ジメジメとした湿気が常に壁の下の方に滞留することになります。

その結果、壁の内部にある「土台(どだい)」と呼ばれる重要な木材が、常に水に浸かったような状態になります。湿った木材は腐朽菌(木を腐らせる菌)の温床となり、やがてボロボロに腐り落ちます。さらに、柔らかくなった湿った木材は、シロアリの大好物です。

「雨が入らないように」という親切心で行ったコーキングが、結果として「壁の中に水を溜めるダム」を作ってしまい、家の足腰を腐らせてしまう。これが、プロが絶対に隙間を埋めない理由なのです。

Information

注意:コーキングで埋めることは、壁内部の水分を「閉じ込める」行為です。絶対にやめましょう。

基礎内部のイラスト。コーキングで水が溜まり、腐食した土台にシロアリが群がっている危険な状態の図。

隙間からの虫の侵入が気になる場合

「理論上、通気が必要なのは理解しました。でも、ゴキブリやムカデ、あるいはシロアリがその隙間から入ってくるのだけは、生理的にどうしても耐えられません!」

現場でお客様とお話ししていると、このような切実なご相談をいただくことが本当に多いです。

おっしゃる通り、基礎パッキンのスリットや水切りの隙間は、指が入る程度の幅(約15mm〜20mm)があるため、身体の大きな害虫にとっては格好の隠れ場所や侵入経路になり得ることは否定できません。

実は、こうした建物の「隙間」や気密性は、虫の問題だけでなく防音性など住環境の快適さにも関わってきます。構造による違いや隙間の考え方については、『ALC造の防音性は低い?RC造との違いや聞こえ方の真実を解説』の記事も併せてご覧ください。

しかし、ここで焦ってコーキング材で隙間を完全に塞いでしまうのは、前述の通り「家の窒息」を招くNG行為です。では、どうすれば良いのか。正解は「網戸と同じ発想で対策する」ことです。

「空気は通す」が絶対条件

夏場、窓を開けて風を通したいけれど蚊は入れたくない時、私たちは窓を閉め切るのではなく「網戸」を使いますよね。基礎の隙間対策もこれと全く同じです。目指すべきは「密閉」ではなく「防虫フィルターの設置」です。

具体的に有効な対策として、以下の2つのアプローチをご紹介します。

1. 腐食の心配がない「樹脂製ネット」によるDIY対策

ホームセンターや園芸店、あるいは100円ショップなどで手軽に入手できる材料として、プランターの底に敷く「鉢底ネット(樹脂製)」や「トリカルネット(プラスチック製の網)」があります。これを細長く加工し、隙間に設置する方法です。

実は、金属製の金網(ステンレスなど)を使うと、水切り板金(アルミやガルバリウム鋼板)と接触した際に「電食(異種金属接触腐食)」という化学反応が起き、逆に水切り側を激しく錆びさせてしまうリスクがあります。そのため、プロとしては建物への攻撃性がない「樹脂製」を強くおすすめします。

  • 素材選び
    必ず「樹脂(プラスチック)製」を選んでください。錆びる心配がなく、ハサミで簡単に加工できるためDIYに最適です。
  • 詰め方
    ネットを適度な大きさに丸めたり、U字型に折り曲げたりして隙間に挿入します。この時、ギュウギュウに押し固めるのは厳禁です。ふんわりと空気の通り道を確保してください。
  • 目の細かさ
    あまり細かすぎると、ホコリやクモの巣ですぐに目詰まりを起こし、通気不全になります。一般的な網戸や鉢底ネット程度のメッシュが理想です。

【重要】水抜き穴としての機能を殺さないこと

この隙間は、万が一外壁内部に侵入した雨水を排出する「水抜き穴」の役割も兼ねています。メッシュを詰めることで、ゴミが溜まって排水性が悪くならないよう、定期的なチェックが必要になることを覚えておいてください。

網戸越しの庭の風景。「目指すのは密閉ではなくフィルターです」というキャッチコピーと、網戸のイメージ画像。

2. 後付け専用の「防虫ガード」の使用

より確実で安全な方法として、建材メーカーが販売している「リフォーム用防虫部材」を使用することをおすすめします。

例えば、城東テクノなどのメーカーからは、既存の基礎パッキンの隙間に差し込むだけで設置できる「防虫ガード」や「隙間カバー」といった専用部材が販売されています。

これらは、空気の流れ(通気量)を計算した上で設計されているため、通気性を損なうことなく、ゴキブリなどの大きな害虫の侵入を物理的にシャットアウトできます。

薬剤によるバリアも併用する

物理的な対策が難しい場合や、さらに念を入れたい場合は、建物の周囲(基礎の立ち上がり部分)に、屋外用の害虫忌避剤(粉剤やスプレー)を散布するのも効果的です。

虫は基本的に壁を登って隙間へ到達します。その手前でブロックすることで、隙間への侵入リスクを大幅に減らすことができます。これなら通気を一切阻害しないため、建物にとって最も安全な対策と言えるかもしれません。

「虫は嫌だけど、家の寿命も縮めたくない」。このジレンマを解消するためには、決して穴を塞ぐのではなく、こうした「通気性のある防虫対策」を選択してください。

基礎パッキンの重要な役割とは

基礎コンクリートと建物の土台(木材)の間をよく見てみてください。黒くて硬い樹脂製の板が挟まっているのが見えるはずです。これは「基礎パッキン」と呼ばれる非常に重要な部材です。

昔の家は、基礎コンクリート自体に「通気口」という長方形の穴をいくつか開けて床下の換気をしていました。

しかし、この方法では基礎の強度が落ちてしまう上、換気にムラができやすいという欠点がありました。そこで開発されたのが「基礎パッキン工法(ねこ土台)」です。

基礎と土台の間にパッキンを挟むことで、基礎の全周から均一に風を取り込むことができます。

また、コンクリートの湿気が直接木材(土台)に伝わるのを防ぐ「絶縁」の役割も果たしています。つまり、皆様が見ている「隙間」は、この基礎パッキンによって意図的に作られた「高性能な換気スリット」なのです。

基礎パッキン工法の詳細な仕組みについては、以下のメーカー公式サイトでも解説されています。イラスト付きで構造がよく分かります。

(参考:What’s Jotoキソパッキング工法|城東テクノ株式会社

正常な基礎パッキンの写真と、水切りが変形してしまっているNG例の写真を比較したチェックリスト。
画像はAI生成によるイメージであり実際のものとは異なります。

この隙間は施工不良ではない

念願のマイホームを手に入れ、入念に家の周りをチェックしていたら、基礎と外壁の間に向こう側が見えそうな隙間を発見してしまった……。

「もしかして、業者がコーキングを忘れた手抜き工事なんじゃないか?」と血の気が引く思いをされた方もいらっしゃるかもしれません。

実際、私たちが新築の完了検査やリフォームの下見に伺った際にも、お客様から真っ先にこの質問を受けることが非常に多いです。しかし、声を大にしてお伝えします。

この隙間は、手抜き工事でも施工ミスでもなく、現代の木造住宅における「標準仕様」です。

昔と今の「常識」の違い

なぜ、このような誤解が生まれてしまうのでしょうか。それは、一昔前の住宅との構造の違いが関係しています。

築30年以上の古い木造住宅では、基礎コンクリートに「床下換気口」という長方形の穴が開いており、土台と基礎はモルタルで隙間なく密着させてあるのが一般的でした。

そのイメージをお持ちの方からすると、現在の「基礎パッキン工法(基礎と土台を離して、全周に隙間を作る工法)」は、まるで工事が途中で終わっているかのように見えてしまうのも無理はありません。

現在では、住宅の長寿命化や省エネ性能を高めるために、あえてこの「隙間」を作る工法が主流となっています。ですので、隙間があることは「最新の基準で作られている証拠」と捉えていただいて問題ありません。

基礎の隙間と同様に、窓サッシ周りなども外壁の種類によって「あえて隙間を空ける(水を抜く)」納まりが正解となるケースがあります。

施工不良と正しい納まりの違いについては、以下の記事『モルタル外壁のサッシ廻りはコーキングが必要?雨漏り防ぐ納まりも解説』も参考になります。

「正常な隙間」と「異常な隙間」の見分け方

とはいえ、全ての隙間が100%正常とは限りません。中には、本当に施工時に何らかのミスがあったり、経年劣化で部材が変形していたりするケースも稀に存在します。プロでなくても確認できるチェックポイントをまとめました。

【セルフチェック】こんな状態なら正常です
  • 基礎の全周にわたって、ほぼ均一な幅の隙間がある。
  • 隙間を覗き込むと、一定間隔で黒い樹脂製のブロック(基礎パッキン)が挟まっているのが見える。
  • 水切り板金が水平に取り付けられており、ガタつきがない。

逆に、以下のような状態が見られる場合は、施工店や専門業者に相談してみる価値があります。

【要注意】点検が必要なケース
  • 隙間の幅が極端に不均一
    ある場所だけ指が入らないほど狭く、別の場所は拳が入るほど広いなど。
  • 水切りの変形
    金属の水切りが大きくひしゃげていたり、外れかかってブラブラしていたりする。
  • パッキンの欠落
    本来あるべき場所にパッキンが入っておらず、土台が浮いているように見える(※ただし、気密パッキンなど見えにくい部材の場合もあります)。

もし「これはどうなんだろう?」と判断に迷う箇所があれば、ご自身でいじったりせず、スマホで写真を撮って施工業者に見せるのが一番の解決策です。正常な構造を知っておくことは、無用なトラブルを避け、安心して暮らすための第一歩になります。

外壁や基礎まわりの構造については、『サイディングの隙間「あいじゃくり」とは?危険性と補修方法を徹底解説』の記事でも詳しく解説しています。サイディングの継ぎ目にある「あいじゃくり」という隙間についても触れていますので、あわせてご覧ください。

基礎と水切りの隙間をコーキングするリスク

「それでもやっぱり隙間が気になる……」という方のために、ここではDIYなどで安易に基礎と水切りの隙間をコーキングしてしまった場合に起こりうる具体的なトラブルや、リスクを回避するためのプロの知恵を深掘りして解説します。

安易なDIYでの穴埋めは危険

「ホームセンターに行けば、数百円でコーキング材とコーキングガンが売っているし、自分でちょっと埋めてしまおう」

そのお気持ち、DIY好きの私としても非常によく分かります。手軽にできて、見た目の「穴」も塞がるので、一見すると良いメンテナンスをしたような達成感があるかもしれません。

しかし、現場を預かるプロの立場からハッキリと申し上げます。基礎と水切りの隙間をDIYで埋める行為は、百害あって一利なしの「絶対NG行為」です。

ここでは、単に「通気が止まるからダメ」というだけでなく、使用する材料や施工後のメンテナンス性の観点から、なぜそれが取り返しのつかない事態を招くのか、具体的なリスクを深掘りします。

プロが最も恐れる「シリコン」の罠

DIYで失敗される方の9割以上が、材料選びで致命的なミスを犯しています。それは、ホームセンターで最も安く(1本300円〜400円程度)、大量に売られている「シリコンシーラント(シリコンコーク)」を使用してしまうことです。

お風呂場やキッチン周りで使う分には優秀な材料ですが、外壁や基礎周りにこれを使うと、以下のような悲劇が起こります。

  • シリコン汚染(オイルブリード)
    シリコンに含まれる油分が周囲の壁や基礎に染み出し、黒ずんだ汚れを広げます。この汚れは洗っても落ちません。
  • 将来の塗装が不可能に
    シリコンは塗料を強烈に弾きます。将来、外壁塗装や基礎の保護塗装をしようとした際、塗料が密着せず、プロでも修復が困難になります(専用の処理剤が必要になり、工事費が跳ね上がります)。

知っておいてほしいこと

外壁や屋外には、通常「変成シリコン」や「ウレタン」という種類のコーキング材を使います。しかし、材料の違いを知らずに安価なシリコンで埋めてしまい、家の資産価値を下げてしまうケースが後を絶ちません。

「シリコンは絶対NG」という警告文。シリコン汚染や塗装弾きのリスクを解説したスライド。

一度埋めると「元に戻せない」不可逆性

「失敗したら、カッターで切って剥がせばいいや」と軽く考えてはいけません。基礎コンクリートの表面はザラザラしており、そこに食いついたコーキング材を完全に除去するのは、プロであっても至難の業です。

無理に剥がそうとしてカッターを深く入れれば、水切り板金の塗膜を傷つけてサビの原因を作ったり、基礎パッキン自体を切断してしまったりする「二次被害」のリスクが高まります。結局、汚い跡が残った上に、通気不良による床下のカビや腐食リスクだけが残るという、最悪の結果になりかねません。

「数百円の材料費で、将来数百万円の修繕費が発生するリスクを買っている」。厳しい言い方かもしれませんが、それくらいリスクの高い行為であることを、どうか知っておいてください。

DIYでのコーキングには「やってはいけない箇所」と「使ってはいけない材料」の明確なルールがあります。

もし他の場所も含めてDIYを検討されているなら、『外壁のコーキングをDIYで!増し打ちのやり方とできない条件をプロが解説』の記事を必ず読んでから判断してください。

ゴキブリなどの害虫対策の方法

では、通気を確保しながら害虫を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。おすすめの方法を比較表にまとめました。

対策方法通気性防虫効果難易度
コーキングで埋める×(危険)
ステンレスメッシュ
専用防虫ガード
薬剤散布△(一時的)

おすすめの対策

  • 通気性のある隙間ガード
    建材メーカーから販売されている、通気を阻害せずに虫を防ぐ専用部材(ロングタイプの防虫網など)を使用するのが最も安全です。
  • ステンレスメッシュ
    DIYで行うなら、錆びにくいステンレス製の金網を細長く加工し、隙間に詰め込む方法があります。ただし、ギュウギュウに詰めすぎて空気の流れを止めないよう、ふんわりと設置するのがコツです。
  • プロへの相談
    基礎パッキン自体に防虫機能がついているタイプもあります。リフォーム時などに相談してみるのも一つの手です。

雨水が侵入する可能性について

「普通の雨なら大丈夫かもしれないけれど、最近増えているゲリラ豪雨や、横殴りの大型台風の時などは、さすがに下から雨が吹き込んでくるのではないか?」

このようなご質問も、現場調査の際によくいただきます。異常気象のニュースを見るたびに、家の隙間が心配になるお気持ちよく分かります。

実状をお話ししますと、「物理的に100%雨が入らないとは言い切れませんが、構造上、建物に害を及ぼすレベルの浸水は起きにくい」というのが真実です。

ここでは、なぜそこまで心配しなくて良いのか、その構造的な理由と、逆にコーキングをしてしまった場合に起こる恐ろしいシナリオについて解説します。

雨を弾く「水返し」の構造

まず、建物の足元についている金属製の「水切り板金」の形状をよく見てみてください。単なるL字型の板ではなく、先端が少し折り返されていたり、複雑な形状をしていたりするのが分かるはずです。

これは「水返し」と呼ばれ、上から流れてきた雨水が表面張力で裏側に回り込むのを防ぐための工夫です。

また、基礎パッキン自体も外壁面よりも少し奥まった位置に設置されています。つまり、雨水が重力に逆らって隙間の奥深くまで侵入するには、相当な風圧と運が必要な構造になっているのです。

「濡れること」よりも「乾かないこと」が最大のリスク

それでも、猛烈な台風などで床下(基礎の内部)に多少の水しぶきや湿気が入り込むことはあり得ます。しかし、近年の住宅のほとんどは床一面をコンクリートで覆う「ベタ基礎」を採用しており、コンクリート自体は水に濡れてもすぐに劣化することはありません。

建物にとって本当に致命的なのは、「入ってしまった水や湿気が、いつまでも乾かずにジメジメと残り続けること」です。

コーキングが招く「プール化」現象

もし、雨の侵入を恐れて隙間をコーキングで完全に塞いでしまったらどうなるでしょうか。

  • 万が一、外壁のシーリング切れやサッシ周りから壁内部に雨水が侵入した場合、その水は出口を失い、壁の最下部に溜まり続けます。
  • 床下のコンクリートが吸い上げた地中の湿気も、外に逃げられなくなります。

こうなると、基礎と土台の接合部は常に湿潤状態となり、木材腐朽菌が繁殖し放題の「蒸し風呂状態」になります。

コーキングという「フタ」をしてしまうことは、入ってくる微量な雨を防ぐメリットよりも、中の水分を閉じ込めて土台を腐らせるデメリットの方が圧倒的に大きいのです。

「雨が入っても、すぐに乾く風通しの良さを作っておく」。これこそが、木造住宅を長持ちさせるための究極の防水対策と言えるのです。

プロが補修を行う特殊なケース

「じゃあ、基礎まわりは絶対にコーキングしてはいけないの?」というと、実は例外的に私たちプロが補修を行うケースもあります。それは「通気口」ではなく「防水が必要な箇所」が劣化している場合です。

1. 基礎コンクリートの大きなひび割れ

基礎の表面に幅0.3mm以上の大きなひび割れ(構造クラック)がある場合、そこから雨水が鉄筋まで到達し、錆びさせてしまう恐れがあります。この場合は、エポキシ樹脂などを注入して補修します。

こうしたひび割れを含め、お家の劣化サインを見逃さず、適切な時期にメンテナンスを行うための判断基準については、『外壁塗装は早すぎる?築10年の嘘と適切なタイミングを現場のプロが解説』の記事で詳しく解説しています。

2. 配管貫通部の隙間

給湯器の配管やエアコンのドレンホースが基礎を貫通している部分の隙間は、虫の侵入経路になりやすいため、専用のパテやコーキングで埋めるのが適切です。

3. 水切り板金のジョイント(継ぎ目)

水切り板金同士をつないでいる継ぎ目のシールが劣化して切れている場合は、そこから雨水が入る可能性があるため、少量のコーキングで補修することがあります。

これらは専門的な判断が必要です。一般の方が「通気口」と「補修が必要なひび割れ」を正確に見分けるのは難しいため、不安な場合はプロに見てもらうのが確実です。

基礎のひび割れ(クラック)の危険度については、『外壁塗装20年してない?知恵袋でよく見る疑問をプロが全解説』の記事で詳しく解説しています。ご自宅の基礎の状態と見比べてみてください。

劣化を防ぐための定期的な点検

基礎や水切りは、足元にあるため普段あまりじっくり見ることのない場所かもしれません。しかし、建物を支える最も重要な「土台」を守る砦です。

コーキングで埋めるのではなく、まずは「変化がないか」を定期的に目で見てチェックすることをおすすめします。

  • 基礎パッキンが割れていたり、ずれていたりしないか
  • 水切り板金が錆びて穴が空いていないか
  • 基礎コンクリートにヘアクラック(髪の毛ほどのひび)以上の大きな亀裂が入っていないか

これらを年に1回、例えば年末の大掃除の時などに確認するだけでも、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。もし異常を見つけたら、自分で触らずに専門家に相談しましょう。

基礎と水切りの隙間はコーキングせず残す

ここまで、基礎と水切りの間にある「隙間」の正体とその重要性について、現場の視点から詳しく解説してきました。最後に、この記事の結論として、皆様に最もお伝えしたいことをまとめます。

それは、「基礎の隙間は、家の寿命を延ばすための生命線であり、基本的に手をつけてはいけない聖域である」ということです。

私たち日本人は、几帳面な国民性もあってか、「隙間」を見つけるとどうしても「埋めなくてはならない」「施工ミスではないか」と不安に駆られがちです。

しかし、木造住宅においてこの隙間は、人間でいうところの「鼻」や「口」と同じ役割を果たしています。ここをコーキングで塞ぐことは、愛する我が家の呼吸を止め、窒息させることと同義だと覚えておいてください。

この記事の重要ポイントまとめ

  • 隙間は仕様です
    基礎パッキンによる通気工法であり、欠陥ではありません。
  • 埋めるのはNGです
    湿気が抜けなくなり、土台の腐食やシロアリ被害を招きます。
  • 虫対策は通気を確保して
    塞ぐのではなく、空気を通す網や専用ガードで物理的に防ぎましょう。

良かれと思って行ったDIYが原因で、数年後に床下の土台交換という数百万円規模の大規模リフォームが必要になってしまったケースを、私は現場で何度も見てきました。

そんな悲しい事態を防ぐためにも、ホームセンターでコーキング材を手に取る前に、一度立ち止まってこの記事のことを思い出していただければ幸いです。

横浜市・川崎市・東京都で外壁塗装や防水工事をお考えの方へ

「それでもやっぱり、うちの隙間は大きすぎる気がする」「水切りが錆びていてボロボロになっている」

といった個別の不安がある場合は、決して自己判断で処理せず、必ず私たちのような専門家にご相談ください。

私たちステップペイントでは、外壁塗装や屋根塗装だけでなく、基礎まわりや雨樋といった付帯部の点検も無料で行っています。

「見るだけ」でも構いません。プロの目で「この隙間は正常か、補修が必要か」を診断し、適切なアドバイスをさせていただきます。

お家のことで少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にお声がけください。


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