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外壁のメンテナンスコラム

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マンションの外壁工事でベランダ洗濯機は使える?移動や対策を徹底解説

マンションの外壁工事でベランダ洗濯機は使える?移動や対策を徹底解説

こんにちは。ステップペイントの現場担当 土橋 昭です。

マンションの大規模修繕やアパートの外壁塗装工事がいざ始まるとなると、居住者様から真っ先に挙がるのが「ベランダの使い勝手」に関する不安です。

特に、室内に洗濯機置き場がなく、ベランダに洗濯機を設置されているお宅にとっては死活問題ですよね。

「工事期間中はずっと洗濯できない日が続くの?」「重たい洗濯機を撤去や移動しないといけないの?」といった疑問はもちろん、万が一の故障や汚れに対する懸念など、心配事は尽きないかと思います。

私自身、現場で施工管理を行っていると、こうしたご相談を毎日のようにいただきます。

この記事では、現場を知るプロの視点から「外壁工事の際に生じるベランダの洗濯機問題」について、実際の工事スケジュールや具体的な防衛策を交えて、どこよりも詳しくお話ししていきます。

記事のポイント

  • 外壁工事中にベランダの洗濯機が使えなくなる具体的な期間やタイミング
  • 洗濯機の移動が必要なケースと、その費用や手配の方法
  • 工事中の故障や汚れを防ぐための保護カバーの選び方と養生のコツ
  • コインランドリーの活用など、洗濯できない期間を乗り切るための生活の知恵
目次

マンションの外壁工事でベランダ洗濯機はどうなる?

マンションの大規模修繕や外壁塗装において、ベランダ(バルコニー)は単なる作業通路ではなく、主要な「施工エリア」そのものです。

普段通りに洗濯機を使いたいお気持ちは痛いほど分かりますが、工事の品質を確保し、何よりお客様の大切な洗濯機を守るためには、どうしても一定の制限が必要になります。

まずは、工事中にベランダ環境がどう変わるのか、現場の実情を包み隠さずお伝えします。

大規模修繕で撤去は必要か

「すべての工事で必ず撤去が必要なわけではありませんが、防水工事を行う場合は移動がほぼ必須」となります。

外壁の塗装だけであれば、しっかりとビニールで養生(カバー)をすれば、置いたままでも作業は可能です。しかし、問題は「ベランダ床面の防水工事」です。

ベランダの床は、長年の紫外線や雨風で防水層が劣化しており、大規模修繕ではこれを新しく塗り直す工程が含まれます。

洗濯機の下が「防水の穴」になるリスク

洗濯機が置かれたままだと、当然ながらその下の床面だけ防水材を塗ることができません。

「重いからそのままでいいよ」とおっしゃる方もいますが、洗濯機の下は湿気がたまりやすく、コンクリートの劣化が進んでいることが多い場所です。

もしそこだけ古い防水層のまま残してしまうと、将来的にそこから雨水が浸入し、階下の部屋への雨漏り原因の一つになる可能性が高くなってしまいます。

そのため、私たち施工業者としては、品質保証の観点からも「一時的な移動」や「嵩上げ(かさあげ)」を強くお願いすることになります。

ここがポイント

最近のドラム式洗濯機は重量が70kg~80kg程度のものが多く、現場の作業員が手作業で動かすのは困難な場合があります。

ベランダが狭く移動スペースがない場合は、一時的に室内に取り込む「撤去」をお願いするケースもあります。

大規模修繕で洗濯機の撤去は必要か
画像はAI生成によるイメージであり実際のものとは異なります。

外壁塗装中の洗濯できない期間の目安

「工事期間の3ヶ月間、ずっと洗濯できないの?」と不安に思われるかもしれませんが、ご安心ください。全期間使えないわけではありません。

実際にベランダへの立ち入りや洗濯機の使用が制限されるのは、足場の設置から解体までの全期間のうち、特定の工程が行われる合計数日〜2週間程度です。

ただし、天候や採用する防水材の種類によって乾燥時間が変わり、日程がズレ込むことがあるため、毎日の工程確認が必要です。

以下に、一般的な工程と洗濯機使用の可否をまとめました。

工程名洗濯機使用外干し詳細・注意点
足場設置△(注意)×金属の組み立て音や振動があります。埃が舞うためカバー推奨。
高圧洗浄×(不可)×汚水が激しく飛散するため、絶対に使用できません。
下地補修〇(条件付)ひび割れ補修など。自分の部屋の周りで作業がある日は不可。
防水工事×(不可)×床に防水材を塗るため、乾燥するまで数日間は立ち入り禁止。
外壁塗装△(制限有)×窓をビニールで養生するため、ベランダに出られなくなる期間あり。
足場解体△(注意)×解体作業中は危険なためベランダに出ないでください。

特にご注意いただきたいのが「高圧洗浄の日」と「防水工事の期間」です。このタイミングだけは、完全に洗濯機の使用を諦めていただく必要があります。

ベランダ防水工事そのものの日数や工程の流れについては、『ベランダ防水工事の日数と具体的な流れ』記事も併せてご覧いただくとイメージしやすくなるはずです。

また、工事期間中の騒音や臭いなどが気になる方は、『アパートの外壁工事で感じるストレス対策!騒音や臭いを軽減するプロの知恵』についての記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

洗濯物を干せますか?工程別の可否

「洗濯機を回すこと」と「洗濯物を外に干すこと」は分けて考える必要があります。洗濯機が使える日であっても、外干しは基本的にNGまたは非推奨となる期間が長いです。

足場には「メッシュシート」と呼ばれる飛散防止ネットが張られますが、これはあくまで塗料や道具が外に飛び出さないためのもので、外からの風や埃、細かい塗料ミストを完全に防ぐものではありません。

絶対に干してはいけない日

  • 高圧洗浄の日
    長年のカビ、苔、排気ガスの汚れを含んだ黒い水しぶきが霧状になって飛んできます。これらは一度服につくと、洗っても落ちないことが多いです。
  • 塗装作業中
    塗料の独特な臭い(溶剤臭)が洗濯物に移ってしまいます。また、ローラー塗装であっても、回転による遠心力で目に見えない細かい塗料の粒が飛散します。

特に高圧洗浄の日は、水しぶきや汚れの飛散だけでなく作業時間も長くなることが多いため、終日ベランダを使えないケースがほとんどです。

【重要】室内の換気扇もOFFに!

高圧洗浄の日は、窓を閉めるだけでなく、お部屋の換気扇(24時間換気・浴室乾燥機・レンジフード)を必ず停止し、給気口も閉じてください。

換気扇が回っていると、ベランダに充満した汚水の霧や臭気を室内に強力に吸い込んでしまい、部屋の壁紙が汚れたりカビ臭くなったりするトラブルにつながります。

高圧洗浄の具体的な所要時間や当日の過ごし方については、『外壁塗装の高圧洗浄の所要時間と当日の注意点』で詳しく解説しています。

職人がお休みの日曜日などは「洗濯可」の札が掲示されることもありますが、足場とネットに囲まれたベランダは日当たりが悪く、風通しも良くありません。

生乾きになるリスクも高いため、工事期間中は「基本的に部屋干しかコインランドリーを利用する」と割り切ってしまった方が、精神的なストレスは少ないかもしれません。

洗濯物を干せますか?工程別の可否
画像はAI生成によるイメージであり実際のものとは異なります。

賃貸物件におけるベランダ利用の制限

賃貸のアパートやマンションにお住まいの場合、持ち家(分譲)の方以上に注意が必要なのが、ベランダ利用のルールです。ご自身の判断よりも「管理会社や大家さんからの通達」が絶対的なルールとして優先されます。

「家賃を払っているんだから、ベランダを使う権利があるはずだ」と思われるかもしれませんが、大規模修繕工事の期間中は、その常識が通用しない場面が出てきます。その理由を、法律と現場リスクの両面から解説します。

ベランダは法律上「共用部分」とされるのが一般的です

普段、専用の庭のように使っているベランダ(バルコニー)ですが、多くの分譲マンションでは、エントランスや廊下と同じ「共用部分」に分類され、そのうえで各住戸の居住者に専用使用権が認められる形になっています。

つまり、「特定の住人だけが優先的に使うことを許されている」スペースではありますが、所有権自体は管理組合やオーナー側にあります。

この考え方は、国土交通省が示す『マンション標準管理規約』などにも基づいており、建物の維持管理のために必要な大規模修繕工事であれば、管理組合や貸主(大家さん)が一定期間ベランダの使用を制限することが認められるのが一般的です。

入居者(借主)側にも、管理規約や賃貸借契約に基づいて工事への協力や一定の不便を受け入れる義務(いわゆる受忍義務)が求められるケースがあります。

具体的な取り扱いは、マンションごとの管理規約や賃貸借契約書を必ずご確認ください。

(参考:マンション標準管理規約(単棟型))

賃貸物件におけるベランダ利用の制限

通知を見逃さないことが「自己防衛」になる

工事期間中のルールは、主に以下の方法で通知されます。

  • エントランスやゴミ捨て場の掲示板
  • 全戸配布されるチラシ(ポスティング)
  • 回覧板やメール通知

「〇月〇日〜〇月〇日は防水工事のためベランダ使用禁止」と書かれていれば、たとえ快晴で洗濯日和であっても、絶対に洗濯機を回してはいけません。

「仕事で忙しくて見ていなかった」は通用しないため、工事期間中はポストや掲示板を毎日チェックする習慣をつけましょう。

「ちょっとくらいなら…」が招く重大リスク

現場で最も怖いのが、「少し水が出るくらいならバレないだろう」という自己判断です。

損害賠償を請求される可能性があります

特にベランダの床を塗り直す「防水工事」の期間中は要注意です。

まだ乾いていない防水材の上に洗濯排水が流れると、せっかくの防水層が流れてしまったり、表面が波打つなどの不具合が生じて施工が台無しになるおそれがあります。

最悪の場合、以下の責任を問われるリスクがあります。

  • 工事のやり直し費用
    固まる前の防水材を撤去し、再施工する費用。
  • 階下への漏水補償
    防水が不完全な状態で水を流したことで、下の階の部屋や洗濯物を汚してしまう事故。

これらは数万円では済まないケースもあり、火災保険や家財保険、個人賠償責任保険なども、故意や重大な過失、契約上の禁止事項・法令違反に該当する場合は補償の対象外となることがあります。

ご自身の契約内容や約款を事前に確認したうえで、ご自身を守るためにも禁止期間のルールは厳守してください。

物干し竿や私物の移動と保管場所

工事が本格的に始まる前、足場を組む段階で「ベランダの荷物を全て片付けてください」というお願いをすることがほとんどです。これには物干し竿、ハンガー、サンダル、植木鉢などが含まれます。

「物干し竿くらい置いておいてもいいのでは?」と思われるかもしれませんが、足場を組む際に長い竿は非常に邪魔になりますし、作業員が誤って接触し、竿を落としてしまったり、竿で窓ガラスを割ってしまったりする事故を防ぐためでもあります。

スムーズな片付けと保管のコツ

物干し竿

伸縮タイプなら最短にして室内へ。もし一本物で室内に入らない場合は、現場監督に相談すれば、足場の邪魔にならない場所に仮置きしてくれることもあります。

小物類

ハンガーやピンチ類は、大きめのゴミ袋などにまとめて入れておくと散らばりません。

洗濯機本体を室内に入れる際の注意

洗濯機を室内に取り込む際は、排水ホースの中に残った水や、下水の臭いに注意が必要です。

移動させる前に、ホースの先端をビニール袋で包んで輪ゴムでしっかり縛りましょう。これにより、移動中に水が垂れたり、保管中に排水溝特有のドブ臭さが室内に充満したりするのを防げます。

保管場所

浴室やクローゼット、あるいはベッドの下などがデッドスペースとして活用できます。浴室に突っ張り棒を渡して、そこに竿をかけておくのも一つの手です。

補足:どうしても置き場所がない場合

「室内にスペースがない!」という場合は、早めに現場監督や管理会社に相談してみてください。

マンションによっては、空き部屋やエントランスなどの共用部の一部を「居住者用荷物一時保管場所」として開放してくれることもあります。

外壁工事中の過ごし方は?洗濯の工夫

洗濯機が使えない、あるいはベランダに干せない期間をどう乗り切るか。これは単なる家事の問題を超えて、工事期間中の生活の質(QOL)を左右する最大の悩みどころです。

現場でお客様とお話ししていると、皆様それぞれに工夫を凝らして、この不便な期間を賢く乗り切っていらっしゃいます。現場担当者の視点で集めた、実践的で効果の高い「洗濯サバイバル術」をご紹介します。

1. 「洗濯可能日」を戦略的に狙い撃つ

工事期間中といえども、毎日24時間ずっと洗濯ができないわけではありません。隙間時間を有効活用するのがポイントです。

  • 日曜・祝日をフル活用
    多くの現場では、日曜・祝日は作業がお休みです。この日は基本的にベランダの使用制限が解除されることが多いので、ここで1週間分をリセットするつもりで計画を立てましょう。
  • 「工程表」を毎朝チェック
    エントランスのホワイトボードや掲示板には、その日の作業内容が書かれています。「今日は足場点検のみ」「作業中止(雨天)」といった日は、意外と洗濯のチャンスです。

2. 「洗剤」を変えて部屋干し臭を撃退する

部屋干しの最大の敵は、あの独特な「生乾き臭」です。これは乾燥に時間がかかることで雑菌が繁殖するために起こります。工事期間中は、洗剤を少し良いものに変えてみましょう。

  • 部屋干し特化型洗剤
    「抗菌」「除菌」を謳った洗剤は伊達ではありません。菌の増殖を抑える力が強いため、室内干しでも臭いの発生リスクを大幅に下げてくれます。
  • 酸素系漂白剤(粉末)の活用
    40℃〜50℃のお湯に酸素系漂白剤を溶かして洗うと、高い除菌・漂白効果が得られます。特にタオル類には効果てきめんです。

3. 浴室乾燥機の「効率」を最大化する

浴室乾燥機があるお宅なら、これをメインにするのが最も衛生的です。ただし、電気代やガス代が気になるのも事実。効率を上げるためのひと手間を惜しまないでください。

  • フィルター掃除
    ホコリが詰まっていると乾燥効率がガクンと落ちます。工事前に一度掃除機で吸っておきましょう。
  • 水滴の拭き取り
    浴室内の壁や床が濡れていると、乾燥機はその水分を乾かすのにエネルギーを使ってしまいます。お風呂上がりにスクイージーなどで水滴を切ってから干すと、乾燥時間が短縮され、光熱費の節約になります。

4. そもそも「洗濯物の量」を減らす工夫

「洗う」ことだけでなく、「洗濯物を出さない」工夫も有効です。

  • タオルのサイズダウン
    かさばるバスタオルを、この期間だけフェイスタオルやスポーツタオルに変えてみる。これだけで洗濯量が半分以下になります。
  • 高機能インナーの活用
    速乾性や抗菌防臭機能のあるインナーウェアを活用し、洗濯頻度をコントロールするのも一つの手です。

気持ちの切り替えも大切です

不便な生活はどうしてもストレスが溜まりますが、「期間限定のキャンプ生活」や「新しい家事スタイルの実験」のように、ゲーム感覚で捉えてみるのもおすすめです。

ご家族で「今週はどうやって乗り切る?」と作戦会議をするなど、協力体制を作って乗り越えていただければと思います。

外壁工事中の過ごし方は?洗濯の工夫

汚れや故障を防ぐ適切な保護カバー

移動せずにベランダに洗濯機を置いたまま工事をする場合、専用の保護カバー(養生カバー)は必須アイテムです。

私たち業者が「マスカー」と呼ばれるビニールとテープで簡易的に養生することもありますが、工事期間は長いですし、強風でビニールが破れて飛んでいってしまうこともあります。

ご自身の財産を守るためには、ご自身でしっかりしたカバーを用意されることを強くおすすめします。

カバー選びのポイント

  • 素材
    100円ショップの薄いペラペラなものではなく、ホームセンターやネット通販で売っている厚手(オックスフォード生地など)のしっかりしたものが安心です。遮熱効果のあるシルバーコーティングなら、紫外線からも守れます。
  • 形状
    洗濯機のタイプ(全自動・ドラム式)に合ったものを選びましょう。また、背面まで覆う「4面タイプ」は熱がこもりやすいので、使用しない時は背面を開けるなどの工夫が必要です。
  • 固定
    ビル風などの強風で飛ばされないよう、裾を紐やゴムでしっかり絞れるタイプを選んでください。

特に操作パネルや洗剤投入口、給水口のあたりは、隙間からコンクリートの粉塵が入り込むと故障の原因になります。念入りに覆っておきましょう。

ベランダの排水溝工事と洗濯機の影響

大規模修繕では、ベランダの排水溝(ドレン)の改修工事も行われることがあります。これを「改修ドレン工法」と呼びます。これは、既存の排水管の中に、新しい一回り細い排水管(鉛製の蛇腹ホースなど)を通す工事です。

防水性は格段に向上しますが、既存ドレンの内側に差し込む構造上、物理的に排水口の径(穴の大きさ)が一回り小さくなり、排水能力がわずかに低下する可能性があるというデメリットがあります。

洗濯機の排水は、ポンプを使って短時間に大量の水を排出します。もし排水管の径が細くなり、そこにゴミなどが詰まり気味だったりすると、排水が追いつかずにあふれる(オーバーフロー)リスクがあります。

【重要】排水ホースが物理的に入らないことも

改修ドレン工事を行うと、排水口のカバー(ストレーナー)の形状が変わり、今まで使っていた洗濯機の排水ホースが物理的に差し込めなくなることがあります。

無理に差し込むと排水不良の原因になりますので、工事完了後、最初に洗濯機を戻す際は「排水ホースを固定する金具(ドレンガイド)」や「重し」が必要かどうか、現場監督に確認することをお勧めします。

工事直後の最初の洗濯時は、決して目を離さず、排水ホースがしっかり接続されているか、水がスムーズに流れているかを確認するようにしてください。もし溢れそうになったらすぐに一時停止できるよう準備しておきましょう。

マンションの外壁工事でベランダの洗濯機に関する費用と注意点

ここからは、金銭的なお話や、予期せぬトラブルを防ぐための注意点について深掘りして解説します。「誰が費用を負担するのか」「もし壊れたらどうするのか」といった疑問は、工事が始まる前にクリアにしておくことが大切です。

移動にかかる費用

防水工事のために洗濯機を移動させる場合、その費用は誰が持つのでしょうか。

一般的に、管理組合と施工会社の契約の中に「洗濯機脱着費用」が含まれている場合は、施工業者が負担(作業)してくれます。この場合、プロの設備屋さんが来て取り外しと再設置を行ってくれるので安心です。

「移動」ではなく「嵩上げ(持ち上げ)」等の対応も また、最近では洗濯機を完全に取り外さず、専用の工具で一時的に持ち上げた状態(ジャッキアップ)にして、その隙間に防水塗装を行うケースも増えています。

この方法であれば、水道や排水の接続を外す必要がないため、復旧後の水漏れトラブルも少なくなります。ご自宅の工事が「完全撤去」なのか「持ち上げ対応」なのか、事前に説明会等で確認しておくと良いでしょう。

しかし、契約内容やマンションの規模によっては「居住者の自己負担」または「自己責任」で移動をお願いされるケースもあります。業者に個人的に依頼すると、取り外しと再設置で5千円〜1万5千円程度かかることが一般的です。

注意:自分で動かす場合のリスク

節約のためにご自身で動かそうとする方もいらっしゃいますが、特にドラム式洗濯機などの重量物は非常に危険です。無理な体勢で腰を痛めたり、引きずって防水前の床や洗濯機の脚を破損させたりするリスクがあります。

また、再設置の際に排水ホースの接続が甘く、水漏れ事故を起こしてしまうケースも後を絶ちません。自信がない場合は、便利屋さんや引越し業者などのプロに依頼することをお勧めします。

移動にかかる費用
画像はAI生成によるイメージであり実際のものとは異なります。

洗濯機の故障リスクと補償の考え方

「工事の粉塵を吸い込んで洗濯機が壊れた」「作業員が足場材をぶつけて凹んでしまった」といったトラブルは、残念ながらゼロではありません。

もし明らかに業者の過失(養生不足や不注意)で破損した場合は、業者が加入している「請負業者賠償責任保険」などで修理費用や代替品が補償される可能性があります。

補償されないケースに注意

  • 使用禁止期間中の使用
    「今日は高圧洗浄だから使わないで」と言われていたのに使用し、汚水を吸い込んで故障した場合などは、居住者の過失となり補償されません。
  • 経年劣化
    「工事のせいで壊れた」と訴えても、製造から10年以上経過している洗濯機の場合、単なる寿命(経年劣化)と判断され、補償対象外となることがあります。

万が一のために、ご自身が加入している火災保険(家財保険)の内容も確認しておくと安心です。

「不測かつ突発的な事故(破損・汚損)」特約が付帯されていれば、一部のケースでカバーできる可能性がありますが、適用条件は保険会社により異なるため、事前に保険内容を確認することをお勧めします。

塗料飛散による汚れトラブルの回避策

足場には飛散防止ネットが張られますが、塗料の粒子は非常に細かく、強風に乗って予期せぬ隙間から入り込むことがあります。特にベランダに置かれた洗濯機は被害に遭いやすい家電の一つです。

トラブルを未然に防ぎ、万が一の際もスムーズに解決するための自衛策として、以下の「3つのステップ」を実践してください。

ステップ1:現状を「証拠」として残す

最も重要なのが、工事が始まる前の状態を記録しておくことです。「元からあった傷なのか、工事でついた傷なのか」という水掛け論を防ぐため、以下のポイントをスマホで撮影しておきましょう。

  • 全体写真
    設置状況がわかる引きの画角。
  • 細部アップ
    操作パネル、蓋の表面、側面、給水ホース周りなど。
  • 日付の証明
    撮影日がデータとして残るようにするか、当日の新聞やカレンダーと一緒に撮影するとより証拠能力が高まります。

ステップ2:毎朝の「チラ見」チェック

私たち業者もビニール養生などで細心の注意を払いますが、台風並みの強風が吹いた翌日などは、養生テープが剥がれたり、カバーがめくれたりしてしまうことがあります。

「今日は塗装の日だな」と思ったら、朝、洗濯物を干す代わりのタイミングで構いませんので、ご自身でかけたカバーがめくれていないか、隙間ができていないかをチェックしてください。

もし養生が外れかけていたら、遠慮なく現場の職人や監督に声をかけて直してもらいましょう。その「一言」が愛機を守ります。

ステップ3:付着を見つけた時の「NG行動」

もし洗濯機にペンキのような汚れがついているのを発見しても、絶対に慌てて自分で拭き取ろうとしないでください。

除光液やシンナーは厳禁!

特に寒冷地や湿気の多い地域では、吸水した水分が凍って体塗料を落とそうとして、マニキュアの除光液や市販のシンナー(薄め液)を使って拭くのは一番のNG行為です。

洗濯機のボディや操作パネルのプラスチック樹脂が溶けて変色したり、表面が白く濁ってしまったりして、取り返しがつかなくなります。

プロであれば、素材を傷めない専用の溶剤を使って除去できる可能性があります。発見したら「触らず、こすらず」、すぐに現場写真を撮って現場監督に報告してください。

また、『外壁塗装の基本的な工事の流れ』を把握しておくと、「今日は高圧洗浄だから飛散リスクが高い」「今日は手塗りだから比較的安心」といった予測が立ちやすくなり、過度な心配をせずに過ごせるようになります。

塗料飛散による汚れトラブルの回避策
画像はAI生成によるイメージであり実際のものとは異なります。

工事期間中のコインランドリー活用術

「ベランダが使えないなら、いっそ外で済ませてしまおう」という逆転の発想で、工事期間中を乗り切る最強の味方がコインランドリーです。

「重い荷物を持っていくのが面倒」「お金がかかる」と敬遠されがちですが、最近のコインランドリー(ランドリーカフェなど)は驚くほど進化しています。

現場でお客様から「行ってみたら意外と良かった!」「工事が終わっても通いたい」という声をいただくことも多い、その具体的なメリットと賢い使い方をご紹介します。

1. 「ガス乾燥機」の圧倒的なパワー

家庭用の電気乾燥機とは比べ物にならないのが、業務用のガス乾燥機です。70℃〜80℃の高温風で一気に乾かすため、以下のメリットがあります。

  • ダニ・雑菌を撃退
    高温殺菌により、部屋干し特有の生乾き臭や、アレルギーの原因となるダニを死滅させます。
  • 仕上がりが極上
    繊維の奥まで空気が入り込み、タオルや衣類が新品のようにフワフワに仕上がります。
  • 時短効果
    洗濯から乾燥までノンストップで行っても約1時間で完了します。干す手間も取り込む手間もありません。

2. 「大物洗い」の絶好のチャンスにする

工事期間中を「大掃除の機会」と捉えてみましょう。家庭用洗濯機では洗いにくい毛布、羽毛布団、カーテン、カーペットなどをまとめて洗うのに最適です。

特にカーテンは、工事で窓を開けられない期間中、室内の臭いや埃を吸着しやすいアイテムです。コインランドリーで洗ってリフレッシュすれば、閉め切った室内でも清々しく過ごせます。

3. 「スニーカーランドリー」を活用する

多くの店舗に設置されている「スニーカーウォッシャー」と「スニーカー乾燥機」も見逃せません。大人の靴なら2足、子供靴なら4足ほどを一度に洗えて、乾燥まで20分〜40分程度で完了します。

ベランダで靴が干せないこの時期、泥汚れを室内に持ち込まなくて済むのは大きな利点です。

利用のコツポイント
コスト洗濯乾燥コースで1回1,000円〜1,500円程度が目安です。「週に1〜2回の贅沢」と割り切り、必要経費として予算を組んでおくと精神的に楽です。
時間帯雨の日は混雑します。最近はスマホで稼働状況を確認できる店舗も多いので、空いている時間を狙いましょう。
洗剤ほとんどの機械は洗剤・柔軟剤が自動投入されます。重い洗剤ボトルを持っていく必要はありません。

洗濯が終わるまでの1時間、読みたかった本を読んだり、近くのカフェで新しいお気に入りメニューを探したり。不便な工事期間を「自分のための時間」に変えるポジティブな変換が、ストレスフリーに過ごす秘訣です。

室内干しで快適に過ごすための対策

ベランダが使えない期間、避けられないのが「部屋干し」です。

しかし、ただ室内に洗濯物を吊るせばいいというわけではありません。

外壁工事中は窓をビニールで塞ぐ(養生)期間もあるため、普段よりも湿気が逃げにくく、油断すると「生乾き臭」や「室内の壁紙(クロス)のカビ」という二次被害を招いてしまいます。

内装リフォームも担当する私の視点から、家を傷めず、かつ洗濯物をカラッと乾かすための「プロ直伝の部屋干し術」をご紹介します。

1. 「空気の通り道」を作る干し方の工夫

洗濯物が乾くメカニズムはシンプルで、「風が当たり、水分が蒸発すること」です。密集させて干すと湿気が滞留してしまうため、以下の干し方を意識してみてください。

  • アーチ干し
    ピンチハンガーを使う際、両端に長いタオルやズボン、中央に向かって靴下や下着などの短いものを吊るします。横から見た時にアーチ状(逆U字)になるようにすると、中央に上昇気流が発生しやすくなり、乾燥効率がアップします。
  • ずらし干し・裏返し
    乾きにくい厚手のパーカーやジーンズは、裏返して縫い目を表に出します。また、タオルは裾を揃えず、あえてずらして掛けることで、重なる面積を減らして風を当てやすくします。

2. 家電を駆使して「風と除湿」を操る

部屋干しの最強の味方は、サーキュレーター(または扇風機)と除湿機です。

機器効果的な使い方
サーキュレーター (扇風機)「真下から当てる」のが正解です。洗濯物の水分は重力で下に溜まるため、下から風を当てて湿気を飛ばします。首振り機能は使わず、乾きにくい衣類にダイレクトに風を当て続けてください。
除湿機洗濯物の真下に設置し、乾燥した空気を直接当てます。夏場なら「コンプレッサー式」、冬場なら室温も上がる「デシカント式」がおすすめですが、工事期間限定ならエアコンのドライ機能との併用で十分乗り切れます。

3. 干す「場所」選びが運命を分ける

「邪魔だから」といって、部屋の隅や壁際に干していませんか?それはNGです。 壁際は空気が滞留しやすく、湿気が壁紙に吸着してカビの原因になります。

部屋干しのベストポジションは「部屋の中央」、もしくは「エアコンの風が直撃する場所」です。鴨居(かもい)などを利用する場合も、できるだけ壁から離すようにしてください。

工事期間中だけでも、折りたたみ式の室内物干しスタンド(数千円で購入可能)を用意するのが、結果的に一番安上がりで安全な対策となります。

室内干しで快適に過ごすための対策
画像はAI生成によるイメージであり実際のものとは異なります。

業者とのトラブルを防ぐ事前の確認

大規模修繕工事におけるトラブルの9割は、業者と居住者様との間の「言った・言わない」や「思い込み」によるコミュニケーション不足から生まれています。

「プロだから上手くやってくれるだろう」と任せきりにしたり、「こんなことを聞いたらクレーマーだと思われるかな」と遠慮したりする必要は全くありません。

私たち現場の人間からしても、後から「話が違う!」とトラブルになるより、事前に細かく質問していただき、お互いに納得した状態で工事を進められる方が何倍もありがたいのです。

トラブルを未然に防ぐために、工事前の住民説明会や、現場監督(現場代理人)が挨拶に来た際に、必ず確認していただきたい「魔法の質問リスト」をご用意しました。

1. 「移動」と「費用」に関する確認

曖昧になりがちなのが、作業の境界線です。以下の点をクリアにしておきましょう。

  • 移動の要否
    「私の家のベランダの広さと、この洗濯機の大きさでも移動は必須ですか?」
  • 作業の主体
    「移動が必要な場合、業者の手配でやってもらえるのですか?それとも自分で手配する必要がありますか?」
  • 費用の負担
    「脱着費用は修繕積立金から出る(工事費に含まれる)のですか?それとも個人負担ですか?」
  • 復旧の責任
    「工事が終わった後、元の位置に戻す際の再設置(水準器での水平出しやホース接続)まで責任を持ってやってくれますか?」

2. 「スケジュール」に関する確認

「使えない期間」だけでなく、「予備日」の扱いも重要です。

  • 具体的な日時
    「工程表の『防水工事』の期間のうち、実際に洗濯機が使えないのは何月何日から何日までですか?」
  • 雨天時の対応
    「雨で工事が延びた場合、洗濯禁止期間もスライドしますか?その連絡はどうやって知らされますか?」

3. 「補償」と「責任」に関する確認

聞きにくいお金の話こそ、最初に握っておく必要があります。

  • 故障時の対応
    「万が一、作業員さんがぶつかったり、粉塵が原因で故障したりした場合、どこの保険でどのような補償が受けられますか?」
  • 養生の責任
    「洗濯機の保護カバーは業者が用意してくれますか?それとも自分で用意すべきですか?」

「記録」を残すことが最強の自衛です

口頭での約束は、担当者が変わったり時間が経ったりすると忘れられてしまうことがあります。重要な取り決めをした際は、以下の対策をおすすめします。

  • メモを残す
    「〇月〇日、現場監督の〇〇さんに確認。移動は業者負担とのこと」とスマホや手帳にメモをする。
  • 書面でもらう
    移動や補償に関する重要な事項は、できればメールや書面で回答をもらう。

現場監督や職人は、居住者の皆様の協力があって初めて良い仕事をすることができます。

「いい工事にするために協力したいから、詳しく教えてほしい」というスタンスで質問していただければ、私たちも誠心誠意お答えします。疑問点は全てクリアにして、安心して工事期間をお過ごしください。

騒音や振動による洗濯機への影響

大規模修繕工事、特に「下地補修工事」の期間中は、コンクリートを削るドリル音や、建物の躯体を叩く振動が、想像以上の大きさで室内に響き渡ります。

「ズガガガガ!」という激しい振動が、ベランダや室内で稼働中の洗濯機にどのような悪さをするのか、そのメカニズムと対策を詳しく解説します。

洗濯機が「故障」するのではなく「誤作動」するリスク

まずご安心いただきたいのは、工事の振動で洗濯機のモーターが焼き切れたり、物理的に破損したりすることは稀だということです。

洗濯機自体、脱水時には激しく振動する家電ですので、ある程度の揺れには耐えられる設計になっています。

しかし、問題は「センサーの誤検知」です。特に全自動洗濯機やドラム式洗濯機には、洗濯槽の揺れを感知して回転バランスを制御する「振動センサー(Gセンサー)」が搭載されています。

工事による外部からの強い振動が加わると、洗濯機はこれを「衣類が偏って激しく揺れている」と勘違いしてしまいます。

  • 脱水エラーでの停止
    「偏りエラー(UE、E04など)」が出て、運転が強制停止してしまう。
  • 終わらない洗濯時間
    洗濯機が偏りを直そうとして、自動的に「注水」と「すすぎ」の工程に戻ってバランスを取り直そうとします。これにより、いつまで経っても洗濯が終わらず、水と電気を無駄に消費してしまいます。

特に「ドラム式」はデリケートです

ドラム式洗濯機は、縦型に比べて構造が複雑で、多数の電子基板や精密なセンサーを搭載しています。

一般に、電子機器は強い振動や揺れが長時間続くと基板や配線への負担になるとされており、工事による大きな振動が続く環境では洗濯機へのストレスも増えます。

「たかが振動」と思わず、精密機器を守るという意味でも、以下の作業が行われる日は使用を控えるか、振動が比較的少ない時間帯に運転するのが賢明です。

洗濯を避けるべき「要注意日」のキーワード

工事掲示板や工程表に、以下の言葉が書かれている日は特に振動が激しくなります。

  • ハツリ(斫り)工事
    コンクリートを砕く作業。建物全体が揺れるレベルの振動が発生します。
  • Uカットシール充填
    ひび割れに沿って壁を削る作業。高周波の騒音と振動が壁を伝わってきます。
  • ドリル穿孔(せんこう)
    足場を固定するアンカーを打ち込むために穴を開ける作業。

「今日は音がすごいな」と感じたら、無理に洗濯機を回さず、振動が収まるお昼休みの時間帯(一般的に12:00〜13:00)を狙うか、その日は諦める勇気も、トラブル回避のためには必要です。

騒音や振動による洗濯機への影響
画像はAI生成によるイメージであり実際のものとは異なります。

まとめ:マンションの外壁工事におけるベランダ洗濯機対策

ここまで、マンションの大規模修繕工事における「ベランダ洗濯機問題」について、現場の実情や具体的な対策を詳しくお話ししてきました。

長期間にわたる工事生活は、騒音や振動、そして洗濯の不自由さと、居住者の皆様にとっては我慢を強いられる場面が多いのが正直なところです。

しかし、これらの工事は皆様の大切な資産であるマンションの寿命を延ばし、将来の雨漏りや劣化を防ぐためには避けて通れないプロセスでもあります。

最後に、この記事の重要ポイントをもう一度整理します。これらを頭の片隅に置いておくだけで、工事期間中のストレスやトラブルのリスクは劇的に減らせるはずです。

  • 移動の覚悟
    ベランダ床面の防水工事を行う場合、洗濯機の移動や嵩上げ(かさあげ)が必要になるケースがほとんどです。
  • スケジュールの把握
    「高圧洗浄」「防水工事」「塗装作業」の日は、洗濯機の使用も外干しもできません。毎日の掲示板チェックを習慣にしましょう。
  • 自衛の徹底
    100均ではない「専用の厚手カバー」で洗濯機を覆い、工事前の状態を「写真」に残してトラブルに備えてください。
  • 代替手段の準備
    コインランドリーや部屋干しグッズを駆使し、非日常を乗り切る工夫を事前に家族で話し合っておきましょう。

もし、「うちのマンションのベランダの形状だと、移動はどうなるんだろう?」「業者の説明だけでは不安だな」と感じることがあれば、一人で悩まず、まずは施工業者の現場代理人や管理組合、管理会社に相談してみてください。

現場のプロであれば、必ず解決策を持っています。

また、私たちステップペイントでも、『プロによる外壁・屋根の無料点検』や、マンション修繕に関するご相談を承っております。

「工事をきっかけに、住まいをもっと良くしたい」という前向きな気持ちで、この期間を安全に、そして少しでも快適に過ごしていただけることを願っています。


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