
こんにちは。ステップペイントの現場担当 土橋 昭です。
「せっかくベランダの防水工事をしたのに、雨が降ると水たまりができる…」と不安になっていませんか。
工事が終わったばかりのきれいな床に水が溜まっているのを見ると、水はけが悪いせいで工事のやり直しが必要なのではないか、あるいは日々の掃除の手間が増えるだけではないかと、心配になってしまうのは当然のことです。
実は、施工直後は表面が新しく平滑になることで水が広がりにくく、見た目として水滴が残りやすいことがあります。また、元々の床形状(勾配や不陸)や排水条件が原因で水が残るケースも少なくありません。
しかし、中には施工不良や劣化による補修が必要なケースも潜んでいるため、その見極めが非常に重要です。
この記事では、防水層の耐用年数は工法・材料・下地条件・日当たりや使用状況・メンテナンス(トップコート更新など)で大きく変わることを前提に、長持ちさせるための許容範囲の考え方や、DIYでできる安全な対処、そして業者へ相談すべきタイミングを現場目線で分かりやすくお伝えします。
記事のポイント
- 水たまりができる原因と施工不良の判断基準
- 工法ごとの水はけ特徴と乾燥時間の目安
- 水たまりを解消する掃除テクニックと便利グッズ
- 危険な劣化サインと業者依頼時のチェックポイント
- 1. ベランダの防水工事後に水たまりができる原因と判断基準
- 1.1. なぜ、原因は?撥水性や勾配不良の可能性
- 1.1.1. 撥水性が高いほど「水が流れず、玉になって留まる」ことがある
- 1.1.2. 撥水由来の水たまりが落ち着くまでの目安
- 1.1.3. 勾配不良は「水が集まる場所がいつも同じ」になりやすい
- 1.1.4. 「塗り替え」だけでは直せないケースがある理由
- 1.1.5. 「撥水性」と「勾配不良」を見分けるヒント
- 1.1.6. ここがポイント!
- 1.2. 雨が降ったらどうなる?水はけが悪い状態のリスク
- 1.2.1. トップコートの早期劣化と剥離
- 1.2.2. 熱や汚れによる劣化の促進
- 1.2.3. 防水層のふくれ・軟化
- 1.2.4. 注意点
- 1.3. 乾くまでどのくらい時間がかかりますか?蒸発の目安
- 1.3.1. まず押さえたい「乾く時間」を左右する5つの要因
- 1.3.2. 目安としては「24時間以内に消えるか」をひとつの基準にする
- 1.3.3. 乾き方で見る「許容できる残り水」と「疑った方がいい残り水」
- 1.3.4. 「2〜3日晴れても残る」は、蒸発以外の要因を疑うサイン
- 1.3.5. 自宅でできる簡単な観察ポイント
- 1.4. これって大丈夫か?許容範囲と劣化のサイン
- 1.5. FRP防水とウレタン防水での水たまりの特性
- 1.5.1. FRP防水(繊維強化プラスチック)
- 1.5.2. ウレタン防水
- 2. ベランダの防水工事後の水たまり対策と業者への依頼
- 2.1. 解消する方法は?吸水シートやスポンジでの掃除
- 2.1.1. 基本は「水を寄せる」だけでOK:水切りワイパー(スクイージー)
- 2.1.2. ワイパーが効かない「点の水たまり」には吸水スポンジ・吸水シート
- 2.1.3. 「掃除」としての効果を上げるなら「ドレン周りの軽い清掃」が最優先
- 2.1.4. 室外機まわりは「風の通り道」を作ると乾きが早い
- 2.1.5. やってはいけないNG行動:防水を傷める原因になりやすい
- 2.1.6. 「水を取る」ことの意味は、見た目より“汚れの定着を防ぐ”こと
- 2.2. 凹みを埋めるDIYのリスクとやり直しの難易度
- 2.3. ボウフラや苔が発生する前の掃除と除去方法
- 2.3.1. 発生のスイッチは「数ミリの残水」+「汚れの堆積」
- 2.3.2. 予防の最優先は「ドレン周りの掃除」:無料で効く最強メンテ
- 2.3.3. 苔・藻が出始めたら「強くこすらず、やさしく落とす」が鉄則
- 2.3.4. ボウフラ対策は「水を残さない」+「溜まりポイントを潰す」
- 2.3.5. オーバーフローは要注意:室内浸水につながる前に手を打つ
- 2.3.6. 再発させないコツは「乾燥時間を短くする」こと
- 2.4. 業者への連絡と調査立ち会いで責任の所在を確認
- 2.5. ベランダの防水工事後は水たまりは放置せず早めに対処
- 2.5.1. 放置で起こりやすいトラブル:見た目より「汚れの定着」と「劣化の加速」
- 2.5.2. 「やるべきこと」は難しくない:雨上がりの1分チェックが効く
- 2.5.3. 定期的な軽いメンテナンスが、防水の寿命を伸ばす
- 2.5.4. こんな場合は、早めに専門業者へ相談した方が安心
- 2.5.5. 横浜市・川崎市・東京都で外壁塗装や防水工事をお考えの方へ
ベランダの防水工事後に水たまりができる原因と判断基準
工事が終わったばかりのピカピカのベランダに水がたまっていると、「これって失敗じゃないの?」「手抜き工事されたのでは?」とドキッとしてしまうのは当然のことです。
しかし、現場を担当する私から見ると、それは必ずしも異常事態とは限りません。水が残るのには物理的な理由があり、必ずしも施工不良とは限りません。
見え方として水滴が残っていても、防水層自体は健全に機能しているケースもあります。まずは、なぜ水が残ってしまうのか、そのメカニズムと、様子を見ても良い範囲について詳しく解説します。
なぜ、原因は?撥水性や勾配不良の可能性
防水工事後の水たまりは、一見すると同じ「水が残っている状態」に見えても、原因がまったく違うことがあります。
ここでは、見分けのポイントとして「撥水性(表面の性質)による一時的な残り水」と、「勾配・下地形状による構造的な残り水」の2つに分けて整理します。
原因を切り分けておくと、過度に心配しなくて済むだけでなく、必要な対策も選びやすくなります。
撥水性が高いほど「水が流れず、玉になって留まる」ことがある
工事直後に多いのが、防水層やトップコートの表面が新しくなったことで、床が非常に平滑で撥水性が高い状態になり、雨水が広がらずに玉状(ビーズ状)になって残るケースです。
雨水の流れ方は、床の勾配・不陸・表面の平滑性・表面エネルギー(濡れ広がりやすさ)などで変わります。施工直後は表面が新しく均一になり、結果として水が広がりにくく水滴として残って見えることがあります。
このタイプの残り水は、床全体に水が“面”で溜まるというより、コロコロした水滴が点在する、あるいは薄い水が局所的に残る見え方になりやすいのが特徴です。
防水性能そのものの低下ではなく、むしろ水を通さない層ができているために起こる「見え方の変化」です。
撥水由来の水たまりが落ち着くまでの目安
撥水性が強い状態はずっと続くわけではありません。日射や雨、歩行などで表面が少しずつ馴染むことで、濡れ広がり方が変わり、水が流れやすい状態に寄っていくことが多いです。
特に、トップコートを塗り替えた直後は変化が大きく、「前より水が残る」と感じやすい時期でもあります。
ただし、いつ落ち着くかは、日当たり・風通し・使用頻度(よく歩くか)によって差が出ます。見た目としては、季節をまたいで徐々に変化し、時間とともに“水の残り方”が軽くなる傾向を示します。
勾配不良は「水が集まる場所がいつも同じ」になりやすい
もう一つの代表的な原因が、床が本来持つべき傾斜(勾配)が不足している、もしくは部分的に逆方向へ傾く逆勾配、そして床面の微妙なくぼみ(不陸)があるケースです。
勾配に問題がある場合は、雨のたびに同じ地点・同じ形で水が溜まりやすいという特徴が出ます。
ベランダの設計上、雨水を排水口(ドレン)へ導くために緩い傾斜が必要ですが、築年数の経過で建物がわずかに動いたり、下地が部分的に沈んだりすると、もともと確保されていた勾配が弱くなることがあります。
防水工事が「防水層を作る(守る)」工事であるのに対し、勾配の再形成は下地調整(左官的な不陸調整)の領域になるため、契約内容によっては範囲外になっていることも少なくありません。
「塗り替え」だけでは直せないケースがある理由
ウレタン防水やFRP防水の改修は、基本的には既存下地の形状を大きく変えずに防水層・トップコートを更新していく流れになります。
つまり、床がすでに持っている凹凸や低い点がある場合、そこに水が集まる状態は残りやすいということです。
とくに注意したいのは、広範囲に深めの水たまりができる場合や、雨が止んでかなり時間が経っても水が引きにくい場合です。
このときは、撥水の強さというより、水の出口へ向かう勾配そのものが足りていない可能性を疑う必要があります。
「撥水性」と「勾配不良」を見分けるヒント
- 撥水性が主因
水滴が玉状で点在しやすい/残る場所が毎回きっちり同じとは限らない/表面が新しいほど目立つ - 勾配・形状が主因
水が面で溜まりやすい/溜まる位置・形が毎回ほぼ同じ/一定の深さが出ることがある
ここがポイント!
「撥水による丸い水玉」は防水が効いている証拠。「全体的に水が引かない」「大きな水溜り」の場合は、下地の勾配に問題がある可能性があります。

雨が降ったらどうなる?水はけが悪い状態のリスク
では、水はけが悪い状態を放置するとどうなるのでしょうか。「水たまりくらい、そのうち乾くし…」と軽く考えるのは少し危険かもしれません。
もちろん、数時間で乾く程度の水残りなら問題ありませんが、常に水が溜まっている状態は、防水層にとって非常に過酷な環境です。
水たまりが長期間同じ場所にできると、その部分だけ常に湿った状態(常時湿潤状態)になります。すると、以下のようなリスクが高まり、建物の寿命を縮める原因となります。
トップコートの早期劣化と剥離
防水層の表面を守るトップコートは、常に水に浸かっていることを想定して作られていない製品もあります。長期間水に触れ続けると、塗膜がふやけて軟化し、ボロボロと剥がれやすくなります。
表面が剥がれると、その下の防水層本体が紫外線に直接さらされ、劣化が一気に加速します。
熱や汚れによる劣化の促進
晴れた日に水が長く残ると、乾湿差や表面温度のムラが出やすく、汚れの固着やトップコートの劣化が進みやすくなります。結果として、表面の変色・白化・細かなひび割れ(塗膜の劣化症状)につながることがあります。
防水層のふくれ・軟化
ウレタン系を含む防水材は、長期間の滞留水や下地の含水、通気不足などの条件が重なると、ふくれ・軟化・付着力低下などのトラブルが起こることがあります。
水が長く残く状態が続く場合は、表面(トップコート)だけでなく防水層の状態も早めに点検するのが安心です。
注意点
水たまり跡に残る黒い輪っか状の汚れは、大気中の排気ガスやホコリが濃縮されたものです。
これを放置すると汚れが固着し、トップコートの劣化や見た目のムラ(輪ジミ・黒ずみ)が進みやすくなります。結果として、表面保護層の寿命を縮める原因になり得ます。

乾くまでどのくらい時間がかかりますか?蒸発の目安
「雨が止んだのに、いつまでも水が残っている気がする…」という不安はとても多いご相談です。ただ、乾くまでの時間には幅があり、単純に「何時間で消えたら合格」と言い切れるものではありません。
ここでは、読者の方がご自宅の状況をセルフチェックできるように、蒸発の目安(許容範囲の考え方)と、要注意サインを整理して解説します。
まず押さえたい「乾く時間」を左右する5つの要因
同じ雨量でも、乾き方が違うのは次の要因が重なるためです。どれか1つではなく、複数が同時に効いてきます。
- 日射(直射日光の有無)
乾燥スピードに最も影響。日が当たるだけで体感が大きく変わります。 - 気温
高いほど蒸発が進みやすく、低いほど水が残りやすくなります。 - 風通し
風があると湿った空気が入れ替わり、乾燥が早まります。 - 湿度
湿度が高い日は蒸発が進みにくく、乾きが遅くなります。 - 水の「深さ」と「広がり方」
薄い水膜は消えやすく、深い水たまりは時間がかかります。
目安としては「24時間以内に消えるか」をひとつの基準にする
現場での説明として分かりやすい目安の一つは、雨上がりから概ね24時間程度で水の範囲が明らかに縮み、翌日にはほぼ気にならないレベルになるかどうかです(ただし季節・日当たり・風通しで前後します)。
通常の環境でこの範囲に収まるなら、機能上は大きな問題になりにくいケースが多いです。
例えば、夏場で日当たりと風通しが良いバルコニーなら、雨上がりから数時間〜半日程度で乾くことも珍しくありません。
一方、冬場・日陰・北側・周囲を壁に囲まれた間取りでは、同じ量の水でも丸一日かかることがあります。「冬は乾きが遅い」のは、異常というより条件による差として起こり得ます。
乾き方で見る「許容できる残り水」と「疑った方がいい残り水」
不安を減らすためには、時間だけでなく「残り方」にも注目するのがコツです。
- 許容範囲になりやすい残り方
薄い水膜がうっすら残る/時間とともに範囲が縮んでいく/翌日にはほぼ消える。 - 要注意になりやすい残り方
同じ位置に毎回たまる/水の深さがある/縁がくっきりした“池”のように残る/時間が経っても面積があまり変わらない。
特に「薄く広がっている水」と「深く溜まっている水」では、乾燥時間が別物です。薄い水膜は比較的早く消えますが、深い水たまりは、見た目以上に時間がかかります。
「2〜3日晴れても残る」は、蒸発以外の要因を疑うサイン
次のような状況なら、単なる蒸発待ちではなく、排水や床形状に原因がある可能性が高くなります。
- 晴天が続いているのに、2〜3日経っても水が残る
- 水が引かず、床が常にジメジメして乾く暇がない
- 水たまりの位置と形が毎回ほぼ同じ
また、排水口(ドレン)へ水が集まるべきなのに、ドレン周りのほうが高く見える、あるいはドレンの手前で水が止まってしまうような場合は、床の形状や納まりに起因していることもあります。
水の残り方が「いつも同じ」「深さがある」「長期間変わらない」場合は、蒸発の問題として片付けず、状況に合わせた点検が必要になります。
自宅でできる簡単な観察ポイント
問い合わせや点検の前に、次の2点を押さえておくと状況が伝わりやすくなります。
- 雨が止んだ時刻と、水がどのくらい残ったか(半日後・翌日など)
- 水が残る場所の傾向(いつも同じか/広がっているか/深いか)
乾燥時間には個体差がありますが、見え方に振り回されず、時間と残り方の両面から判断すると、必要以上に不安にならずに済みます。

これって大丈夫か?許容範囲と劣化のサイン
水たまりができているからといって、すぐに工事のやり直しが必要なわけではありません。完全に水を残さないようにするためには、大規模な勾配修正工事が必要となり、費用も高額になるからです。
以下のチェックリストで、ご自宅のベランダの状態が「許容範囲」なのか、それとも専門家に見せるべき「劣化のサイン」なのかを確認してみてください。
| 状態 | 判断 | 詳細と対策 |
|---|---|---|
| 水がコロコロとした玉状になって弾いている | 正常 | 防水機能が十分に発揮されています。そのまま様子見でOKです。 |
| 翌日には概ね乾いている | 許容範囲 | 勾配が緩やかかもしれませんが、防水層への悪影響は少ないレベルです。 |
| 晴天でも3日以上水が残る | 要注意 | 排水不良や勾配不良の疑いがあります。強制的な排水や掃除が必要です。 |
| 水たまり部分の塗装が変色・剥がれ・膨れ | 劣化サイン | 防水層がダメージを受けています。早めに専門業者へ相談してください。 |
| 藻や苔が生えてヌルヌルしている | 要注意 | 湿った状態が長く続いているサインです。滑りやすく転倒リスクが上がるほか、汚れの固着で乾きにくくなり、トップコートの劣化が進みやすくなります。まずは清掃と排水改善を行い、再発が続く場合は点検をおすすめします。 |
特に、「水たまりの底に藻が出ている」「踏むと柔らかく感じる」「押すと水っぽい感じがする」といった場合は、表面だけでなく防水層の浮きや下地の含水などが疑われます。放置せず早めに専門業者へ点検を依頼してください。

FRP防水とウレタン防水での水たまりの特性
ベランダやバルコニーの防水工事にはいくつかの工法があり、それぞれ材質の特性によって水たまりのできやすさや見え方が異なります。ここでは、一般住宅で代表的な2つの工法について、プロの視点から特性を解説します。
FRP防水(繊維強化プラスチック)
新築の戸建て住宅(特にバルコニー)で多く採用される工法の一つです。ガラス繊維のマットを樹脂で固めて、カチカチに硬化するプラスチックの層を作るため、表面が非常に硬く平滑です。
そのため、施工直後は特に撥水性が高く、コロコロとした水玉ができやすいのが最大の特徴です。
また、素材自体が硬く柔軟性がないため、下地(合板など)のわずかな反りや継ぎ目の段差、施工時の不陸(ふりく:平らでないこと)をそのまま拾ってしまい、特定の場所に水が溜まりやすい傾向があります。
ウレタン防水
液体状の樹脂を塗り重ねて、継ぎ目のないゴム状の防水層を作る工法です。弾力性があり、複雑な形状のベランダや、動きのある建物でも施工しやすいのがメリットです。
ウレタン防水は、材料タイプ(自流平型/非自流平型)や施工方法によって仕上がりが変わります。
自流平型などでは、微細な凹凸をなだらかにしやすい一方、最終的な水勾配の良し悪しは下地形状と施工精度に大きく左右されます。また、FRPに比べて表面が柔らかいため、水たまりによる汚れが定着しやすいという特徴もあります。
それぞれの工法による費用の違いや、施工期間の目安については、以下の『ベランダ防水工事の日数は?工法別の目安と流れを解説』の記事でも詳しく解説しています。ご自宅のベランダがどのタイプかを確認する際の参考にしてください。

ベランダの防水工事後の水たまり対策と業者への依頼
「機能的には許容範囲内とは分かったけれど、やっぱり見た目が気になる」「洗濯物を干すときに靴下が濡れるのが嫌だ」という方もいらっしゃるでしょう。
水たまりを放置しないことは、防水層を長持ちさせるためにも非常に有効です。ここからは、日常でできる簡単な解消方法や、DIYでの注意点、どうしても改善しない場合の業者への依頼方法についてお話しします。
解消する方法は?吸水シートやスポンジでの掃除
防水工事後の水たまりを「今すぐ何とかしたい」という場合、いちばん安全で確実なのは、防水層に負担をかけない方法で物理的に水を取り除くことです。
薬剤で無理に落としたり、硬い道具でこすったりすると、防水の表面保護層(トップコート)を痛める原因になりやすいため、ここでは誰でもできて、失敗しにくい“掃除と水抜き”の手順に絞って解説します。
基本は「水を寄せる」だけでOK:水切りワイパー(スクイージー)
水はけが少し悪い程度なら、雨上がりに水切りワイパー(スクイージー)で水をドレン方向へ寄せるだけで、体感できるほど乾燥が早まります。コツは、床全体を一気に攻めるのではなく、水の“逃げ道”を作ってから寄せることです。
- まず、ドレン周りに溜まった砂・落ち葉を軽く取り除き、流れを確保する
- 床の高い側から低い側へ、短いストロークで少しずつ水を移動させる
- 最後にドレンへ集めて、目皿の周りに残った水を軽く押し出す
これだけで、水が長時間停滞してできやすい水垢(白い跡)や苔(こけ)の予防にもつながります。
ワイパーが効かない「点の水たまり」には吸水スポンジ・吸水シート
床のくぼみや、室外機の脚・手すり支柱の根元など、ワイパーが入りにくい場所に残る水は、吸水スポンジや吸水シート(吸水クロス/吸水タオル)が便利です。
ポイントは「置いて吸わせる」こと。こすらずに済むので、表面を傷めにくい方法です。
- 水たまりの中心に吸水シートをふわっと置く(押し付けない)
- 吸ったら、バケツで絞るか、ドレン付近で静かに排水する
- まだ残る場合は、同じ動作を数回繰り返す
深めの水たまりでも、1回で無理に取り切ろうとせず、数回に分ける方が安全です。
「掃除」としての効果を上げるなら「ドレン周りの軽い清掃」が最優先
水たまり対策で意外と効くのが、ドレン(排水口)周りの簡単な清掃です。ドレンの目皿付近に砂や泥が溜まると、水の流れが弱まり、床面に水が戻ってきたり、引きが遅くなったりします。
- 落ち葉・砂を手で取り除く(手袋推奨)
- やわらかいブラシで目皿の周囲だけ軽くなでる
- 最後に少量の水を流して、スムーズに落ちるか確認する
ここは「強くこする」必要はありません。詰まりの芽を取るだけで、排水スピードが改善することがあります。
室外機まわりは「風の通り道」を作ると乾きが早い
室外機の周りは、脚の下や配管カバー付近に水が残りやすい一方で、ワイパーが入りづらい場所です。吸水クロスで水を取ったあと、クロスを敷きっぱなしにせず回収し、周囲に物を置かないことで風が通り、乾きやすくなります。
やってはいけないNG行動:防水を傷める原因になりやすい
手早く解消したくても、次の行動は防水層の寿命を縮める原因になりやすいので避けてください。
- 金属ヘラ・硬いデッキブラシでゴシゴシこする
- 研磨剤入りのスポンジでこする
- 強い溶剤系の洗剤を多用して表面を脱脂しすぎる
- 高圧洗浄で一点に当て続ける(表面を痛めやすい)
「水を取る」ことの意味は、見た目より“汚れの定着を防ぐ”こと
水たまり対策は、単に見た目をスッキリさせるだけではありません。水が長く残るほど、土埃が沈殿して水垢ができたり、苔が発生しやすくなったりします。
だからこそ、雨上がりのタイミングでサッと水を寄せる・吸うだけでも、日常の維持管理として大きな効果があります。
まずはワイパーで“流れを作る”、残る分だけ吸水スポンジやシートで“点の水”を取る。この順番が、もっとも手軽で、防水層にやさしい解消法です。

凹みを埋めるDIYのリスクとやり直しの難易度
「水たまりができる凹みを、ホームセンターで買ってきたモルタルや補修材で自分で埋めてしまおう」と考える方がいらっしゃいますが、これはプロとしては絶対におすすめできません。
防水層の上に適当な材料を上塗りしても、化学的な相性が悪く密着せずに、すぐにパリパリと剥がれてしまうことがほとんどです。
また、素人判断で下手に厚塗りをしてしまうと、かえって水の流れをせき止めてしまい、別の場所に新たな水たまりを作ってしまう「ダム現象」を引き起こすリスクもあります。
さらに最悪の場合、DIYで使用した材料が原因で、次回プロに依頼する際に「既存の防水層を全て撤去しなければならない」という事態になり、補修費用が倍増することさえあります。
もし、DIYでトップコートの塗り替えだけを行いたい場合は、正しい手順と材料選びが必須です。
失敗しないための手順については、以下の『DIYで失敗しない!FRP防水のトップコートを塗り替える手順』の記事で詳しく紹介していますので、必ず確認してから着手してください。

ボウフラや苔が発生する前の掃除と除去方法
ベランダの水たまりを放置すると、見た目の問題以上に厄介なのがボウフラ(蚊の幼虫)や藻・苔(こけ)の発生です。とくに夏場は、ほんのわずかな残り水でも環境が整うと発生リスクが上がります。
また、苔や藻は「濡れている時間」が長いほど定着しやすく、いったん根付くと床面が滑りやすくなったり、汚れが落ちにくくなったりして、日常の手入れが一気に大変になります。
防水層自体の問題というより、湿った環境が続くことで起きる“二次トラブル”として捉えておくと対策が取りやすいです。
発生のスイッチは「数ミリの残水」+「汚れの堆積」
ボウフラや苔が発生しやすい条件はシンプルで、水が溜まることに加えて、砂埃・落ち葉・泥・洗濯物の糸くずなどが溜まり、そこに栄養分や足場ができることです。
水があっても、床がきれいで乾きやすい状態なら定着しにくい一方、汚れが溜まると水が引きにくくなり、湿気がこもって苔が生えやすくなります。つまり対策は「薬剤」より先に、乾きやすい環境に戻すことが基本になります。
予防の最優先は「ドレン周りの掃除」:無料で効く最強メンテ
ベランダのトラブルの多くは、床そのものよりも排水口(ドレン)まわりの詰まりから始まります。ドレンの目皿(ストレーナー)に落ち葉・泥・砂が溜まると、排水が遅くなって床全体が湿りやすくなり、結果的にボウフラや苔の温床になります。
週1回を目安に、次の手順だけでも十分効果があります。
- ほうきやちりとりで床の砂・落ち葉を回収する
- ドレンの目皿周りに溜まったゴミを取り除く(手袋推奨)
- 最後に少量の水を流して、スムーズに落ちるか確認する
これだけで水たまりの“残る時間”が短くなり、苔・藻の定着を大きく抑えられます。ドレン清掃は誰でもできて、費用もかからないのに効果が高い、まさに最強の防水メンテナンスです。
(参考:マンションのベランダ・バルコニーのお手入れ|一般財団法人 住宅金融普及協会)
苔・藻が出始めたら「強くこすらず、やさしく落とす」が鉄則
苔や藻を見つけたときにやりがちなのが、硬いブラシでゴシゴシこする方法です。
しかし、防水層の表面保護層(トップコート)を痛めると、汚れがさらに付きやすくなり、再発しやすい状態を作ってしまうことがあります。除去は次の考え方で進めるのが安全です。
- まずは乾燥させる(晴れた日に行うと作業が楽になります)
- やわらかいブラシやスポンジで、表面を“なでる”ように汚れを浮かせる
- 最後に水で流し、拭き取りや水切りで水分を残さない
ポイントは「削り取る」ではなく「浮かせて回収する」こと。苔が広がる前の段階なら、このやり方で十分落とせることが多いです。
ボウフラ対策は「水を残さない」+「溜まりポイントを潰す」
ボウフラ対策でいちばん確実なのは、薬剤よりも水を残さないことです。雨上がりに水切りワイパーでドレンへ寄せ、くぼみの水は吸水シートで取るだけでも、発生リスクは大きく下がります。
また、盲点になりやすいのが、室外機の脚の下・手すり支柱の根元・鉢植えの受け皿など、狭い範囲に水が溜まるポイントです。
ここを「いつも湿っている状態」にしないよう、定期的に位置を確認し、溜まりやすい場所は吸水でリセットする習慣をつけると効果的です。
オーバーフローは要注意:室内浸水につながる前に手を打つ
ドレンが詰まってベランダが“プール状態”になると、強い雨のときに水が行き場を失い、サッシ下端や取り合い部へ回り込んでオーバーフローする危険があります。
これは防水層の出来・不出来以前に、排水機能が止まっている状態です。雨が続く季節は、とくにドレン清掃の効果が出やすいタイミングです。
再発させないコツは「乾燥時間を短くする」こと
苔やボウフラは、“水があること”よりも、“水が長く残ること”が原因になりやすいトラブルです。週1回の掃き掃除とドレン清掃、雨上がりの軽い水切りだけでも、乾燥時間が短くなり、発生条件を作りにくくできます。
防水を長持ちさせる意味でも、発生してから慌てるより、発生する前に乾きやすい状態を保つことがいちばんの近道です。

業者への連絡と調査立ち会いで責任の所在を確認
「明らかに工事前よりも水たまりがひどくなった」「水が全く流れない」「排水口周りが高くなっていて逆勾配になっている」という場合は、施工業者に連絡して調査を依頼しましょう。
その際、感情的に伝えるのではなく、以下のポイントを整理して事実を伝えるとスムーズに対応してもらえます。
業者へ伝えるポイント
- いつから水たまりが気になり始めたか(工事直後からか、数ヶ月経ってからか)
- 雨が上がってから何日くらい水が残っているか(具体的な時間経過)
- 水たまりができる具体的な場所(全体か、特定の窪みか、ドレン周りか)
- 当時の契約内容(勾配修正や下地調整が含まれていたか)
調査には必ず立ち会い、一緒に水たまりの状態を確認してください。晴れている日の場合は、ホースで水を流して、実際にどのように水が溜まるかを再現してもらうのが確実です。
もし、契約時に「下地調整(勾配修正)」を含まない「表面の塗り替えのみ」の契約だった場合、既存の下地に起因する勾配不良による水たまりは、施工不良(瑕疵)とは認められないケースが多いです。
しかし、施工によって排水口を塞いでしまったり、極端な塗りムラで水たまりができたりしている場合は、業者の責任で手直しを依頼できる可能性があります。
万が一、業者との話し合いが平行線になってしまった場合は、第三者機関である公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(愛称:住まいるダイヤル)などに相談することも一つの手段です。(参考:公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)
また、ハウスメーカー(例:ヘーベルハウスや積水ハウスなど)のベランダ防水の場合、特殊な塩ビシートや独自の工法が使われていることがあり、一般的な塗装店では判断が難しい場合があります。
そうした専門的なケースについては、以下の『ヘーベルハウスの防水シート張り替え費用は?相場と業者選びを解説』の記事も参考にしてみてください。

ベランダの防水工事後は水たまりは放置せず早めに対処
防水工事後に水たまりが見えると、「これって大丈夫?」と不安になる一方で、「そのうち乾くだろう」と放置してしまう方も少なくありません。
ですが、ここで押さえておきたいのは、短時間で引く残り水は様子見でも、長く残る水は“劣化を早める要因”になりやすいという点です。
防水層は水を通さないため、いつまでも水が滞留する状態が続くと、表面保護層(トップコート)や汚れの付着環境に影響が出やすくなります。
放置で起こりやすいトラブル:見た目より「汚れの定着」と「劣化の加速」
水たまりの放置で最初に出やすいのは、雨水が乾く過程で残る水垢(白い輪ジミ)や、砂埃が固着してできる黒ずみです。さらに、湿った状態が続けば、苔(こけ)や藻の発生につながり、床面が滑りやすくなることもあります。
こうした汚れは見た目の問題だけでなく、表面が汚れることで乾燥が遅くなり、結果として“濡れている時間が長い状態”を自分で作ってしまう悪循環に入りやすいのが厄介です。
また、防水層そのものは水を止めるためのものですが、表面のトップコートは紫外線・摩耗・汚れにさらされ続けます。
滞留水が長い環境では、汚れの固着や微細な劣化が進みやすくなり、結果的にトップコートの保護機能が落ちる→汚れがさらに付きやすいという流れになりやすい点は、現場でもよく見られます。
「やるべきこと」は難しくない:雨上がりの1分チェックが効く
大がかりな対策よりも効果が出やすいのが、雨上がりに次の点をサッと確認する習慣です。
- 水が残る位置が毎回同じか(同じなら床形状や排水経路の影響が疑いやすい)
- ドレン周りに落ち葉・砂が溜まっていないか(詰まりの芽を早期に潰せる)
- 水の引きが前より遅くなっていないか(変化が出たら点検のタイミング)
この“1分チェック”だけでも、トラブルの早期発見につながります。
定期的な軽いメンテナンスが、防水の寿命を伸ばす
防水を長持ちさせるコツは、特別なことをするよりも、汚れを溜めない・水を溜めないという環境づくりです。
例えば、ドレン周りの簡単な清掃、水切りワイパーでの水寄せ、くぼみに残る水は吸水シートで取る、といった軽い対応でも、汚れの定着や苔の発生を抑えやすくなります。
「防水工事をしたから安心」ではなく、「防水工事をしたからこそ、日常の軽い手入れで性能を維持できる」という考え方が、結果的にコスト面でも得になります。
こんな場合は、早めに専門業者へ相談した方が安心
自己判断が難しいケースもあります。次のような状況が見られるなら、放置せず点検を依頼する方が安心です。
- 晴天が続いても水がいつまでも残る/残る範囲が広い
- 同じ場所に深めの水たまりが繰り返しできる
- 床が常に湿っぽい/苔や藻が増えてきた
- ドレン付近で水が引かず、流れが悪い感覚がある
- 表面にひび割れ・剥がれ・浮きのような変化が見える
水たまりは、放置しても突然すぐ雨漏りになるとは限りません。しかし、放置によって少しずつ環境が悪化し、気づいたときには対処が大きくなるケースがあるのも事実です。
せっかく行った防水工事の効果を長く保つためにも、雨上がりの小さな確認と、定期的な軽いメンテナンスを習慣にして、早めに対処していきましょう。







