
こんにちは。ステップペイントの現場担当 土橋 昭です。
ご自宅のベランダや屋上をふと見渡したとき、「あれ?なんだか塗装がパリパリ、ペラペラと剥がれているな…」と気になったことはありませんか?
そのウレタン防水のトップコートの剥がれ、実は見た目の問題だけでなく、建物が発している大事なSOSサインかもしれません。これを放置してしまうと、最悪の場合、雨漏りに繋がってしまい、建物の寿命を縮める原因になることもあります。
DIYでの補修はどこまで可能なのか、専門業者に頼むと費用は一体いくらかかるのか、そもそもウレタン防水の耐用年数ってどのくらいなの?など、色々な疑問や不安が湧いてきますよね。
特に、塗装面が水ぶくれのようにプクッと膨れているのを見つけると、「これは一体どうすれば…」と途方に暮れてしまう方も多いかと思います。
この記事では、ウレタン防水の専門家である私が、トップコートが剥がれる根本的な原因から、ご自身でできる劣化状況のチェック方法、正しい補修の手順、そして最も気になる費用相場まで、現場のリアルな視点を交えながら、誰にでも分かりやすく徹底的に解説していきます。ぜひ、最後までお付き合いください。
記事のポイント
- トップコートが剥がれる根本的な原因
- 劣化サインの見分け方と放置するリスク
- DIYと業者依頼の費用・メリット比較
- 適切な工事タイミングと長持ちさせる秘訣
- 1. ウレタン防水トップコートの剥がれる原因と劣化状態について
- 1.1. 剥がれを引き起こす主な原因とは
- 1.1.1. 経年劣化
- 1.1.2. 施工不良
- 1.1.3. 下地処理の不足・手抜き
- 1.1.4. プライマーの選定ミス・塗り忘れ・不足
- 1.1.5. 乾燥時間の不足(インターバルの不遵守)
- 1.1.6. 物理的なダメージ
- 1.1.7. ドレン(排水口)の詰まりも要注意!
- 1.2. 放置が招く雨漏りのリスクと状態
- 1.2.1. 雨漏りは建物の寿命を確実に縮めます
- 1.3. 写真で見る劣化レベルのセルフ調査
- 1.3.1. 【レベル1:初期症状】- メンテナンスの検討時期
- 1.3.2. 【レベル2:中期症状】- 早めの専門家相談を推奨
- 1.3.3. 【レベル3:末期症状】- 緊急対応が必要な危険な状態
- 1.4. トップコートの役割と製品寿命
- 1.4.1. トップコートの2大役割
- 1.5. 膨れや浮きを放置してはいけない
- 1.6. 専門家による調査が必要なケース
- 2. ウレタン防水の寿命とトップコートの剥がれを補修する費用
- 2.1. DIYで補修する場合の費用相場
- 2.1.1. 主な材料と費用目安(10㎡程度の一般的なベランダの場合)
- 2.2. 業者に依頼する場合の費用相場
- 2.2.1. トップコートの塗り替えのみの場合
- 2.2.2. 【計算例】10㎡のベランダの場合
- 2.2.3. 防水層からやり直す場合(ウレタン防水通気緩衝工法など)
- 2.3. 塗料の種類で変わる費用と耐用年数
- 2.4. 優良な業者の選び方と見積もり
- 2.4.1. 優良業者を見極めるチェックリスト
- 2.5. 失敗しないDIY補修の手順
- 2.5.1. 1.【最重要】高圧洗浄・清掃
- 2.5.2. 2.完全乾燥
- 2.5.3. 3.下地処理(ケレン・補修)
- 2.5.4. 4.養生(マスキング)
- 2.5.5. 5.プライマー(下塗り)塗布
- 2.5.6. 6.トップコート塗布(中塗り・上塗りの2回塗り)
- 2.5.7. DIYの注意点とリスク
- 2.6. ウレタン防水トップコートの剥がれは早期補修が鍵
- 2.6.1. 横浜市・川崎市・東京都で外壁塗装や防水工事をお考えの方へ
ウレタン防水トップコートの剥がれる原因と劣化状態について

ベランダや屋上で目にするトップコートの剥がれ。単に「古くなったからかな?」と思いがちですが、実はその背景には様々な要因が隠されています。見た目が損なわれるのはもちろん、これは防水機能が低下し始めていることを示す、非常に重要なサインなんです。
まずは、なぜトップコートが剥がれてしまうのか、そのメカニズムと、もし放置してしまった場合に待ち受けるリスクについて、プロの視点から深く掘り下げていきましょう。
剥がれを引き起こす主な原因とは

トップコートの剥がれは、単一の原因で起こることは少なく、ほとんどの場合、複数の要因が複雑に絡み合って発生します。現場でよく見られる代表的な原因を、もう少し詳しくご紹介しますね。
経年劣化
最も一般的で、避けては通れない原因が、やはり経年劣化ですね。屋外にあるベランダや屋上は、私たちが思う以上に過酷な環境にあります。
真夏の強烈な紫外線、容赦なく降り注ぐ雨、冬の凍結と融解の繰り返し、そして日々の寒暖差。トップコートは、こうした外部からの攻撃から、その下にあるデリケートなウレタン防水層を守る「保護膜」としての役割を担っています。
しかし、紫外線は塗料の成分である樹脂の分子結合を徐々に破壊し、塗膜の柔軟性を奪っていきます。柔軟性が失われた塗膜は、コンクリート下地のわずかな伸縮や建物の揺れに追従できなくなり、やがて表面に微細なひび割れ(ヘアークラック)を発生させます。
そのひび割れから雨水などの水分が浸入し、塗膜と下地との付着力を弱め、最終的にペリペリとした剥がれに繋がってしまうのです。特に日当たりの良い南向きのベランダなどは、劣化の進行が早い傾向にありますね。
施工不良
「数年前に工事したばかりなのに、もう剥がれてきた…」というケース。これは非常に残念ながら、施工不良の可能性を疑わざるを得ません。
どんなに高性能な塗料を使っても、施工の手順や品質が伴っていなければ、その性能は発揮されません。具体的には、以下のようなケースが考えられます。
下地処理の不足・手抜き
防水工事において最も重要と言っても過言ではないのが、この下地処理です。
高圧洗浄で目に見えないカビやコケ、油分などを徹底的に除去できていなかったり、既存の弱った塗膜を剥がしきる「ケレン作業」が不十分だったりすると、新しい塗料が下地にしっかりと食いつかず、密着不良を起こします。
いわば、汚れた壁にセロハンテープを貼るようなもので、すぐに剥がれてしまうのは想像に難くないですよね。
プライマーの選定ミス・塗り忘れ・不足
プライマーは、下地と防水材(またはトップコート)を強力に接着させるための「接着剤」の役割を果たします。
このプライマーを塗り忘れるのは論外ですが、下地の種類や状態に合わないプライマーを選んだり、塗布量が少なすぎたりしても、十分な接着力が得られません。結果として、層間での剥離が起こりやすくなります。
乾燥時間の不足(インターバルの不遵守)
プライマーやトップコートなどの各工程には、メーカーが定めた適切な乾燥時間(インターバル)があります。この時間を守らずに次の工程に進んでしまうと、塗料内部の溶剤が完全に揮発しないまま次の層が塗り重ねられ、塗膜の内部で蒸れが発生します。
これが塗膜の膨れや剥がれを引き起こす大きな原因となります。特に、工期を急ぐあまり、この乾燥時間を軽視してしまう業者もいるため注意が必要です。
(参考:公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版|国土交通省)
物理的なダメージ
日常生活における何気ない行動が、トップコートにダメージを与えていることもあります。例えば、重いプランターを引きずってしまったり、工具のような硬いものを落としてしまったり。
こうした物理的な衝撃によって塗膜に傷がつくと、そこが劣化の起点となり、水の浸入口となってしまいます。また、物干し竿を置く場所や室外機周りなど、特定の場所を頻繁に歩く場合、その部分だけ摩耗が激しくなり、他の場所より早く劣化が進むこともありますね。
ドレン(排水口)の詰まりも要注意!
意外と見落としがちなのが、ベランダや屋上のドレン(排水口)の詰まりです。落ち葉や砂、飛んできたゴミなどでドレンが詰まると、雨水がスムーズに排出されず、床面に水たまりができてしまいます。
塗装面が長時間水に浸かった状態(滞水状態)にあると、塗膜は通常よりもはるかに早く劣化し、ふやけて剥がれやすくなってしまいます。防水性能を長持ちさせるためにも、定期的なドレンの清掃はとても重要ですよ。
もし工事後に水たまりができて不安な場合や、その詳しい原因については、『ベランダ防水工事後の水たまりは大丈夫?原因と対策を解説』の記事もぜひ参考にしてみてください。
放置が招く雨漏りのリスクと状態

「トップコートが少し剥がれているだけだから、見栄えが悪いだけだろう」と軽く考えてしまうのは、本当に危険です。
先ほどもお伝えした通り、トップコートはあくまで防水層を守るための「保護膜」。この保護膜が失われると、防水層の主役であるウレタン防水層が、紫外線や雨風に直接晒されることになります。
ウレタン防水層は、ゴムのような柔軟性で水の浸入を防いでいますが、紫外線に非常に弱いという性質を持っています。保護を失った防水層は急速に劣化が進み、硬化してひび割れたり、最終的には破断してしまったりします。
そうなると、防水機能は完全に失われ、雨水は防水層を通過してコンクリートの下地へと直接侵入してしまいます。これが雨漏りの直接的な原因です。
そして、一度雨漏りが始まってしまうと、被害は建物の表面だけでは収まりません。構造体であるコンクリート内部の鉄筋を錆びさせて膨張させ、コンクリートを内側から破壊する「爆裂」という現象を引き起こしたり、室内の天井や壁にシミやカビを発生させ、健康被害に繋がる可能性もあります。
さらに、湿った木材を好むシロアリを呼び寄せる原因になることも…。

雨漏りは建物の寿命を確実に縮めます
トップコートの剥がれは、いわば「このままだと、そのうち雨漏りしますよ」という建物からの最終警告とも言えるサインです。
この初期段階で対処すれば、比較的安価なトップコートの塗り替えだけで済みますが、放置して雨漏りにまで発展してしまうと、防水層のやり直しはもちろん、建物の内部構造の修繕まで必要になり、補修費用は何倍、場合によっては何十倍にも膨れ上がってしまいます。
写真で見る劣化レベルのセルフ調査

ご自宅の防水の状態が今どのレベルにあるのか、ご自身で簡単にチェックできるポイントを、劣化の進行段階に沿ってご紹介します。スマートフォンで写真を撮りながら確認すると、後で業者に相談する際にも役立ちますよ。
【レベル1:初期症状】- メンテナンスの検討時期
- 色あせ・変色
新築時や前回の塗装時と比べて、明らかに色が薄くなったり、まだら模様になったりしている状態。これは塗膜表面の樹脂が紫外線で劣化し始めた最初のサインです。ツヤがなくなってきたな、と感じたら要注意ですね。 - チョーキング現象
表面を手でそっと撫でてみてください。手に白い粉のようなものが付着したら、それがチョーキングです。紫外線によって塗料の成分である顔料が粉状になって表面に現れている状態で、塗膜の保護機能が低下し始めている証拠です。
【レベル2:中期症状】- 早めの専門家相談を推奨
- ひび割れ(ヘアークラック)
髪の毛ほどの細さ(幅0.3mm以下)のひび割れです。この段階ではまだ防水層まで達していないことが多いですが、放置すればひび割れは広がり、水の浸入口となります。 - 塗膜の膨れ
塗膜の一部が水ぶくれのようにプクッと膨れている状態です。これは内部に水分が侵入し、太陽熱で気化して塗膜を押し上げている証拠。後述しますが、非常に重要な劣化サインなので、見つけたら早めの対処が必要です。
【レベル3:末期症状】- 緊急対応が必要な危険な状態
- トップコートの明らかな剥がれ
保護膜であるトップコートが広範囲にわたって剥がれ、下の灰色や緑色の防水層が露出している状態。防水層が直接ダメージを受けており、防水機能は著しく低下しています。 - 防水層の破れ・亀裂
防水層自体が破れたり、大きな亀裂が入ったりして、下地のコンクリートが見えてしまっている状態。雨が降れば、ほぼ確実に水が浸入していると考えて間違いありません。雨漏りの危険性が極めて高い、最も深刻な状態です。
もし、ご自宅のベランダが【レベル3】の状態、あるいは【レベル2】でも範囲が広い場合は、ご自身で判断せず、すぐに私たちのような専門業者に診断を依頼することをおすすめします。
トップコートの役割と製品寿命
ここで改めて、ウレタン防水における「トップコート」の役割と、その寿命について正確に理解しておきましょう。これを分かっていると、メンテナンスの重要性がより深く理解できるかなと思います。
トップコートの2大役割
防水層の保護【最重要】
ウレタン防水層は、柔らかく弾力性に富むことで防水性能を発揮しますが、紫外線や摩耗には非常に弱いという弱点があります。
トップコートは、その上に硬い膜を形成することで、紫外線、熱、雨、雪、人の歩行による摩擦といったあらゆる外的要因から、心臓部であるウレタン防水層をがっちりと守ります。いわば、防水層のための「鎧」や「日焼け止め」のような存在ですね。
美観の維持と向上
ベランダや屋上の見た目を美しく保つ役割も担っています。グレーやグリーンが一般的ですが、カラーバリエーションも豊富なので、建物のデザインに合わせて色を選ぶことも可能です。最近では、太陽光を反射して表面温度の上昇を抑える「遮熱トップコート」なども人気があります。
この非常に重要な役割を担うトップコートですが、その効果は永久ではありません。トップコートは環境条件や塗料グレードで差が出るため一概には言えませんが、数年ごと(目安として3〜5年程度)に点検し、劣化サインが出たら塗り替えを検討するのが基本です。
耐候性の高いタイプでは、状況によって5〜7年程度を目安にできる場合もあります。
もちろん、日当たりの強さ、雨量の多さ、人の歩行頻度といった立地環境や使用状況によって、その寿命は大きく変動します。例えば、ほとんど歩くことのない屋上と、毎日洗濯物を干すベランダとでは、劣化のスピードが全く違います。
(参考:外壁及び屋根防水の補修・改修部分の耐久性評価手法|国土技術政策総合研究所)
そのため、5年を過ぎたら一度、専門家による点検を受けることを強く推奨します。定期的にトップコートを塗り替えることで、その下にある防水層本体の寿命を大幅に延ばすことができ、結果として、防水層全体をやり直すような大規模で高額な工事を防ぐことに繋がるのです。
膨れや浮きを放置してはいけない

剥がれと並んで、非常によく見られる劣化症状が「膨れ」や「浮き」です。先ほども少し触れましたが、これは極めて重要なサインなので、もう少し詳しく解説しますね。
膨れが発生する主な原因は、塗膜の下に閉じ込められた水分です。この水分は、下地のコンクリートに含まれていた湿気や、微細なひび割れから侵入した雨水などが考えられます。
夏場に強い日差しで表面が熱せられると、この閉じ込められた水分が蒸発して水蒸気となり、体積が膨張します。その逃げ場のない水蒸気が、内側から塗膜を風船のように押し上げることで「膨れ」が発生するのです。
このような湿気が原因のトラブルを防ぐための「脱気装置」という設備やその役割については、『防水工事の脱気装置とは?役割や必要性を現場のプロが解説』で詳しく解説しています。
小さな膨れだからといって針で刺して空気を抜こうとしたり、放置したりするのは絶対にやめてください。人が歩いた際の圧力などで簡単に破れてしまい、そこが新たな、そしてより大きな水の浸入口となってしまいます。
膨れがあるということは、その下には既に水分が回っている、あるいは下地からの湿気が多いという証拠です。これは表面的な問題ではなく、防水層の内部で問題が起きているサインなので、見つけたら剥がれと同様、速やかに専門家に診断を依頼するのが賢明な判断と言えるでしょう。
専門家による調査が必要なケース

ご自身でのセルフチェックの結果、もし以下のような状態が見られた場合は、DIYでの部分的な補修では対応が難しく、根本的な解決にはなりません。手遅れになって大きな工事が必要になる前に、私たちのような防水工事の専門家にご相談ください。
- 剥がれや膨れが広範囲に及んでいる
例えば、ベランダ床面積全体の2割~3割以上に症状が見られる場合。これは表面的な劣化ではなく、防水層全体が寿命を迎えている可能性が高いです。 - トップコートだけでなく、下の防水層にも亀裂や破れが見られる
防水層そのものがダメージを受けているため、トップコートを上から塗っても意味がありません。防水層からの改修が必要不可欠です。 - すでに室内に雨漏りのようなシミやカビが発生している
天井や壁に雨染みがある、壁紙が剥がれてきた、カビ臭いといった症状がある場合、すでに建物内部に水が侵入しています。原因箇所を特定し、緊急の対応が必要です。 - 床面を歩くと、ブヨブヨ、フカフカとした感触がある
これは非常に危険なサインです。防水層の下に水が溜まっているか、あるいは下地となっている木製の合板などが腐食している可能性が非常に高いです。放置すると床が抜け落ちる危険性もあります。
これらの症状は、いずれも防水層の下、つまり建物の躯体にまで水が影響を及ぼしている可能性を示唆しています。表面的な補修だけでは、雨漏りは止まりません。プロによる正確な原因究明と、状況に応じた適切な防水工事の計画が必要になります。
ウレタン防水の寿命とトップコートの剥がれを補修する費用
さて、ご自宅の防水の状態が把握できたところで、次に気になるのはやはり「補修にいくらかかるのか?」という費用面ですよね。ここでは、ご自身で挑戦するDIYの場合と、私たちプロの業者に依頼する場合、それぞれの費用相場やメリット・デメリット、そして工事の寿命について、具体的かつ現実的な視点で詳しく解説していきます。
DIYで補修する場合の費用相場

ごく軽微なトップコートの色あせや、数センチ程度の小さな剥がれであれば、DIYで補修に挑戦してみるという選択肢もあります。費用は主にホームセンターなどで購入する材料費と道具代になります。
主な材料と費用目安(10㎡程度の一般的なベランダの場合)
- ウレタン防水用トップコート塗料(2~4kg程度):5,000円~15,000円
- プライマー(下塗り材):3,000円~7,000円
- ローラー、ローラーハンドル、バケットセット:2,000円~3,000円
- 刷毛(細かい部分用):500円~1,000円
- マスキングテープ、マスカー(養生用):1,000円~2,000円
- スクレーパー(ヘラ)、ワイヤーブラシ(下地処理用):1,000円~2,000円
- 洗浄用品(デッキブラシ、洗浄剤など):1,000円~3,000円
- メーカー指定の脱脂剤(溶剤を使う場合は十分な換気と火気厳禁)、ウエス(布):1,000円~2,000円
これらを合計すると、おおよそ20,000円~35,000円程度が、DIYで一通りの作業を行う際の費用相場かなと思います。
確かに業者に依頼するよりも初期費用を抑えられるのが最大の魅力ですが、後述するように、正しい知識と手順で行わないと、かえって状況を悪化させてしまうリスクも伴うことを十分に理解しておく必要があります。
業者に依頼する場合の費用相場
私たちのような専門業者に依頼する場合、費用は劣化の進行度合いによって大きく2つのパターンに分かれます。正確な金額は現場調査の上で見積もりを出すことになりますが、ここでは一般的な相場感をお伝えしますね。
トップコートの塗り替えのみの場合

防水層自体には大きなダメージがなく、経年劣化によるトップコートの色あせや軽微な剥がれといった症状の場合に行う、最も基本的なメンテナンス工事です。
作業内容としては、高圧洗浄で汚れを落とし、剥がれかかった旧塗膜を除去する下地処理を行い、プライマーを塗布した上で、新しいトップコートを2回塗りして仕上げます。この場合の費用相場は、1㎡あたり2,500円~4,000円程度が目安となります。
【計算例】10㎡のベランダの場合
10㎡ × 3,000円/㎡ = 30,000円
ここに足場が不要な場合の諸経費(現場管理費など)を含めると、総額で40,000円~60,000円前後が一般的な価格帯になるかなと思います。
防水層からやり直す場合(ウレタン防水通気緩衝工法など)
トップコートの剥がれが広範囲に及び、下の防水層にも亀裂や破れが見られる、あるいは膨れが多数発生しているなど、防水機能そのものが失われていると判断されるケースです。この場合、表面的なトップコートの塗り替えだけでは解決しないため、防水層からの再構築が必要になります。
既存の防水層の状態に応じて、上から新しい防水層を重ねる「かぶせ工法」や、下地の湿気による膨れを防ぐための「通気緩衝(つうきかんしょう)工法」、あるいは既存の防水層を全て撤去してからやり直す「撤去再生工法」など、専門的な工法が選択されます。
費用相場は工法によって大きく変わりますが、1㎡あたり6,000円~10,000円以上となり、工事も大掛かりになります。
防水層からのやり直しとなると工期も気になるところです。工法別の工事日数の目安や具体的な流れについては、『ベランダ防水工事の日数は?工法別の目安と流れを解説』をご覧ください。
塗料の種類で変わる費用と耐用年数

トップコートの塗り替えを検討する際、どの種類の塗料を選ぶかによって、初期費用と将来的なメンテナンスサイクル(耐用年数)が大きく変わってきます。安さだけで選ぶのではなく、長期的な視点(ライフサイクルコスト)で考えることがとても大切ですね。
| 塗料の種類 | 耐用年数の目安 | 1㎡あたりの費用目安(材料+施工費) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| アクリル | 2~4年 | 2,000~3,500円 | 最も安価で施工しやすいですが、紫外線に弱く耐用年数が非常に短いです。こまめな塗り替えが必要なため、長期的に見ると割高になる可能性があります。 |
| ウレタン | 5~7年 | 2,500~4,000円 | 価格と性能のバランスが良く、最も標準的に使用されるタイプです。適度な弾力性があり、下地の動きにも追従しやすいのが特徴です。 |
| シリコン | 7~10年 | 3,000~5,000円 | ウレタンよりも耐久性、耐候性、防汚性に優れています。汚れが付きにくく、長期間美観を保ちやすいのがメリットです。 |
| フッ素 | 10~15年程度 | 4,500~7,000円 | 非常に高い耐久性と防汚性を誇る最高級グレードの塗料です。初期費用は高価ですが、塗り替え回数を大幅に減らせるため、ライフサイクルコストを最も抑えられる可能性があります。 |
この表からも分かるように、初期費用が安いアクリルはすぐに塗り替え時期が来てしまいます。一方で、初期費用は高くてもフッ素を選べば、次のメンテナンスまでの期間を長く取ることができます。どの塗料が最適かは、ご自宅の状況やお客さまの長期的なメンテナンス計画によって変わってきます。
また、最近では太陽光の赤外線を反射して、ベランダ表面の温度上昇を抑える遮熱タイプのトップコートも非常に人気があります。
夏場のベランダ下の部屋の室温上昇を緩和する効果が期待でき、光熱費の削減に繋がる可能性もあります。初期費用は通常のトップコートより少し上がりますが、付加価値として検討してみるのも良いかもしれません。
優良な業者の選び方と見積もり

いざ専門業者に頼もうと思っても、「どこに頼めばいいのか分からない」「悪徳業者に騙されたくない」と不安に感じる方も多いですよね。大切な住まいを任せるパートナー選びで後悔しないために、ぜひ押さえておきたいポイントをいくつかご紹介します。
優良業者を見極めるチェックリスト
相見積もりを必ず取る
まずは最低でも2~3社から見積もりを取りましょう。価格だけでなく、工事内容や提案の違いを比較検討することが非常に重要です。1社だけの見積もりでは、その金額や内容が適正かどうか判断できません。
見積書の内容が詳細で明確か
良い業者の見積書は、「工事一式」のような曖昧な表記はしません。「高圧洗浄」「下地処理(ケレン)」「プライマー塗布」「トップコート塗布(2回塗り)」といった工程ごとの単価や数量、使用する塗料のメーカー名や製品名(例:日本特殊塗料 プルーフロンNT-F)まで、誰が見ても分かるように詳細に記載されています。
施工実績が豊富で公開されているか
会社のホームページなどで、過去に手掛けたウレタン防水工事の事例写真や実績を確認できると安心です。自分と似たような状況の施工事例があれば、仕上がりのイメージも湧きやすいですね。
専門的な資格を持つ職人が在籍しているか
「一級防水施工技能士」といった国家資格は、職人の確かな知識と技術力を客観的に証明するものです。資格保有者が在籍しているかどうかも、業者選びの一つの判断基準になります。
保証やアフターフォロー体制がしっかりしているか
工事後にどのような保証が付くのか、事前に必ず書面で確認しましょう。「施工後◯年保証」といった保証書を発行してくれるか、また、万が一不具合が発生した場合に迅速に対応してくれる体制が整っているかどうかも重要なポイントです。
(参考:防水保証ガイドライン 2020年版|一般社団法人 日本防水材料協会)
失敗しないDIY補修の手順
「費用を抑えたいし、どうしても自分でやってみたい!」というチャレンジ精神旺盛な方のために、DIYでの基本的な補修手順をご紹介します。
ただし、これはあくまで軽微なトップコートの塗り替え(5㎡未満程度)に限る方法であり、プロの施工品質とは異なること、そして失敗のリスクも伴うことを十分に理解した上で、自己責任で作業してください。
1.【最重要】高圧洗浄・清掃
まず、デッキブラシや高圧洗浄機を使って、床面の土や砂、ホコリ、コケ、藻、古い塗膜の剥がれかかった部分などを徹底的に洗い流します。油分が付着している場合は、中性洗剤や専用の洗浄剤を使ってしっかりと除去してください。この工程が不十分だと、何を塗っても必ず後から剥がれてきます。
2.完全乾燥
洗浄後は、塗装面を完全に乾燥させる必要があります。天気の良い日に、最低でも丸1日、できれば2日以上は時間をかけて、見た目だけでなく内部の湿気までしっかりと乾かしましょう。
3.下地処理(ケレン・補修)
スクレーパー(金属製のヘラ)やワイヤーブラシを使って、浮いている塗膜や剥がれかけている塗膜をガリガリと削り落とします。残っている塗膜との段差は、サンドペーパーなどで磨いてなだらかにしておきましょう。小さなひび割れがあれば、ウレタン系のシーリング材で埋めておきます。
4.養生(マスキング)
塗料が付いてはいけないサッシの際や、室外機の配管、壁との取り合い部分などを、マスキングテープやマスカー(テープとビニールシートが一体化したもの)で丁寧に保護します。この作業が仕上がりの美しさを大きく左右します。
5.プライマー(下塗り)塗布
下地とトップコートの密着性を高めるための「接着剤」であるプライマーを、ローラーや刷毛を使ってムラなく均一に塗布します。塗り溜まりができないように、薄く伸ばすのがコツです。製品に記載された乾燥時間を必ず守ってください。
6.トップコート塗布(中塗り・上塗りの2回塗り)
プライマーが完全に乾いたら、いよいよトップコートを塗っていきます。一度に厚く塗ろうとせず、まずは1回目(中塗り)を均一に塗り、規定の乾燥時間を置いた後、2回目(上塗り)を塗るのが、キレイで丈夫な塗膜を作るコツです。隅や細かい部分は刷毛で、広い面はローラーで作業すると効率的です。
DIYの注意点とリスク
一見簡単そうに見えるかもしれませんが、各工程には専門的な知識と技術が必要です。下地処理が不十分だったり、塗料の選定を間違えたり、乾燥時間を守らなかったりすると、数ヶ月でまた剥がれてきてしまい、結局業者に頼むことになって「安物買いの銭失い」になるケースが後を絶ちません。
また、溶剤系の塗料は臭いがきつく、近隣への配慮も必要です。高所での作業には転落の危険も伴います。少しでも不安を感じたり、劣化が広範囲に及んでいたりする場合は、無理せずプロに任せるのが最も賢明で確実な選択だと私は思います。
ウレタン防水トップコートの剥がれは早期補修が鍵

ここまで、ウレタン防水トップコートが剥がれる原因から補修方法、費用に至るまで詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ベランダや屋上のトップコートの剥がれは、単なる「見た目が古くなった」という表面的な問題ではありません。それは、建物を雨水から守るという非常に重要な防水機能が低下していることを示す、見逃してはならないサインなのです。人間の健康診断と同じで、「早期発見・早期治療」が何よりも重要です。
「まだ小さな剥がれだから大丈夫だろう…」と油断して放置してしまうと、劣化は確実に進行し、やがて雨漏りを引き起こし、建物の構造自体を傷めてしまう深刻な事態に発展しかねません。
初期段階で対処すればトップコートの塗り替えだけで済んだはずが、防水層の全撤去や下地の補修、さらには内装のリフォームまで必要になり、結果的に何倍もの費用と時間がかかってしまいます。
定期的にご自宅のベランダや屋上の状態をチェックする習慣をつけ、もし今回ご紹介したような劣化のサインを見つけたら、なるべく早く専門家に相談すること。それが、結果的にあなたの大切な住まいの寿命を延ばし、将来的な予期せぬ出費を抑える最も賢い方法です。







