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外壁のメンテナンスコラム

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アスファルト防水の耐用年数は?寿命を延ばす改修時期と費用を解説

アスファルト防水の寿命はいつ?プロが教える最適な改修タイミング

こんにちは。ステップペイントの現場担当 土橋 昭です。

マンションやビルの屋上を見上げると、グレーのシートが敷き詰められていたり、コンクリートで覆われていたりしますよね。あれが建物を雨から守る「アスファルト防水」です。

新築時からずっと建物を守り続けてくれているこの防水層ですが、実際にどのくらいの期間持つものなのか、気になっているオーナー様や管理組合様も多いのではないでしょうか。

「今の防水工事から15年経つけど、見た目は変わらないし、まだ大丈夫かな?」「雨漏りしてから直せばいいと思っていたけど、それだと費用が高くなるって本当?」といったご相談を現場でも毎日のようにいただきます。

ひび割れた屋上の写真と、放置することで将来のコストが膨らむリスクを警告するテキスト。
画像はAI生成によるイメージであり実際のものとは異なります。

実は、建物の屋上防水には、塩ビシート防水や塗膜防水(ウレタンなど)、FRP防水などさまざまな種類があり、それぞれ耐用年数やメンテナンスの時期がまったく異なります。

特に今回取り上げるアスファルト防水は、防水工法の中でも特に信頼性が高く、耐用年数が長いと言われていますが、それでも永遠に持つわけではありません。

国土交通省の基準や、私たちが現場で目の当たりにする実際の劣化推移を知っておくことは、将来的な大規模修繕の計画を立てる上で、そして無駄な出費を抑えるためにも非常に重要です。

知らずに放置して手遅れになってしまうと、断熱材の交換やコンクリートの補修まで必要になり、修繕コストが跳ね上がってしまうこともあるんです。

今回は、近年主流になりつつある改質アスファルト防水や常温粘着工法といった種類の違いから、見積書によく出てくるA-1やA-2といった仕様による寿命の差、さらには撤去費用や単価、アスベスト処理といった改修時のリアルな注意点まで、現場の視点でわかりやすく詳細に解説します。

「防水シートは何年くらい持つのか」「勾配や立上りの納まりがどう寿命に影響するのか」といったプロの知識を余すことなく共有させてください。

また、「何回まで重ね張り(オーバーレイ)ができるのか」といった、教科書には載っていない現場の常識にもお答えします。

記事のポイント

  • アスファルト防水やその他主要防水工法の耐用年数と劣化要因
  • 国交省仕様(A-1等)による寿命の違いと選び方
  • 劣化サインと改修のベストな時期
  • 撤去やアスベスト等の費用相場と見積もりのコツ
目次

アスファルト防水の耐用年数と種類ごとの目安

建物の中でも、紫外線、雨、風、そして温度変化といった最も過酷な環境にさらされ続けている屋上。

ここを守るアスファルト防水は、非常にタフな仕様で作られていますが、その寿命は選定された工法や建物の置かれている環境によって大きく変わります。

ここでは、公的な基準や他の防水工法との詳細な比較を交えながら、実際の現場で私たちが「寿命」と判断している目安について深掘りして解説していきます。

公的データが示す屋上防水耐用年数の基準

私たち現場の人間が改修計画を立てる際、感覚だけで「そろそろダメですね」と言うことはありません。必ず客観的な指標に基づいた判断を行います。

その指標の一つとなるのが、建設省(現国土交通省)の総合開発プロジェクト等で示された「標準耐用年数」です。これによると、アスファルト防水の耐用年数は、露出工法で約13年、保護(押え)工法で約17年とされています。

国土交通省の基準(露出13年・保護17年)と、現場での砂付きシートの寿命目安(13〜15年)を比較した図

(参考:共同住宅ストック再生のための技術の概要(耐久性・耐用性)|国土交通省

ただし、これはあくまで係数を用いない「標準値」であり、実際の寿命は建物の設計・施工品質・維持管理の状態によって変動します。

「思ったより短いな」と感じられるかもしれませんが、これは「仕上げの方法」によっても大きく異なるため、もう少し詳しく見ていきましょう。

露出仕上げと押えコンクリート仕上げの違い

アスファルト防水の寿命を決定づける最大の要因は、「防水層がむき出しになっているか、守られているか」です。

露出仕上げ(標準耐用年数:約13年)

防水層の最表面に砂がついたシート(砂付きルーフィング)を使用したり、仕上塗料で保護したりする工法です。

常に紫外線や熱の影響を直接受けるため、保護(押え)に比べて更新時期が早くなりやすい傾向があります。もちろん、環境やメンテナンス次第ではこれより長く持つこともありますが、早めの点検が必要です。

押え(保護)仕上げ(標準耐用年数:約17年)

防水層の上に保護層(保護コンクリート等)を設ける工法です。防水層が外力や紫外線から守られるため、標準値は17年ですが、条件によっては26年〜30年以上機能する場合もあります。

ただし、漏水時はコンクリートの下にある防水層が見えないため、原因箇所の特定に手間がかかる点に注意が必要です。

また、ここで注意が必要なのは、「耐用年数」という言葉にはいくつかの意味があるということです。

知っておきたい耐用年数の種類の違い
  • 法定耐用年数
    税務上の減価償却期間のことです。防水「工事」そのものに一律の年数が固定で定まるというより、資産区分(建物/建物附属設備など)や工事内容により取り扱いが変わります。物理的な限界とは別物なので、税務上の年数だけで改修時期を判断しないことが重要です。
  • 物理的耐用年数
    実際に防水機能が維持できる期間です。環境やメンテナンス次第で長短が出ます。現場で重視するのはこちらです。
  • 経済的耐用年数
    「補修して使い続ける費用」と「新しくやり直す費用」を比較し、更新した方が合理的になるまでの期間です。

(出典:国土交通省『公共建築工事標準仕様書(建築工事編)』等)

改質アスファルト防水と常温粘着工法の寿命

アスファルト防水と一口に言っても、昔ながらの「熱工法」だけではありません。熱工法は溶解釜でアスファルトをドロドロに溶かして施工するため、強烈な臭いと煙が発生します。

そのため、近隣への配慮が必要な市街地の改修工事では、最近は「改質アスファルト防水」が主流になりつつあります。

改質アスファルトとは、従来のアスファルトに合成ゴムやプラスチック(ポリマー)を添加して性能を向上させたものです。

これにより、低温でも割れにくく、高温でもダレにくい、そして「伸び」が良いという特性を持っています。この改質アスファルトシートを使った工法には、主に「トーチ工法」と「常温粘着工法(冷工法)」があります。

トーチ工法の耐久性と施工のポイント

トーチ工法は、改質アスファルトシートの裏面をバーナーで加熱して貼り付ける工法です。

耐用年数は仕様条件で差が出ますが、改質アスファルトシート防水の標準的な整理では、在来のアスファルト防水と同様に扱われています(露出仕様の目安として約13年程度)。

この工法の最大のメリットは、溶けたアスファルトが接着剤の役割を果たすため、シート同士が一体化(溶着)し、非常に高い水密性を発揮することです。

ただし、職人の腕が如実に現れる工法でもあります。炙り不足だと接着不良を起こし、炙りすぎるとシートを傷めてしまいます。私たちも現場管理では、適切な溶融ができているかを厳しくチェックしています。

常温粘着工法(冷工法)のメリットと寿命

常温粘着工法(冷工法)は、粘着層付きシートを剥離紙ごと貼り付ける工法で、火気を使わない点が特徴です。耐用年数は下地処理や納まりの精度で左右されますが、標準的な整理ではトーチ工法と同様に扱われています。

「貼るだけで大丈夫なの?」と心配される方もいますが、最近の粘着層は性能が非常に高く、時間が経つにつれて下地と強固に一体化します。

ただし、下地の清掃やプライマー(接着剤)の塗布が不十分だと剥がれの原因になるため、下地処理の精度が寿命に直結します。

工法選びのポイント
  • 新築や臭いが出ても良い現場:信頼性No.1の「熱工法」
  • 改修工事でバランス重視:コストと性能のバランスが良い「トーチ工法」
  • 火気厳禁や臭い対策最優先:安全安心の「常温粘着工法」

塩ビシート防水や塗膜防水との耐用年数一覧

お客様から「他の防水と比べて、アスファルト防水はどうなの?」「ウレタン防水のほうが安いと聞いたけど?」と聞かれることが非常に多いです。

防水工法にはそれぞれ「適材適所」がありますが、コストと寿命のバランスを見るために、主要な防水工法を比較してみましょう。

工法名標準耐用年数目安特徴・メリットデメリット・注意点
アスファルト防水露出:約13年/保護(押え):約17年防水層を複層で構成でき、水密性・信頼性が高い。工法によっては臭い・煙への配慮が必要。保護(押え)は漏水時の原因特定に手間がかかる場合がある。
塩ビシート防水(目安)約13~15年程度工業製品のため品質が安定しやすい。継ぎ目・端部など納まりが弱点になりやすい。鳥害など外的要因にも注意。
ウレタン防水(塗膜防水)(目安)約10~12年程度複雑形状に対応しやすく、継ぎ目がない。膜厚管理・下地条件で耐久性が左右される。トップコート等の維持管理が重要。
FRP防水(目安)約10~12年程度硬化が早く、耐摩耗性に優れる。下地の動きに追従しにくく、用途・面積・納まりの設計が重要。

一覧表を見ていただくとわかるように、アスファルト防水は、初期費用や重量のデメリットはありますが、一度施工すれば最も長持ちし、メンテナンスの手間も比較的少ない工法と言えます。

逆に、ウレタン防水などは初期コストを抑えられますが、耐用年数が短く、メンテナンスの頻度が高くなるため、長期的なライフサイクルコスト(LCC)で見ると割高になる場合もあります。

他の工法について、例えばヘーベルハウスなどの屋上でよく使われるシート防水の詳細や、ハウスメーカー特有の注意点については、『ヘーベルハウスの屋上で後悔しない対策!30年後の費用や雨漏りリスクを現場プロが解説』の記事でも現場視点で詳しく解説していますので、併せて参考にしてみてください。

耐用年数が長いFRP防水の特徴と防水工事

「FRP防水も最強に長持ちするってネットで見たけど、屋上には使えないの?」というご質問もよくいただきます。

FRP防水は「Fiber Reinforced Plastics(繊維強化プラスチック)」の略で、ガラス繊維のマットにポリエステル樹脂を染み込ませて固める工法です。

船の船体やプールの内側、自動車のバンパーなどにも使われている、非常に強靭な素材です。

確かに素材単体で見れば非常に丈夫で、耐水性・耐食性はトップクラスです。しかし、「硬い」ということは「柔軟性がない」ということでもあります。

鉄筋コンクリート造や鉄骨造の大きな建物は、気温の変化や地震によって、私たちが感じないレベルで常に伸縮したり揺れたりしています。

柔軟性のあるアスファルト防水や塩ビシート防水は、この動きに合わせて伸び縮みしてくれますが、ガチガチに硬いFRP防水は、建物の動きに追従できずに「パキッ」と割れてしまうリスクが高いのです。

そのため、木造住宅のバルコニーのような小さな面積(10㎡〜20㎡程度)には最適ですが、マンションのような広い屋上では、伸縮目地を大量に入れる必要が出てくるなど、防水層としての信頼性を保つのが難しくなります。

広い屋上の改修で「とにかく長持ちさせたい」という場合は、やはり建物の動きに追従できるアスファルト防水や塩ビシート防水を選択するのが、現場のセオリーです。

FRP防水の特徴や施工日数、バルコニーでの活用法については、『ベランダ防水工事の日数は?工法別の目安と流れを解説』の記事で詳しくまとめています。

防水シートは何年くらい持ちますか?その目安

アスファルト防水の中でも、マンションやビルの改修工事で最も多く目にするのが「露出防水」です。

屋上に上がると、表面がザラザラした細かい砂(鉱物粒)で覆われた、グレーや緑色のシートが敷き詰められている光景をよく見るかと思います。これは「砂付きルーフィング」と呼ばれる仕上げ材です。

「この砂付きシート、結局のところ何年持つの?」という疑問に対する、私たち現場の正直な答えは、ズバリ「13年〜15年前後」です。

「新築時のパンフレットや業者の営業トークで、20年や30年持つと聞いたことがある」という方もいらっしゃるかもしれません。確かに、アスファルトという素材自体は非常に耐久性が高いものです。

しかし、それはあくまで「漏水していない(穴が開いていない)」という状態を指していることが多く、私たちプロが考える「建物や下地を安全に守れる期間(健全な寿命)」とは、認識に少しズレがあるのが現実です。

砂付きルーフィングが13年で限界を迎えるメカニズム

そもそも、なぜシートの表面に砂が付いているかご存知でしょうか?この砂には、単なる滑り止めや意匠性以上の、非常に重要な役割があります。それは、アスファルト成分を強烈な紫外線から守る「日傘」の役割です。

施工から10年〜12年を過ぎると、経年劣化や雨風によって表面の砂が徐々に剥がれ落ちていきます。ドレン(排水溝)周りに砂がたくさん溜まっているのを見たことはありませんか?あれは防水層からのSOSサインです。

砂が落ちて下のアスファルト層(コンパウンド)が直接紫外線にさらされるようになると、以下のようなプロセスで急速に劣化が進行します。

表面の砂が紫外線を防ぐ日傘の役割を果たし、砂が剥がれることで油分が揮発してひび割れるまでのイラスト。
防水シート劣化の進行プロセス
  1. 保護層の消失
    表面の砂が落ち、紫外線が直撃する。
  2. 油分の揮発
    アスファルトに含まれる油分(可塑剤)が抜け、柔軟性が失われる。
  3. 硬化・収縮
    シートがプラスチックのように硬くなり、縮もうとする力が働く。
  4. 破断(クラック)
    建物の微細な揺れや気温変化による伸縮に耐えられなくなり、「ピキッ」とひび割れが発生する。

環境による寿命のバラつきと「部分劣化」

「13年」というのはあくまで平均値であり、同じ屋上内でも環境によって劣化スピードは驚くほど変わります。現場調査に行くと、北側は綺麗なのに南側だけボロボロ、といったケースは日常茶飯事です。

  • 日当たりの良い南面・西面
    紫外線の影響を強く受けるため、シートが反り返ったり、ひび割れが早期に始まることも珍しくありません。
  • 日陰の北面や設備機器の下
    紫外線が当たらないため、かなり長期間弾力性を保っていることもあります。
  • 水はけの悪い場所(水下)
    滞水が続くと、汚れの堆積・苔や藻の発生、凍結融解の繰り返し、端部や継ぎ目への負担増などが起きやすく、防水層の劣化や不具合(膨れ・剥がれ等)につながります。

「漏水待機期間」のリスクと修繕のいたちごっこ

標準耐用年数を超えたアスファルト露出防水は、人間で言えばかなりの高齢です。

たとえ今現在、室内に雨漏りがしていなくても、シート全体が硬化して柔軟性を失っているため、いつどこで血管(防水層)が切れてもおかしくない「漏水待機期間」に入っています。

この時期に一番避けたいのが、雨漏りの「いたちごっこ」です。「一箇所雨漏りしたから、そこだけパッチ補修で直した」としても、その隣のシートも同じように寿命を迎えています。

次の台風や大きな地震が来たとき、今度は補修した箇所のすぐ脇が割れて雨漏りする…という負の連鎖が始まります。

こうなると、都度かかる業者の出張費や調査費、補修費がかさみ、結果的に最初から全面改修しておけば良かったと後悔されるオーナー様が非常に多いのです。

終わりのない補修の「いたちごっこ」と、修繕費用が2〜3倍に膨れ上がる「見えないコストの爆発」を説明する図。

「まだ漏れていないから」と限界まで引っ張るのではなく、シートの硬化や砂落ちが目立ち始める時期を節目と考え、計画的な改修(かぶせ工法など)を検討することが、最終的には建物の維持コストを最小限に抑える賢い選択となります。

劣化の推移とグラフで見る防水工事の時期

防水層の劣化は、一定のペースで均等に進むわけではありません。この劣化の進行イメージを持っておくことが、適切な改修時期を見極めるポイントになります。

0〜20年以上の経過年数に伴う防水層の健全度を示したグラフ。10〜15年の改修推奨期が最も費用対効果が高いことを示している。
画像はAI生成によるイメージであり実際のものとは異なります。
防水層劣化の進行ステージ
  • ~5年(初期・安定期)
    ほとんど変化はありません。表面の砂が多少落ちる程度です。この時期にトラブルが起きるとすれば、施工不良の可能性が高いです。
  • 5年~10年(中期・注意期)
    表面の保護塗料(トップコート)が色あせたり、チョーキング(粉を吹く現象)が見え始めます。まだ防水機能に問題はありませんが、定期点検を意識し始める時期です。
  • 10年~15年(後期・改修推奨期)
    シートの一部に「膨れ」が発生したり、継ぎ目が剥がれかけたり、平場に細かいひび割れが発生します。この時期が、最も費用対効果良く改修できるベストタイミングです。
  • 15年~(末期・危険期)
    防水層が破断し、雨水が侵入し始めます。断熱材が水を吸って機能を失ったり、下地コンクリートの中性化が進み鉄筋が錆びるなど、建物本体へのダメージが進行します。

「雨漏りしてから直せばいい」という考え方は、結果的に高くつくことがあります。

雨漏りが発生している時点で、防水層下の断熱材や下地が含水しているケースも多く、防水工事に加えて断熱材の撤去・交換や下地補修が必要になると、工事範囲と費用が大きく増えやすくなります。

劣化カーブが急降下する前、「まだ大丈夫かな?」と思うくらいの時期にプロの点検を入れることが、建物を長く安く維持する秘訣なんです。

アスファルト防水の耐用年数を維持するための改修費用

アスファルト防水は耐用年数が長い優秀な工法ですが、いざ改修時期を迎えたとき、どうしても気になるのが費用の問題です。「全部剥がしてやり直すと高いの?」「上から重ねるだけでいいの?」といった疑問は尽きません。

撤去が必要なのか、重ねて施工できるのかによって、見積もり金額は大きく変わります。

ここでは、改修工事にかかる費用の考え方や、工事の品質を左右する技術的なポイント、そして見積もりを見る際の注意点について詳しく解説します。

撤去費用単価の相場とアスベスト処理の注意

アスファルト防水の改修には、大きく分けて2つのアプローチがあります。

一つは既存の防水層をすべて剥がして下地を露出させる「撤去工法」、もう一つは既存の防水層を残したまま、その上から新しい防水層を被せる「かぶせ工法(オーバーレイ工法)」です。

かぶせ工法(オーバーレイ)の中でも、下地の影響を受けにくい「絶縁工法」については、『アスファルト防水の絶縁工法とは?費用や特徴を現場のプロが解説』の記事でさらに詳しく解説しています。

撤去工法を選ぶ場合、防水工事費とは別に、既存防水層の「撤去費用」と「処分費」が発生します。

一般的な相場として、撤去費用は1㎡あたり2,000円~4,000円程度、さらに廃材処分費が加算されます。例えば100㎡の屋上なら、撤去だけで数十万円の追加コストがかかる計算になります。

さらに、ここで絶対に知っておかなければならないのが、「アスベスト(石綿)」の問題です。

注意!古い防水層の石綿(アスベスト)リスク

ここで、オーナー様にぜひ知っておいていただきたい大切な法律の話があります。2022年4月から、一定規模以上の工事では「石綿(アスベスト)事前調査結果」の報告が義務化されました。

(参考:4月1日から石綿の事前調査結果の報告制度がスタートします ~3月18日から電子システムによる報告ができます~ | 報道発表資料 | 環境省

  • 報告のラインは「100万円」
    防水改修などの工事金額が100万円(税込)以上になる場合、石綿の有無に関わらず、有資格者が調査して自治体や労働基準監督署へ電子報告しなければなりません。
  • 築年数だけで判断はNG
    アスベストは2006年に全面禁止されましたが、それ以前の建物は「ゼロ」とは言い切れません。

(参考:アスベスト対策Q&A – 国土交通省

「うちは小規模だから……」と思われがちですが、屋上防水は100万円を超えるケースが多いです。

万が一、未報告のまま工事を強行すると、オーナー様側もトラブルに巻き込まれるリスクがあります。見積書に「事前調査費用」や「有資格者による調査報告」が含まれているか、必ずチェックしてくださいね。

0〜20年以上の経過年数に伴う防水層の健全度を示したグラフ。10〜15年の改修推奨期が最も費用対効果が高いことを示している。

A-1やA-2の違いとAS-1等の種別

工事業者から出てきた見積書や仕様書を見ると、「A-1」や「A-2」、「AS-J1」といった謎の記号が書かれていることがあります。

「これって何の違い?」と聞いても、専門用語で返されてよく分からない…という経験はありませんか?これらは防水のグレードや仕様を表す重要な記号です。

記号が表す意味とスペックの違い

A-1・A-2など(JASS 8規格)

日本建築学会(AIJ)の仕様で、一般的に数字が小さいほど層数が多く、高スペックであることを示します。

  • A-1
    熱工法で、断熱材なしの密着仕様。アスファルトルーフィングを3〜4層重ねる重厚な仕様です。
  • A-2
    A-1より層数が少ない、あるいは仕様が簡略化されたものです。
AS-1・AS-2、AS-J1など(公共建築の仕様記号)

国土交通省の公共建築工事標準仕様書/公共建築改修工事標準仕様書では、防水の種別をAS-1、AS-2(改質アスファルトシート防水の種別)や、AS-J1(改質アスファルトシート防水の種別)などの記号で整理しています。

(参考:公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)|国土交通省

見積書の記号が示すのは、工法(密着/絶縁など)や工程・材料の組合せなので、「記号=寿命」ではなく、仕様内容(層構成・保護・端末納まり等)まで確認することが大切です。

一般の方には難解な記号ですが、要は「防水シートを何層重ねて、どのくらい厚みを持たせるか」「湿気を逃がす仕組みがあるか」の違いです。

当然、層数が多い(スペックが高い)ほど耐用年数は延びますが、材料費と手間賃で費用も上がります。

もし見積書に知らない記号があれば、遠慮なく私たちに「これは具体的にどんな仕様ですか?」と聞いてください。

勾配1/100の重要性と立上りの納まり

防水層の寿命を縮める最大の敵、それは紫外線でも熱でもなく、実は「水たまり」です。

アスファルト防水は水に強い素材ですが、それでも長期間水に浸かり続けると、成分の変質や苔・藻の発生を招き、劣化スピードが格段に早まります。

屋上の床面には、雨水をスムーズにドレンへ導くための勾配が必要です。防水の設計・施工指針では、排水のための勾配としておおむね1/100~1/50程度を目安に示す整理もあります(建物条件・納まりで調整)。

しかし、古い建物や施工精度が低い建物では、この勾配が取れておらず、雨が降るたびに大きな水たまりができていることがあります。

改修工事の際は、ただ上から防水するだけでなく、この「水たまり問題」を解決することが重要です。

凹んでいる部分に樹脂モルタルなどの下地調整材を充填して不陸(凸凹)を直し、水が流れるようにしてから防水層を作る。これだけで、次の防水の持ちが5年、10年と変わってきます。

せっかく工事をしたのに水たまりが残ってしまうリスクや、その解消法については、『防水工事後の水たまりは大丈夫?原因と対策を解説』の記事で原因と対策を掘り下げています。

また、「立上り(床と壁の境界部分)」の納まりもプロが一番気にするポイントです。立上りは地震の揺れで最も負荷がかかる場所であり、かつ重力で防水層がダレてきやすい場所でもあります。

立上りのシートの端部(端末)を専用の金物でガッチリと押さえ、高品質なシーリング材で隙間なく処理する。この「端末処理」の良し悪しが、職人の腕の見せ所であり、雨漏りリスクを左右する要となります。

屋上の断面イラストを用い、水たまり対策の勾配、立上り端末の金物処理、2006年以前のアスベスト調査の重要性を示した図。

改修は何回まで可能?押え金物の点検ポイント

「屋上防水の改修って、上から重ね張りできるのは何回まで?」という質問もよくいただきます。重ね張り(オーバーレイ)の可否や回数は、既存層の状態・納まり・雨仕舞・そして建物の荷重条件で変わります。

現場では「何度も重ねるのはリスクが上がる」ため、回数は慎重に判断し、必要に応じて撤去も含めて検討するのが基本です。

また、重ね張りを行う際は、既存防水層に含まれる水分が熱で気化して「膨れ」を起こさないよう、脱気筒(脱気装置)の設置が欠かせません。

この装置の役割や、なぜ改修工事で重要なのかについては、『防水工事の脱気装置とは?役割や必要性を現場のプロが解説』の記事で詳しく解説しています。

また、重量については工法や仕様により異なり、一律に示すことはできません。軽量な仕様では数kg/㎡程度のものもありますが、複数層を積層する従来工法では相応の重量となります。

なお、保護コンクリート等を載せる場合は別途大きな荷重要因になるため、設計条件の確認が重要です。

もし、すでに2回以上の重ね張り改修が行われている屋上の場合は、3回目の改修時期が来たら、コストはかかりますが一度全ての防水層を撤去して、コンクリート下地を露出させる「リセット」をおすすめします。

なぜ重ね張りは「回数制限」があるのか?

現場で「3回目以降の重ね張りは慎重に考えましょう」とお伝えするのは、単に剥がれやすくなるからだけではありません。実は、建物の「重さ(荷重)」が大きな問題になるんです。

防水層って意外と重いんです
仕様にもよりますが、改質アスファルトシート防水を1層重ねるごとに、1㎡あたりおよそ5kg〜10kg、重い仕様だと20kgを超えることもあります。

建物全体では「数トン」の差に
広い屋上だと、重ね張りをするたびに「ゾウ一頭分」くらいの重さが上乗せされるイメージです。

屋上が重くなると、地震の際の揺れ(慣性力)が大きくなりやすいうえに、重みで下地がわずかにたわんで、解消したいはずの「水たまり」がさらに悪化してしまうことも……。

ですから、すでに2回ほど改修を重ねている場合は、将来の資産価値と安全を守るために、一度古い層をすべて剥がす「リセット(撤去工法)」をご提案することが多いんです。

見落としがちな「押え金物」の劣化

防水改修の際、シートばかりに目が行きがちですが、忘れてはいけないのが「押え金物(アルミ製のアングルなど)」です。

これらは防水シートの端部を壁に固定している重要な部材ですが、経年劣化で固定しているビスが錆びて緩んでいたり、金物自体が腐食していることがよくあります。

ここが緩んでいると、台風の強風で防水シートがめくれ上がったり、隙間から雨水が侵入して防水層の裏側に回ってしまう原因になります。

見積もりを見る際は、単に「防水工事一式」となっているだけでなく、「金物撤去・新設」や「端末シーリング処理」といった項目が含まれているかを確認してください。

防水工事の際は、これら金物の交換費用も予算に含めておくことが、長期的な安心につながります。

まとめ:アスファルト防水の耐用年数を伸ばす

アスファルト防水は非常に信頼性の高い工法ですが、放置すれば確実に劣化し、最終的には建物全体に深刻なダメージを与えます。耐用年数の目安である13年〜15年を待たず、10年を過ぎたら一度プロによる点検を受けるのが理想的です。

私たちステップペイントでは、現在の防水層の状態を正確に診断し、「まだ部分補修で延命できるのか」「全体的な改修が必要か」「撤去すべきか、それともコストを抑えて重ね張り(かぶせ工法)すべきか」を、お客様の建物の状況と予算、そして今後の建物の運用計画に合わせて正直にご提案します。

もし屋上の状態で気になることがあれば、どんな小さなことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

「雨漏りを直す」から「計画的に資産を守る」への意識転換と、築10年を過ぎた際のプロ診断を推奨するメッセージ。
記事のまとめ
  • アスファルト防水の標準耐用年数は露出で約13年、保護(押え)で約17年とされるが、環境で変動する。
  • A-1などの仕様記号は防水層の厚みや工法を表し、スペックによって寿命と費用が変わる。
  • 改修での重ね張りは重量負担を考慮し、2回程度までが限界の目安。
  • 水たまりを作る勾配不良や、立上り端末の金物劣化は寿命を縮めるため、改修時に必ず是正する。

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