こんにちは！ステップペイントの現場担当、土橋 昭です。

外壁塗装を検討し始めると、「高圧洗浄」という言葉を必ず耳にしますよね。塗装工事の最初のステップですが、この高圧洗浄の時間について、皆さんは意外と多くの疑問をお持ちのようです。

「作業時間はどのくらいかかるの？」「洗浄が終わったらすぐ塗れるの？ 乾燥時間は必要？」「作業は何時から何時までやるんだろう…」「高圧洗浄って、うるさいって本当？」「水道代は家主負担なのかな？」「時間が短いと手抜き？」「当日の注意点、例えば窓の施錠や洗濯物、エアコンの使用はどうすればいい？」「シーリング（コーキング）との順番は？」など、気になることがたくさんあるかと思います。

高圧洗浄は、塗装の仕上がりと耐久性を左右する非常に重要な工程です。私、土橋が現場の経験から、皆さんの「高圧洗浄の時間」に関する様々な疑問に、分かりやすくお答えしていきますね。

外壁塗装で高圧洗浄の作業時間が重要な理由

外壁塗装の工程で、高圧洗浄は「ただの掃除」だと思われがちですが、実は違います。これは塗装の密着性を最大化するための「最も重要な下地処理」の一つなんです。

なぜなら、どれだけ高級な塗料を使っても、下地（壁）が汚れていては塗料がうまく食いつかず、数年で剥がれてしまうからです。

そうならないために、高圧洗浄で下地を完璧にクリーンな状態にする必要があるんですね。

このセクションでは、高圧洗浄の「時間」にまつわる3つの重要なポイント（所要時間・乾燥時間・作業時間帯）と、それがなぜ塗装品質に直結するのかを、現場の視点から詳しく解説しますね。

所要時間はどのくらい？

よく「高圧洗浄は半日で終わりますよ」と言われることもあるようですが、一般的な戸建て住宅の場合、私たちは少し異なる見方をしています。

あくまで目安ですが、一般的な30坪前後のお住まいで、外壁だけでなく「屋根」も一緒に洗浄する場合、大体7〜8時間、つまり「丸1日」はかかると考えていただくのが確実です。

なぜ丸1日もかかるのかというと、私たちは足場の上を移動しながら、屋根から壁へと「上から下へ」という原則を守って作業を進めるからなんですね。

さらに、洗浄ノズル（水の出口）を壁から適切な距離で保ち、一定のスピードで動かしながら、汚れを丁寧に取り除いていく必要があるからです。

単純に水をかけるのとはワケが違うんですね。

もちろん、外壁のみだったり、汚れが非常に軽かったりすれば、半日～6時間程度で終わることもあります。

ですが、もし「家全体を3時間未満で終わらせる」という計画なら、それは通常、少し不自然かもしれません。

極端に短い洗浄時間への懸念

あまりに所要時間が短い場合、それは「洗浄」ではなく、ただ「濡らしただけ」になっている可能性があります。汚れや古い塗膜が残ったまま塗装に進んでしまうリスクが考えられます。

見積もりや工程表を見て「あれ？」と思ったら、洗浄範囲（外壁だけなのか、屋根やベランダ、塀、土間コンクリートまで全て含まれているのか）とその内訳をよく見ましょう。

そして、なぜその時間で十分なのかを、契約前にしっかり確認することが大切ですね。

洗浄後の乾燥時間はどのくらい必要？

高圧洗浄が終わると、壁がとてもキレイになるので、すぐにでも塗装を始めてほしいと思うかもしれませんが、ここが品質を分ける大きな我慢どころです。

洗浄後は、外壁材（サイディングやモルタル）の表面だけでなく、その内部や、外壁のつなぎ目にある「シーリング目地」にも水分がたっぷり含まれています。

この水分が抜けきる前に塗装してしまうと、どうなるか。

塗料の中に水分が閉じ込められます。

そして、塗装後に気温が上がって日光が当たると、その閉じ込められた水分が蒸発しようとして水蒸気になり、塗膜を内側からプクーッと押し上げて「膨れ」や「気泡」を作ってしまうんです。

これが、塗膜の「早期剥離（はがれ）」といった最悪の不具合を引き起こします。

乾燥時間の標準は「24〜48時間」

私たちは、最低でも24時間（丸1日）は乾燥期間として設けることを標準としています。

特に、梅雨の時期や湿度が高い日、冬場（気温が低く水が蒸発しにくい）などは、48時間（丸2日）以上、しっかりと時間を置くことも珍しくありません。

工期が延びるのは不安かもしれませんが、ここで焦って塗装の品質を落としてしまっては元も子もありません。

私たちプロは、壁の材質や季節、天候を見ながら、最適な乾燥時間を見極めています。

作業時間帯は何時から何時まで？

高圧洗浄は、洗浄機の「エンジン音」と、高圧の水が壁に激しく当たる「バシャーー！」という衝突音で、工程の中でも特に大きな音が出ます。

そのため、住宅地での作業は、近隣の方々への配慮が不可欠です。地域の条例（騒音規制法など）にもよりますが、基本的には「日中帯」に行います。

具体的には、朝8時半～9時頃に作業を開始し、夕方17時頃には作業を終えるのが一般的なスケジュールです。音の出る作業は、早朝や夜間には行いません。

もちろん、日曜・祝日は騒音を考慮して作業を避ける（もしくは音の出ない養生作業などにする）のが通例ですね。

工期がどうしても厳しい場合、お客様と近隣の方のご理解を得た上で作業させていただくケースも稀にありますが、基本はお休みです。

近隣挨拶の重要性

ステップペイントでは、工事前に必ず近隣の方々へご挨拶に伺い、工事概要と工期、そして「高圧洗浄の日程（＝最も騒音と水しぶきが出る日）」を事前にお知らせするようにしています。

これにより、近隣トラブルを未然に防ぎ、施主様にも安心して工事期間を過ごしていただくことができます。

時間が短いと危険？

はい、これは「危険」と言えます。ただし、施主様や建物に直接的な危険が及ぶわけではなく、「塗装の品質」にとって非常に危険だ、という意味です。

高圧洗浄の目的は、目に見える泥やホコリだけでなく、以下のものを徹底的に洗い流すことです。

• 劣化した古い塗膜（チョーキング粉）
  壁を手で触ると白い粉がつく、あれです。これは古い塗料が紫外線で劣化したもので、この粉の上に塗ってもすぐに剥がれてしまいます。
• カビ・コケ・藻
  日陰や湿気が多い部分に発生する生物汚染です。

洗浄不足が招く「早期剥離」のリスク

洗浄時間を極端に短縮するということは、これらの汚れや古い塗膜、カビの胞子などが残ったままになる可能性が高いということです。

汚れた下地の上に新しい塗料を塗っても、塗料が壁にしっかりと「食いつく」ことができず、すぐに密着不良を起こします。

その結果、期待される耐用年数（10年や15年）を待たずに、塗膜が膨れたり、ペリペリと剥がれてきたりする恐れがあります。

カビ・コケがひどい場合は「バイオ洗浄」

特にカビやコケがひどい場合、水だけの高圧洗浄では不十分なことがあります。

表面はキレイになっても、目に見えない微生物が残存していると、塗装の下で再発し、塗膜を押し上げてしまうことがあるんです。

そういった場合は、専用の薬剤を使った「バイオ洗浄（薬剤洗浄）」で、カビや藻を根こそぎ殺菌・分解してから、高圧水で洗い流すのが非常に有効です。

少しコストは上がりますが、再発防止には絶大な効果がありますね。

坪数や汚れで変わる洗浄時間

「うちは30坪じゃないけど、時間はどのくらい？」というご質問も多いですね。洗浄時間は、主に以下の要因で大きく変わってきます。

• 住宅の規模（坪数・階数）
  当然ですが、洗浄面積が広ければ時間はかかります。
• 汚れの程度
  カビやコケがびっしり生えていると、それを除去するために通常より時間をかけて丁寧に洗浄する必要があります。
• 洗浄範囲
  外壁＋屋根が基本ですが、これに加えてベランダの内側、塀（フェンス）、土間コンクリート（駐車場など）も一緒に洗浄するかどうかで総時間は変わります。
• 建物の形状
  凹凸が多い複雑なデザインの家は、平面的な家よりも時間がかかります。

参考までに、一般的な目安をテーブルにまとめてみました。これはあくまで「外壁＋屋根」を洗浄する場合の目安としてご覧くださいね。

住宅規模・範囲	汚れ：軽度（築10年前後）	汚れ：重度（カビ・コケ多発）
〜30坪・外壁＋屋根	約6〜7.5時間	約7〜8時間超（薬剤併用を検討）
30〜40坪・外壁＋屋根	約6.5〜8時間	8時間以上（薬剤併用前提も）
40坪〜・外壁＋屋根	約7〜8時間超	8時間超（2名体制なども検討）

あくまで目安です

上記の表はあくまで一般的な目安です。実際の作業時間は、先ほど挙げた要因のほか、足場の組み方（作業動線）や、給排水の条件（水道の位置など）によっても変わってきます。

正確な所要時間は、やはり現場を一度拝見させていただき、お住まいの状況を診断した上でご提示するのが一番確実ですね。

外壁塗装で高圧洗浄する際にかかる時間や当日の注意点

洗浄の重要性はお分かりいただけたかと思います。

次に、実際に洗浄作業が行われる「当日」に、お客様（お施主様）に知っておいてほしいこと、そしてご協力をお願いしたいことを、現場から具体的にお願いする形でお話ししますね。

うるさい？騒音レベル

これは先ほども少し触れましたが、正直にお伝えすると、はい、かなり大きな音がします。

洗浄作業中は、高圧洗浄機の「エンジン音（またはモーター音）」と、高圧の水が壁に激しく当たる「衝突音」が継続的に発生します。

騒音のレベルは、だいたい65〜85dB（デシベル）と言われています。

東京都環境局が公表している「生活騒音」に関する資料（パンフレットなど）によれば、80dBは「地下鉄の車内」に相当し、「きわめてうるさい」レベルに分類されます。

（参考：都市部における 騒音の新しい目安 – 東京都環境局 (PDF)）

在宅ワーク・オンライン会議は困難かも

この騒音がほぼ一日中続くことになります。そのため、洗浄当日は、在宅でお仕事（特に静かな環境が必要なテレワークやオンライン会議）をされるのは、少し難しいかもしれません。

もし可能であれば、当日は外出を計画されたり、コワーキングスペースを利用されたりするのも一つの手ですね。

水道代は家主負担？

はい、高圧洗浄では、お住まいの状況や大きさにもよりますが、一般的な戸建て住宅（30坪程度）で1,000～3,000リットル程度（お風呂換算で約5～15杯分）の水を使用します。

この水道代については、お客様（お施主様）にご負担いただくのが一般的です。

これは、工事用の仮設水道を引くわけではなく、お客様宅の屋外にある水道メーターを通った水（＝お客様ご契約の水道）をお借りするためです。

「えっ、すごく高くなるんじゃ…」とご心配になりますよね。

この使用量（1,000～3,000リットル）を水道料金に換算すると、地域や契約内容にもよりますが、当月の水道代が、普段より大体1,000円から3,000円程度上振れするくらいが目安かなと思います。（※使用水量や地域の水道料金単価により変動します）

また、洗浄機やその他の機材のために、屋外の電源コンセントもお借りすることがほとんどですので、その点もご承知おきください。

井戸水（いどみず）をご利用の場合

もしご家庭で井戸水をお使いの場合は、塗装業者に必ず事前に伝えてください。

水圧や水質（サビや鉄分、不純物が多いなど）によっては、高圧洗浄機に使用できない場合や、不純物が壁に付着して塗装に適さない場合があるため、注意が必要です。

当日は窓の施錠を忘れずに

これは、高圧洗浄の当日、お客様に絶対に守っていただきたい最重要項目です！

「家中の窓という窓、すべて鍵をかけてください」

高圧洗浄の水圧は、皆さんが想像している以上に強力です。

もし窓の鍵がかかっていない（施錠されていない）と、水圧で窓が勝手に開いてしまい、室内に汚水が流れ込むという大惨事につながる恐れがあります。

「網戸にしてるから大丈夫」も禁物です。水圧で網戸が破れたり、隙間から水が侵入したりします。必ずガラス窓を閉め、ロック（クレセント錠）をかけてください。

施錠とあわせて換気扇もチェック！

窓の施錠と同時に、以下の点もご確認ください。

• レンジフード（台所の換気扇）
• お風呂やトイレの換気扇
• 24時間換気システムの給気口（壁にある丸いやつです）

これらも全て停止し、可能なら養生テープなどで内側から塞いでください。稼働させたまま洗浄すると、排気口から水や湿気が内部に侵入し、機器の故障の原因になることがあります。

当日の洗濯物やエアコンは？

洗浄当日の生活についても、いくつか注意点があります。

洗濯物について

洗浄当日は、洗濯物の外干し（ベランダやバルコニー含む）は絶対にお休みしてください。

もちろん、足場全体を「メッシュシート」という飛散防止ネットで覆ってはいます。

しかし、高圧洗浄の強力な水しぶきや汚水が、風にあおられてシートの隙間から回り込み、洗濯物が汚れてしまう可能性がゼロではないからです。

当日は申し訳ありませんが、室内干しでお願いしています。

エアコンの使用について

エアコンは、基本的には使用していただいて大丈夫です。

ただし、エアコンの室外機やその周辺（ドレンホースなど）も洗浄対象となります。

洗浄のタイミングで、室外機に水がかからないよう養生（カバー）をしたり、洗浄水が直撃したりするため、一時的に使用を停止していただくようお声がけすることがあります。

特に室外機が稼働したままだと、ファンから水を吸い込んで故障するリスクがあるため、洗浄中はご協力をお願いしますね。

シーリングと洗浄の順番は？

これは専門的な話になりますが、外壁のつなぎ目にあるゴム状の「シーリング（コーキング）」の打ち替え工事も一緒に行う場合、洗浄との順番が気になる方もいらっしゃいます。

「古いシーリングを剥がしてから洗うの？」「洗ってから剥がすの？」といったご質問ですね。

これ、実は業者さんによって考え方が分かれるんです。主に2パターンあります。

①「洗浄」が先 → 「打替え」が後（主流派）

メリット：現在、多くの業者さんが採用している主流の工法かなと思います。まず外壁全体を洗浄し、既存のシーリングについた汚れやカビも、外壁と一緒に一旦すべてキレイに洗い流します。

その上で、古いシーリングを撤去し、キレイな溝に新しいシーリングを充填できます。これにより、新しいシーリングの密着性が高まると考える工法です。

②「打替え」が先 → 「洗浄」が後（先打ち派）

メリット：先にシーリングを打ち替えて壁の隙間を完全に塞ぐことで、高圧洗浄の水が壁の内部（防水紙など）に侵入するリスクを最大限減らそうという考え方です。

特に、既存のシーリングがひどく劣化・欠損しており、そのまま洗浄すると内部に大量の水が入り込んでしまう恐れがある場合などです。

そうしたお住まいの劣化状況によってはこちらを選択する場合もあります。この場合、もちろん新しいシーリングが完全に硬化してから洗浄を行います。

どちらが正しい？

どちらが絶対的に正解というよりは、お住まいの劣化状況や、既存のシーリングの状態、使用する塗料（特に透明なクリヤー塗料など）によって、最適な工法を選ぶべきだと私は考えています。

ステップペイントでは、シーリングの増し打ち・打ち替えの工法についても、必ず事前に「なぜこの順番で施工するのか」という理由をしっかりご説明し、ご納得いただいた上で工事を進めています。

外壁塗装で行う高圧洗浄の作業時間についての要点

最後に、現場担当の土橋から、「外壁塗装の高圧洗浄」で失敗しないための「時間」に関する確認ポイントをまとめますね。

高圧洗浄は、見栄えを良くする「清掃」ではなく、塗料の寿命を決める「下地処理」です。この工程にどれだけ真摯に取り組むかで、5年後、10年後の壁の状態が大きく変わってきます。

施主様が確認すべき「3つの時間」

1. 所要時間

外壁＋屋根の洗浄で「丸1日（7〜8時間）」が標準です。

もし見積もり段階で「3時間で終わります」など、極端に短い時間を提示された場合は、「洗浄範囲（屋根や塀は入っているか？）」を確認してみてください。

あわせて、「その時間で十分な洗浄ができる根拠（例えばバイオ洗浄の薬剤散布時間を含んでいるかなど）」もしっかり確認しましょう。

2. 乾燥時間

洗浄後は「最低24〜48時間」の乾燥が必須です。「工期が詰まってるから」と洗浄当日の午後に塗装を始めるような業者は論外です。

「しっかり乾かす時間＝品質を担保する時間」だと考えて、焦らず待ちましょう。

3. 当日の準備

作業時間帯（日中）の騒音は避けられません。近隣への配慮は業者に任せつつ、ご自身は「窓の完全施錠」と「換気扇の停止」を徹底し、在宅が難しい場合は外出も検討しましょう。

高圧洗浄は、塗装の仕上がりを左右する大事な「下ごしらえ」です。この「時間」を適切に管理し、手間を惜しまないことが、職人の腕の見せ所でもあります。

ご自宅の坪数や汚れ具合で、具体的にどのくらい時間がかかるのか、当日はどうすればいいのかなど、不安な点がありましたら、ぜひ私たちステップペイントまでお気軽にご相談ください。

現場の状況に合わせて、しっかりご説明させていただきます！