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外壁のメンテナンスコラム

  1. 外壁のメンテナンスコラム
  2. つなぎ目が目立たないサイディングの選び方【決定版】

つなぎ目が目立たないサイディングの選び方【決定版】

つなぎ目が目立たないサイディングの選び方【決定版】

住宅の外壁選びで「つなぎ目が目立たないサイディング」を検索しているあなたは、おそらくデザイン性への意識が非常に高い方でしょう。

せっかくこだわって選んだおしゃれな外壁材も、パネル同士を縦横に区切る「線」、つまり隙間が目立つと、建物全体の美観が大きく損なわれてしまいます。

従来のサイディングは、この隙間をコーキング(シーリング)と呼ばれるゴム状の充填材で埋めるのが一般的でした。

しかし、このコーキングこそが曲者で、劣化しやすく汚れも目立つため、数年ごとにメンテナンスが必要という大きな課題を抱えていました。

しかし近年、ニチハやケイミューといった大手メーカーの技術革新は目覚ましく、この課題を根本から解決する「シーリングレス」という工法が登場しています。

特に「四方合いじゃくり」という技術は、パネル同士を精密にかみ合わせることで、まるで一枚岩かのような「サイディングに見えない」一体感のある仕上がりを可能にしました。

これにより、デザインの自由度は飛躍的に向上しています。

しかし、その一方で、この新しい技術を採用するにあたっては、多くの疑問や不安が伴います。

例えば、従来のコーキングが持っていた緩衝機能がなくなることで、シーリングレスの壁は地震に耐えられるのか。

似たような外壁材であるALCとの違いは何か。 そして何より、高度な技術を要する施工業者をどう見極め、メーカーの長期保証を確実に受けるためにはどうすればよいのか。

また、将来のメンテナンスで横目地を塗装する際に特別な注意点はないか。 これらの疑問を解消せずして、高価な外壁材を導入することはできません。

この記事では、つなぎ目が目立たないサイディングを実現するために必要な知識を網羅的に解説し、あなたの理想の外壁選びを力強くサポートします。

記事のポイント

  • サイディングのつなぎ目が目立つ根本的な理由
  • つなぎ目を目立たなくする「シーリングレス工法」の仕組み
  • 主要メーカー(ニチハ、ケイミュー等)の代表的な製品と特徴
  • 施工業者選びで失敗しないための重要なポイント
目次

つなぎ目が目立たないサイディングが求められる背景

そもそも、なぜ多くの人がサイディングのつなぎ目に悩まされ、シーリングレスのような新しい技術が求められるようになったのでしょうか。

まずは、従来の外壁が抱える根本的な課題から詳しく見ていきましょう。

  • なぜサイディングの隙間 目立つのか
  • コーキングの劣化による外観への影響
  • 横継ぎ目を塗装する際の課題と対策
  • サイディングに見えない仕上げの技術
  • ALCとサイディングの違い

なぜ隙間が目立つのか

現在、日本の戸建て住宅で最も多く採用されている外壁材が「窯業系サイディング」です。

これは、セメント質と繊維質を主原料とし、工場で高温高圧処理して成形されたパネル状の外壁材を指します。

現場で左官職人が塗り壁を仕上げる「湿式工法」とは対照的に、工場生産されたパネルを現場で張り付けていくため「乾式工法」と呼ばれます。

品質が均一で、工期が短く、デザインバリエーションが豊富なことから、瞬く間に主流となりました。

しかし、この「パネルを張り合わせる」という工法の特性上、パネルとパネルの間には必ず「継ぎ目(目地)」が生じます。

この継ぎ目(目地)は、デザイン上の弱点であると同時に、建物を守るために不可欠な機能を持っています。

防水性の確保

継ぎ目は、そのままでは雨水が浸入する最大の弱点となります。ここから水が入ると、壁の内部にある断熱材を濡らし、やがては建物の構造体(柱や梁)を腐食させる原因となります。

⒉緩衝材(クッション)としての役割

サイディングボード自体は非常に硬い素材ですが、季節による温度変化(夏の膨張・冬の収縮)や、地震・台風時の建物の揺れによって、常にわずかな動き(ムーブメント)が発生しています。

もし継ぎ目に「遊び」がなければ、ボード同士が押し合ったり、引っ張り合ったりして、ボード本体がひび割れたり、反ったりしてしまいます。

この2つの重要な役割を同時に果たすために、継ぎ目には「シーリング(またはコーキング)」と呼ばれる、粘弾性のあるゴム状の充填材が注入されます。

このシーリング材が、外壁表面に「線」として現れるため、どうしても隙間が目立ってしまうのです。

特に、濃い色や単色のサイディングを選ぶと、シーリングの線は悪目立ちしやすくなります。

たとえ外壁の色に合わせた「近似色」のシーリング材を選んだとしても、サイディング本体とシーリング材では材質が異なるため、光の当たり方や経年による色の褪せ方が異なります。

そして、数年後には結局目立ってきてしまうケースも少なくありません。

なぜ隙間が目立つのか
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コーキングの劣化による外観への影響

新築時には外壁の色と調和し、美しく仕上げられているコーキング(シーリング)ですが、その寿命は外壁材本体(塗膜が15年~30年)に比べて非常に短いという宿命を持っています。

一般的なコーキング材の耐用年数は、環境にもよりますが約5年~10年程度とされています。その最大の原因は、言うまでもなく太陽光に含まれる紫外線です。

コーキング材は、弾力性を保つために「可塑剤(かそざい)」という成分を含んでいますが、これが紫外線の影響で徐々に表面に溶け出し、失われていきます。

結果として、コーキングは弾力を失い硬化し、以下のような深刻な劣化症状を引き起こします。

コーキングの主な劣化プロセス

ブリード現象

初期段階で、溶け出した可塑剤が表面をベタベタさせます。

このベタつきが大気中のホコリや排気ガスを吸着し、シーリングの部分だけが黒ずんで見えるようになります。これが外観を損ねる第一の原因です。

肉やせ(痩せ)

可塑剤が抜け、コーキング材そのものの体積が減少して痩せていき、隙間が目立つようになります。

ひび割れ(亀裂)

弾力性を失ったコーキングが、建物のわずかな動きに追従できなくなり、表面に細かなヒビが入ります。

剥離・破断(切れ)

劣化が末期症状に達すると、サイディングボードとの接着面から完全に剥がれたり、コーキング自体が中央からブチッと切れたりします。

この剥離や破断が起きた状態は、もはや美観の問題ではありません。建物の防水機能に穴が空いた状態であり、雨水が壁の内部へ自由に浸入(漏水)してしまいます。

劣化は「美観」と「防水」と「費用」の問題

コーキングの劣化は、単に「見た目が古びて汚い」という美観の問題だけではありません。

ひび割れや剥離箇所から雨水が壁内部に浸入すると、断熱材の性能低下、カビの発生、さらには建物の構造躯体(柱など)の腐食へとつながります。

住宅の資産価値と寿命を著しく低下させる危険性があります。

そのため、一般的なコーキングは約10年に一度の周期で、古いコーキングを撤去して新しく充填し直す「打ち替え」という大規模なメンテナンスが不可欠です。

この工事には、高所作業のための「足場」を組む必要があり、1回のメンテナンスで数十万円の高額な費用が、建物を維持する限り繰り返し発生し続けるのです。

コーキングの劣化による外観への影響
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横継ぎ目を塗装する際の課題と対策

サイディングの継ぎ目には、縦方向(パネルの左右)だけでなく、横方向(パネルの上下)にも存在します。

多くの窯業系サイディングでは、横方向の継ぎ目はシーリングを露出させず、上のパネルが下に少し被さる「合いじゃくり(あいじゃくり)」という重ね合わせ構造になっています。

この構造は、雨水が上から下へ流れるという原則に基づき、水が浸入しにくいように工夫されたものです。

しかし、外壁のメンテナンスとして「塗装リフォーム」を行う際に、この横継ぎ目の処理が大きな課題となることがあります。

危険! 横継ぎ目の「水抜き穴」は絶対に塞いではいけない

サイディングの横継ぎ目の下部(重なりの下側)には、よく見ると意図的に小さな隙間や穴が設けられています。

これは「通気口」または「水抜き穴」と呼ばれるもので、施工上のミスではありません。

万が一、縦のシーリングの劣化などで壁の内部に雨水が侵入した場合や、室内からの湿気が壁内で結露した場合に、その水分を外部に排出するための非常に重要な「出口」なのです。

ところが、塗装リフォームの知識が乏しい業者が作業を行うと、見栄えを良くしようとして、この横継ぎ目の隙間を塗料でベッタリと塞いでしまうことがあります。

この出口を塞がれた湿気や水分は、壁の内部に閉じ込められます。

その結果、壁内部での結露が加速し、カビの大発生、サイディングボード自体の反りや変形を引き起こします。

特に寒冷地では、内部の水分が冬場に凍結・膨張し、サイディングの表面を内側から破壊する「凍害(とうがい)」という深刻な劣化を招く原因となります。

このため外壁塗装工事の際は、施工業者に「横継ぎ目の水抜き穴を塗料で塞がないよう、適切な施工管理をすること」を必ず確認・依頼する必要があります。

横継ぎ目を塗装する際の課題と対策
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サイディングには見えない仕上げの技術

これまでの解説の通り、従来のサイディングは、縦横無尽に入るシーリングの「線」が目立ちます。

そのため「パネルを張っているな」という印象(いわゆる「パネルを張った感」)を与えてしまうのがデザイン上の大きな欠点でした。

せっかく本物そっくりのリアルな石目調やタイル調のデザインを選んでも、シーリングの線がそのデザインを無慈悲に分断してしまうため、壁面全体としての一体感や重厚感が損なわれていたのです。

しかし近年、メーカー各社の技術開発により、この「パネル感」を払拭し、まるで本物の石張りや高級な塗り壁と見間違うような「サイディングに見えない」美しい仕上げが可能になってきました。

これを実現したのが、次章で詳しく解説する「シーリングレス工法」であり、その核となる「四方合いじゃくり」という革新的な技術です。

パネル同士の継ぎ目がデザインに溶け込み、ほとんど分からなくなることで、壁面全体にデザインの連続性が生まれます。

これにより、石目調やタイル調、あるいはスタイリッシュな木目調のデザインが持つ本来の質感が最大限に引き出され、圧倒的な重厚感や高級感を備えた外観が実現できるようになったのです。

例えば、ニチハの「ミルシュタイン」のような細かいタイル調のデザインは、このシーリングレス工法と組み合わせることで継ぎ目がほぼ完璧に隠蔽されます。

まるで職人が一枚一枚タイルを張ったかのような、非常に上品で美しい仕上がりになると高い人気を集めています。

サイディングには見えない仕上げの技術
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ALCとサイディングの違い

外壁材を検討する際、しばしば窯業系サイディングと比較対象になるのが「ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete:軽量気泡コンクリート)パネル」です。

ALCもサイディングと同様に、工場で厳密な管理のもと生産される「パネル」であり、現場で張り合わせていく「乾式工法」を採用しています。

そのため、誤解されがちですが、ALCにもパネル同士の継ぎ目(目地)は必ず存在します。

そのパネル間、入隅・出隅、サッシとの取り合いといった継ぎ目には、シーリング材が充填されます。

Information

ALC協会の技術資料でも標準工法として明記されています。(参考:ALC協会「ALCパネル取付け構法標準・同解説」

つまり、つなぎ目(シーリング)が経年劣化し、定期的なメンテナンス(打ち替え)が必要になるという点では、ALCも従来のサイディングも全く同じ課題を抱えているのです。

ALCは分厚くて高性能なイメージがあったけど、シーリングのメンテナンスからは逃れられないんですね…。

ALCと窯業系サイディングの主な違いは、その素材特性と厚みにあります。ALCは内部に無数の気泡を持つコンクリートであるため、非常に軽量でありながら高い断熱性や耐火性を誇ります。

一般的に外壁パネルの厚みは75mm~100mmクラスが多用されます(※用途や仕様により異なります)。

項目ALCパネル窯業系サイディング(一般的)
主な素材軽量気泡コンクリートセメント、繊維質原料
厚み(代表例)約75mm~100mm(※仕様により異なる)約14mm~21mm
重量(気泡により)比較的軽量重い(セメントが主原料のため)
断熱性◎ 優れている(気泡が断熱層)△ 素材自体はALCに劣る
耐火性◎ 優れている(法定耐火構造)○ 優れている(準耐火構造など)
目地処理シーリング(必須)シーリング(従来型) or シーリングレス(新型)

このように、ALCは断熱性や耐火性において優れた性能を発揮しますが、シーリングのメンテナンスは不可欠です。

一方で、窯業系サイディングはALCほどの厚みはありませんが、技術革新により「シーリングレス工法」というメンテナンスフリーと美観を両立する選択肢が生まれています。

これが、今回のテーマにおける両者の決定的な違いと言えるでしょう。

ALCとサイディングの違い
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つなぎ目が目立たないサイディングの実現方法

従来のサイディングが抱える課題を理解した上で、いよいよ本題である「つなぎ目を目立たなくする」ための具体的な実現方法について、その核心技術から詳しく解説していきます。

  • シーリングレス工法の仕組み
  • 四方合いじゃくりのメリット
  • ケイミューなどのメーカー製品
  • シーリングレス 地震への影響は
  • 信頼できる施工 業者の見極め方
  • 製品保証とメンテナンス
  • つなぎ目が目立たないサイディングの選び方

シーリングレス工法の仕組み

つなぎ目が目立たない外観を実現するための最も効果的かつ主流な方法が、「シーリングレス工法」です。これは別名「ドライジョイント工法」とも呼ばれます。

この工法は、サイディングパネル同士が接合する部分、特に目地が目立ちやすい左右(縦方向)の接合部に、シーリング材を表面に露出させずに施工する画期的な技術です。

シーリング材という「消耗品」に頼るのではなく、サイディングパネルの端部をあらかじめ工場で精密に特殊形状に加工します。

そして、それらを現場でパズルのように強固にかみ合わせることで、防水性と気密性を確保します。

パネル同士がかみ合うため、継ぎ目がデザインに溶け込み、壁面全体がフラットで一体感のある仕上がりとなります。

これにより、シーリングの劣化による黒ずみやひび割れといった美観を損ねる心配が根本から解消されます。

重要:「シーリングゼロ」ではない点に注意

「シーリングレス」という名称から、「家全体のシーリングが全くのゼロになる」と誤解されがちですが、それは正しくありません。

シーリングレス工法(ドライジョイント工法)は、あくまで「壁の平面部分(面<つら>)、特に目立ちやすい縦目地のシーリング」を不要にする技術です。

したがって、以下の箇所は、構造上、依然としてシーリングによる防水処理、または専用部材(役物)による納めが必要となります。

  • 窓やドアのサッシまわり
  • 換気フードやエアコン配管などの貫通部
  • 軒天(天井)や基礎との取り合い部分
  • 建物の角(出隅・入隅)

ただし、ニチハの「Fu-ge」などの高機能システムでは、建物の角や開口部についても、シーリングを露出させない専用の役物が用意されています。

とはいえ、これらを適切に用いることで、シーリングが露出する箇所を極限まで減らし、美観をさらに高めることが可能です。

外壁全体で最も面積が広く、最も目立ち、最も劣化しやすかった「壁面の縦目地」のシーリングが不要になるメリットは大きいです。

特に、メンテナンスコストと美観の維持において計り知れないほどの効果があると言えます。

(参考:四方合いじゃくり(シーリングレス仕様)|窯業系外壁材|商品情報|ニチハ株式会社

シーリングレス工法の仕組み
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四方合いじゃくりのメリット

この画期的なシーリングレス工法を支える核心技術、それが「四方合いじゃくり(しほうあいじゃくり)」です。

まず「合いじゃくり」とは、古くから木工などで用いられる接合技術の一つで、2枚の板を接合する際に、それぞれの板の厚みを半分だけ削り取り、互いを重ね合わせる方法を指します。

この時、削り取って凹凸になった部分を「実(さね)」と呼びます。この構造により、単純に突き合わせるよりも防水性や気密性が高まります。

従来の一般的なサイディングは、雨水が上から下に流れるため、上下(横方向の継ぎ目)のみがこの「合いじゃくり」構造になっていました。

しかし、左右(縦方向の継ぎ目)は、単なる「突き合わせ」でした。そのため、この縦の隙間を埋めるために、シーリング材が絶対に必要だったのです。

四方合いじゃくりとは

これに対し、「四方合いじゃくり」は、その名の通り、サイディングパネルの上下左右(四方)すべてに、この「合いじゃくり加工(実)」を施したものです。

これにより、シーリングが必須だった縦方向の継ぎ目も、パネル同士が凹凸でガッチリとかみ合う形になります。

この機械的な接合により、シーリング材に頼らずとも、風雨の侵入を防ぐ高い防水性能を実現できるのです。

四方合いじゃくりがもたらす絶大なメリット

圧倒的な美観の向上

壁面を分断していた縦のシーリング目地がなくなる(または大幅に減る)ことで、まるで一枚の壁のような、途切れのない一体感のある美しい外観が実現します。

石目調やタイル調のデザインも、その質感を損なうことなく表現できます。

劇的なメンテナンスコストの削減

最も劣化が早く、定期的な打ち替えが必須だった壁面のシーリングが不要になるため、将来的に発生するメンテナンス費用(シーリング工事費+足場代)を大幅に削減できます。

新築時の美しさを持続

「シーリングの黒ずみ(ブリード現象)」や「ひび割れ」といった、建物が古びて見える最大の原因が根本から解消されるため、新築時の美しい外観を長期間にわたってキープできます。

四方合いじゃくりのメリット
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ケイミューなどのメーカー製品

ケイミューなどのメーカー製品 つなぎ目が目立たないサイディングは、主に外壁材の大手メーカーから高付加価値製品として提供されています。

各社のアプローチには特徴があり、どれが最適かはデザインの好みや予算によって異なります。

Information

保証年数や製品仕様は変更される場合があるため、必ず最新のカタログや公式ウェブサイト、保証約款で詳細を確認してください。

ニチハ「Fu-ge(フュージェ)」

四方合いじゃくりと「ドライジョイント工法」を採用した、シーリングレスサイディングの代表格ともいえる製品シリーズです。

塗膜(塗装)の耐久性にも非常に力を入れている点が特徴です。

例えば、超高耐候塗料「プラチナコート」や、さらにその上位グレードである「プラチナコート30」といったラインナップがあります。

これらは製品・仕様・条件に応じて長期の製品保証を提供しています。

また、「ミルシュタイン」(タイル調)や「シントア」(石目調)、「COOL」(モダンなライン柄)など、継ぎ目の目立ちにくさを活かした多彩なデザインが揃っています。

Information

代表的なタイル調製品であった「ミルシュタイン」は2025年2月に生産中止となりましたが、後継製品として「ミルシュタインプレミアム」が提供されています。

旭トステム外装「AT-WALL」

ニチハと同様に、古くからシーリングレス工法に注力してきたメーカーです。

乾式納まりのための専用役物やジョイナー(例:「カンシキくん」シリーズ)を用いた「ドライジョイント工法」を推進しています。

主力製品「ガーディナル」シリーズは18mm厚の重厚感が特徴です。

塗膜には超耐候性のフッ素樹脂塗料などを採用し、製品・仕様に応じた長期保証を提供しています。

(参考:カンシキくん詳細 | ガーディナル | 外壁・外装メーカーの旭トステム外装株式会社

Information

旭トステム外装の窯業サイディング「AT-WALL」シリーズは、2025年11月に生産終了、2026年3月末で事業撤退が決定しています。現在検討中の方は、メーカーや販売店に最新の情報を必ず確認してください。(参考:窯業サイディングの事業終了について|Newsroom|LIXIL

ケイミュー「光セラ」シリーズなど

ケイミューは、上記2社とは異なるアプローチも得意としています。もちろんシーリングレス対応製品もありますが、もう一つの柱が「高耐久シーリング」との組み合わせです。

高耐久シーリングによる対応

スーパーKMEWシール」という、30年相当の耐久性を持つとされる非常に高性能なシーリング材を開発しています。

これは、促進耐候性試験(※メーカー公表値)において高い耐久性(例:30年相当)が示されているもので、シーリングの寿命を外壁材本体に近づけるアプローチです。

デザインによる目立たない工夫

光セラ」(光触媒で汚れを分解し、雨で洗い流す塗膜)シリーズには、「ピオニエ」や「マレストーン」のようにデザインの凹凸や模様が非常に複雑なものがあります。

こうした製品は、たとえシーリングを打ったとしても、その継ぎ目がデザインの陰影に溶け込み、結果として目立ちにくくなる効果が期待できます。

(参考:超耐久・低汚染タイプのシーリング材 スーパーKMEWシール|外壁材|外壁材・屋根材・雨といのケイミュー

シーリングを物理的に無くす「ニチハ」「旭トステム」か、シーリング自体の耐久性を極限まで高めるかデザインに溶け込ませる「ケイミュー」か…。

これは悩みどころですね。ライフサイクルコストと好みのデザインで判断することになりそうです。

ケイミューなどのメーカー製品
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シーリングレスで地震への影響は?

従来のシーリングが果たしていた重要な役割の一つに、「地震の揺れを吸収するクッション(緩衝材)」機能がありました。

そのため、「シーリングレスでパネルを固定すると、揺れの『逃げ場』がなくなり、ボード本体が割れるのでは」と心配される方もいらっしゃいます。

この点について、「シーリングレス工法=耐震性が劣る」と一概には言えません。

シーリングレス工法(ドライジョイント)は、パネル同士を完全に固定するわけではなく、かみ合っている「実(さね)」の部分に、意図的に精密な「クリアランス(遊び)」を設けています。

地震によって建物が揺れると、この「遊び」の範囲内でパネルがわずかに動く(挙動する)ことで、エネルギーを逃がすように設計されています。

ただし、実際の耐震挙動は、製品ごとの仕様(パネル本体、専用金具、役物)や、定められた施工方法に大きく依存します。

メーカー各社は、製品開発の段階で厳しい振動実験(耐震実験)を行い、その性能を確認しています。

性能を確実に発揮させるためにも、メーカーの公開資料(技術資料や施工動画など)で仕様を確認し、指定された施工方法(標準施工マニュアル)を順守することが絶対的な前提となります。

適切に施工されたシーリングレス工法は、地震後にシーリングが切れて雨水が浸入し、構造躯体が劣化するリスクを低減できる点で、建物の長期的な健全性維持に貢献するとも言えます。

シーリングレス 地震への影響は
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信頼できる施工業者の見極め方

つなぎ目が目立たないサイディング、特に「Fu-ge」や「AT-WALL」に代表される高機能なシーリングレス工法を選ぶ上で、最も重要なのが「施工 業者選び」です。

断言しますが、業者の技術力次第で、結果は天国と地獄に分かれます。

なぜなら、シーリングレス工法は、従来のシーリングのように「多少の隙間は後でシーリング材が埋めてくれる」といった「ごまかし」や「施工の遊び」が一切効かないからです。

施工不良は「即・雨漏り」に直結する

シーリングレス工法は、パネル同士の精密な「かみ合わせ」と、目地底やサッシまわりに使う「専用部材」によって防水性を担保しています。

施工業者の技術力や知識が低く、かみ合わせに隙間が生じたり、専用部材の取り付けを間違えたりすれば、そこは防水層のない「ただの穴」となり、雨水の浸入口となります

どんなに高価で高性能な外壁材を選んでも、施工が伴わなければ性能はゼロどころか、深刻な雨漏りを引き起こす欠陥住宅になってしまうのです。

では、どうすれば信頼できる業者を見極められるのでしょうか。以下のポイントを絶対に確認してください。

メーカーの認定施工店であるか(大前提)

ニチハの「保証システム登録工事店」や旭トステム外装の「AT-WALL施工登録店」など、各メーカーは正しい施工知識と技術を持つ業者を認定しています。

メーカーの長期保証を受けるための大前提となるため、必ず確認しましょう。

見積書や仕様書に「純正部材」と「標準施工の遵守」が明記されているか(最重要)

認定店」であることに加え、「今回の工事で」正しい施工が行われる証拠を書面で得ることが最も重要です。

シーリングレス工法は、メーカー指定の専用部材(ジョイナー、役物、指定シーリング材など)を用い、「標準施工要領書(マニュアル)」を遵守して初めて性能を発揮します。

(例:ニチハのドライジョイント解説や、旭トステムの「カンシキくん」システムなど、専用部材の使用が前提です。)

したがって、見積書や施工計画書に「外壁工事 一式」としか書かれていない業者は論外です。以下の点が具体的に明記されているかを厳しくチェックしてください。

  • 使用するサイディング本体(製品名・品番)
  • 使用する全ての専用部材(製品名・品番)
  • 「メーカー標準施工要領書を遵守する」という一文

これが曖昧な業者は、純正品を使わない(=保証対象外になる)可能性があり、信頼できません。

シーリングレス工法(ドライジョイント)の施工実績が豊富か

「認定店」であり、見積書も完璧であっても、実際の現場経験がなければ不安です。

「Fu-ge」や「AT-WALL」のドライジョイント工法を実際に何件施工したか、可能であれば施工中の写真(専用部材を正しく使っているか)なども見せてもらいましょう。

信頼できる施工 業者の見極め方
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製品保証とメンテナンス

シーリングレスサイディングを選ぶ大きな魅力の一つに、メーカーが提供する長期的な製品保証があります。

例えば、ニチハの「プラチナコート30」は、塗膜(塗装)の変色・褪色に対して30年という、従来では考えられなかったほどの長期保証をうたっています。

Information

この保証は沖縄県の物件を除き、保証対象者は元請会社(住宅会社、工務店)となります。また、施工後21年以降は査定額による返金対応となるなど詳細な条件があります。

しかし、この非常に手厚い保証には、極めて厳格な適用条件があることを絶対に忘れてはいけません。

保証が「無効」になるケース

メーカーの長期保証は、「製品そのもの」だけに適用されるのではありません。それは「システム」に対する保証です。

つまり、「メーカー指定の純正部材(パネル、専用部材、指定シーリング材)をすべて使い、認定施工業者が標準施工マニュアル通りに正しく施工した場合」にのみ有効となります。

例えば、以下のようなケースでは、たとえ壁面にFu-geを使っていても保証は無効となります。

  • コストダウンのため、窓まわりのシーリング材をメーカー指定品(例:ニチハのプラチナシール)ではなく、安価な汎用品を使った。
  • メーカーの認定を受けていない施工業者が施工した。
  • 施工業者が知識不足で、専用のジョイナーやガスケットを入れ忘れた。

施工業者と契約する際は、「メーカー保証を申請するために必要な部材と施工方法を遵守すること」を書面で約束させることが重要です。

シーリングレスでも「残った箇所」のメンテナンスは必要

前述の通り、シーリングレス工法でも「窓まわり」「換気口まわり」「建物の角(役物を使わない場合)」など、部分的にシーリングを使用する箇所は残ります。

これらの箇所には、「スーパーKMEWシール」や「プラチナシール」といった超高耐久なシーリング材が使われるのが一般的ですが、それでも「永遠に持つ」わけではありません。

壁面のメンテナンスは大幅に削減されますが、10年~15年に一度は、これらの残ったシーリング箇所にひび割れや剥離がないか、専門家による定期点検を受けましょう。

この点検により、必要に応じて部分的な補修(増し打ちや打ち替え)を行うことが、家を長持ちさせる秘訣です。

製品保証とメンテナンス
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つなぎ目が目立たないサイディングの選び方

この記事では、外壁の美観とメンテナンス性を両立する「つなぎ目が目立たないサイディング」について、背景から核心技術、製品選び、施工の注意点まで網羅的に解説してきました。

最後に、後悔のない外壁選びを実現するための重要なポイントをまとめます。

  • つなぎ目が目立たないサイディングを選ぶことは美観の維持に重要
  • 従来のサイディングはコーキング(シーリング)の劣化が課題
  • シーリングは紫外線で劣化しひび割れや黒ずみを起こす
  • シーリングのメンテナンスには高額な足場代が繰り返し必要
  • シーリングレス工法は壁面のシーリングを大幅に減らす技術
  • シーリングレスの核心技術が「四方合いじゃくり」
  • 四方合いじゃくりはパネルの四辺をかみ合わせる仕組み
  • ニチハの「Fu-ge」は四方合いじゃくりを採用した代表製品
  • 旭トステム外装も「カンシキくん」でシーリングレスを推進
  • ケイミューは高耐久シーリングや目立ちにくいデザインも得意
  • シーリングレスでも窓まわりなどシーリングが残る箇所はある
  • シーリングレス工法は地震の揺れを逃がす設計になっている
  • サイディングに見えない石張り調やタイル調のデザインが可能
  • ALCは断熱性が高いがシーリングメンテナンスは必要
  • 横継ぎ目の穴(通気口)は塗装で塞いではいけない
  • シーリングレス工法の成功は施工業者の技術力に依存する
  • メーカーの認定施工店に依頼することが非常に重要
  • メーカーの長期保証は純正部材と正しい施工が条件
  • 保証条件を満たすため見積書で専用部材を必ず確認する
  • 残ったシーリング箇所の定期点検は引き続き必要


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