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外壁のメンテナンスコラム

  1. 外壁のメンテナンスコラム
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サイディングの隙間「あいじゃくり」とは?危険性と補修方法を徹底解説

サイディングの隙間「あいじゃくり」とは?危険性と補修方法を徹底解説

ご自宅の外壁サイディングにふと目をやった時に気になる隙間を見つけて、「このくらいの隙間なら大丈夫だろうか?」「修理にはいくらかかるんだろう?」と不安な気持ちになっていませんか。

特に、サイディングボードのつなぎ目である「あいじゃくり」と呼ばれる部分の開きや、目地(めじ)を埋めているコーキングのひび割れは、単なる見た目の問題では済みません。

それは、住まいの寿命を静かに縮めていく危険なサインかもしれないのです。

放置すれば、雨漏りや構造体の腐食といった深刻なトラブルに発展する可能性があり、早急な点検と補修が不可欠です。

この記事では、外壁メンテナンスの専門家の視点から、サイディングの隙間やあいじゃくりが発生する根本的な原因、それを放置した場合に起こりうる具体的なリスク、そしてDIYで可能な範囲から専門業者による確実な補修方法まで、詳細にわたり解説します。

ご自宅の外壁が今どのような状態にあるのかを正しく理解し、資産価値を守りながら長く快適に住み続けるための、最適なメンテナンス計画を立てる一助となれば幸いです。

記事のポイント

  • サイディングの隙間の正体「あいじゃくり」の基本構造と役割
  • 小さな隙間が引き起こす、雨漏りや構造体腐食などの具体的な危険性
  • 応急処置としてのDIYと、根本解決を目指す業者依頼による補修方法の違い
  • 補修費用を抑えながら、家を長持ちさせるためのメンテナンスの秘訣

サイディングの隙間、あいじゃくりとは?基本を解説

外壁に隙間ができるのには必ず理由があります。まずは、その原因と構造、そして危険度を正しく理解することが、適切な対処への第一歩となります。

  • 隙間ができるのはなぜ?
  • どこまでが許容範囲?
  • 縦・横・下で違う隙間の危険度とは
  • 幅はどれくらいが適切なのか
  • 継ぎ目が目立つ原因はコーキング劣化

隙間ができるのはなぜ?

サイディング外壁に隙間が生じる原因は、一つだけではありません。多くの場合、「経年劣化」「建物の動き」「施工時の問題」という3つの要素が複雑に絡み合って発生します。

最も一般的で避けられない原因が、経年劣化です。外壁は24時間365日、過酷な自然環境にさらされています。

太陽からの紫外線はコーキング材の弾力性を奪い、昼夜の寒暖差はサイディングボード自体のわずかな伸縮や反りを引き起こします。

長年、この繰り返しにより、ボード同士の接合部やコーキング部分に徐々に隙間が生まれてしまうのです。

特に、コーキング材に含まれる「可塑剤」という柔軟性を保つ成分が紫外線で分解・流出すると、ゴムのような弾力性が失われ、ひび割れや肉やせといった劣化症状が顕著になります。

次に、建物の動きも大きな要因です。地震や大型車両の通行による振動、地盤のわずかな変動によって、建物全体には常に力が加わっています。

木造住宅の場合は、構造材である木材が湿気を吸ったり吐いたりすることで微妙に伸縮し、これが外壁にズレや歪みを生じさせ、結果として隙間を引き起こすことがあります。

そして見過ごせないのが、新築時やリフォーム時の施工不良です。

サイディングボード固定釘の打ち忘れや間隔が広すぎる、コーキング前の下地処理(プライマー塗布)が不十分といった問題は、通常より早く劣化を進行させ、隙間や剥がれの原因となります。

あいじゃくり(相決り)とは?

外壁の隙間を理解する上で最も重要なのが、サイディングボードのつなぎ目である「あいじゃくり」です。

「あいじゃくり(相決り)」とは、サイディングボードの側面(小口)に施された凹凸状の加工を指します。

この凹んだ部分(雌実:めざね)と凸部分(雄実:おざね)をパズルのピースのようにはめ込むことで、ボード同士を連結させます。

⒈正常な隙間(通気のための設計)

現在の住宅で主流となっている「通気工法」(外壁と防水シートの間に空気の通り道を設ける工法)では、壁内部の湿気を外部に排出することが建物の耐久性にとって非常に重要です。

そのため、サイディング製品によっては、あえて「あいじゃくり」の接合部に湿気を逃がすための微細な通気スリット(隙間)が設計されている場合があります。

この場合の隙間は、施工不良や劣化ではなく、建物の結露を防ぎ、寿命を延ばすために不可欠な「正常な設計」の一部です。

⒉異常な隙間(要点検・補修)

一方で、本来はまっていなければならない部分に、明らかな「開き」が生じている場合は注意が必要です。

  • サイディングボード自体の「反り」や「ズレ」
  • 地震や振動による建物の「歪み」
  • 新築時の施工不良(固定釘の間隔が広すぎるなど)

これらが原因で、あいじゃくり部分が開き、不均一な隙間や目立つ段差が生じている場合、それは「異常な隙間」です。

この隙間は、雨水が壁内部へ侵入する入り口となります。

外壁の防水機能は、まずサイディング本体(一次防水)が防ぎ、万が一侵入した水は内側の防水シート(二次防水)が防ぐという二重構造になっています。

あいじゃくりが開くと、一次防水が簡単に破られ、二次防水である防水シートや、その内側にある柱や断熱材に過度な負担がかかり、雨漏りや腐食のリスクを高めてしまうのです。

見極めのポイント

ご自宅のサイディングの隙間がどちらなのかを判断するのは難しいですが、以下は一つの目安となります。

  • 正常な隙間(の可能性が高い)
    • ボードに反りはなく、非常に微細な隙間(1〜2mm程度)が均一に空いているように見える。
  • 異常な隙間(の可能性が高い)
    • ボードが明らかに反っている、または浮いている。
    • 隙間が場所によって不均一(狭い所と広い所がある)。
    • 隙間が広く、名刺やクレジットカードの厚み(約0.5mm〜0.76mm)が差し込めるほどの開きがある。

あいじゃくり部分の隙間が「施工不良なのか、通気のための設計なのか」を正確に判断するのは、専門家でなければ困難です。

新築時に比べて隙間が目立ってきた、または隙間の大きさが不均一で気になる場合は、自己判断でコーキング材などを詰めたりするのはお勧めしません。

まずは施工業者や外壁診断の専門家に点検を依頼するのが最も確実です。

(参考:日本窯業外装材協会(NYG) 窯業系サイディング標準施工

隙間ができるのはなぜ?
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どこまでが許容範囲?

「新築なのにサイディングに隙間がある!」と驚かれるかもしれませんが、実は意図的に設けられた「正常な隙間」も存在します。

それは、サイディングボード同士の継ぎ目である「目地(めじ)」です。

この目地には、防水と緩衝の役割を担うコーキング材を充填するために、通常10mm前後の幅が確保されています。

この隙間は、前述した温度変化によるサイディングボードの伸縮や、地震の揺れといった建物のムーブメント(動き)を吸収するための「あそび」として、非常に重要な役割を果たしています。

もしこの「あそび」がなければ、ボード同士がぶつかり合って破損してしまいます。

つまり、コーキング材が適切に充填されている目地の隙間は、建物を守るために不可欠なものであり、全く問題ありません。一方で、許容範囲を超えた「危険な隙間」も存在します。

例えば、本来ぴったりはまっているはずの「あいじゃくり」部分が明らかに開いている、シーリングが目地の中央ではなく片側に寄っている、または薄すぎる、といった状態です。

これらは施工不良である可能性が極めて高いため、新築の場合は保証の対象になる可能性があります。

新築住宅の売主等は、住宅品質確保法に基づき「構造耐力上主要な部分」および「雨水の浸入を防止する部分」について、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任を負います。

外壁は後者(雨水の浸入を防止する部分)に該当するため、新築時の外壁の不具合は保証対象になり得ます。(参考:国土交通省「住宅品質確保法の概要」

保証期間内に速やかに連絡し、専門家による点検・補修を依頼することが重要です。引き渡し時には、外壁全体を様々な角度から注意深く確認しておくことを強くお勧めします。

どこまでが許容範囲?
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縦・横・下で違う隙間の危険度とは

サイディングの隙間は、発生している場所によって雨漏りを引き起こすリスクの高さが大きく異なります。

ご自宅を点検する際は、特に横方向の継ぎ目と、建物の最下部を重点的にチェックしてください。それぞれの場所における危険度の違いを、具体的なリスクと共に以下にまとめました。

隙間の場所危険度主なリスクと詳細
横の隙間(横張りサイディングの継ぎ目)★★★(非常に高い)重力に逆らわないため隙間部分に雨水が長時間滞留しやすく、毛細管現象(細い隙間に水が吸い上げられる現象)によって壁の内部に水が侵入するリスクが最も高い箇所です。あいじゃくりの不具合やコーキングの破断が直接的な原因となります。
下部の隙間(水切り・土台まわり)★★★(非常に高い)建物の基礎や土台といった構造上最も重要な部分に近いため、被害が深刻化しやすい箇所です。ただし、サイディング下端と水切りの間には「10〜15mmのクリアランス」を設けるのが標準施工であり、この部分はシーリングで塞がないのが正しい施工です(通気・排水を確保するため)。土台の腐食は建物の耐震性を著しく低下させるだけでなく、湿った木材を好むシロアリを呼び寄せる原因にもなります。
縦の隙間(縦張りサイディングの継ぎ目)★★☆(中程度)雨水は基本的に上から下に流れ落ちるため、横の隙間よりは水が浸入しにくいとされています。しかし、コーキングが劣化してひび割れや剥離が起きていると、台風のような横殴りの雨で容易に内部へ侵入します。
サッシ(窓)まわりや換気フードの隙間★★☆(中程度)壁と窓枠などの部材が接する「取り合い部」は構造が複雑なため、雨漏りの原因箇所として非常に多いです。コーキングの劣化が主な原因で、室内の壁紙のシミやカビといった症状に直結しやすい特徴があります。

このように、雨水が溜まりやすい横方向の隙間と、建物の心臓部である土台を直接傷める可能性がある下部の隙間は、特に深刻な被害につながりやすい箇所と認識しましょう。

重要な注意点として、最下端(サイディング下端と水切りの取り合い部)については、通気と排水を確保するために意図的に10〜15mmの隙間を設けてあります。

ここをシーリングで塞いでしまうと、かえって湿気が滞留して腐食やカビの原因となります。

この部分の隙間は「正常な設計」であることを理解した上で、定期的な点検を怠らないようにしましょう。

縦・横・下で違う隙間の危険度とは
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幅はどれくらいが適切なのか

サイディングの「隙間の幅」の適正値は、その隙間がどの部分を指しているかによって全く意味合いが異なります。

まず、サイディングボード同士を繋ぎ、シーリング材を充填するために設けられる「目地」の部分ですが、シーリング目地幅は一般に「約10mm」(1時間準耐火構造では10mm以下)を確保し、深さは5mm以上が標準です。

これはシーリング材の伸縮追従性を確保するための設計寸法であり、建物の動きに追従して長期にわたって防水性を維持するために必要なクリアランスです。

この幅が狭すぎるとシーリングの動きが制限され早期に破断し、逆に広すぎるとコストが増すだけでなく、紫外線を受ける面積が広がり劣化を早める可能性があります。

(参考:日本窯業外装材協会(NYG)標準施工/協会Webガイドライン

一方、ボード同士をはめ合わせる「あいじゃくり」部分については、前述の通り、通気のための「正常な隙間」と、ボードの反りや施工不良による「異常な隙間」があります。

異常な隙間かどうかを見極めるサインとして、名刺やクレジットカードの厚み(約0.5mm〜0.76mm)が入るほどの開きがないかを確認するのも一つの目安です。

ご自宅の外壁をチェックする際は、まず「目地のコーキング」に注目し、ひび割れや肉やせがないかを確認してください。

次に、サイディングボードが重なっている「あいじゃくり」部分に不自然な開きがないかを見てみましょう。この2点を定期的に確認するだけで、多くの劣化の初期症状を発見できます。

幅はどれくらいが適切なのか
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継ぎ目が目立つ原因はコーキング劣化

新築時に比べてサイディング外壁の継ぎ目が目立つ、黒ずんでいると感じる場合、最大の原因は隙間を埋めているコーキング(またはシーリング)の経年劣化です。

コーキング材は、柔軟な樹脂でできており、防水性や気密性を保つという極めて重要な役割を担っています。

しかし、紫外線や風雨に晒されることで、その性能は徐々に失われていきます。劣化の進行には以下のような段階があります。

コーキング劣化の進行プロセス

  1. 初期(〜5年)
    表面に汚れが付着し始め、弾力性が少しずつ低下する。
  2. 中期(5年〜8年)
    成分の可塑剤が流出し、厚みがなくなる「肉やせ」や、表面に細かな「ひび割れ(クラック)」が発生する。
  3. 末期(8年〜)
    弾力性が完全に失われ、サイディングボードとの接着面が剥がれる「剥離」や、コーキング自体が断裂する「破断」に至る。

これらの症状が一つでも見られる場合、コーキング本来の防水機能は著しく低下しており、継ぎ目から雨水が壁の内部へ自由に侵入できる状態になっていると考えなければなりません。 

サイディングボード本体の寿命が20年〜30年以上あるのに対し、コーキングの寿命は立地環境や使用材料にもよりますが、一般的に7年〜10年程度と短命です。

そのため、外壁のメンテナンス計画を立てる上で、このコーキングの打ち替え工事は最も重要な項目の一つとなります。

継ぎ目が目立つ原因はコーキング劣化
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サイディングの隙間やあいじゃくりの補修法

サイディングの隙間を発見した際、それを放置することがいかに危険であるか、そしてどのように対処すべきかを具体的に解説します。正しい知識が、あなたの大切な住まいを守ります。

  • 放置は危険!雨漏りと腐食のリスク
  • 注意すべき水切りや基礎まわりの隙間
  • 隙間を埋めるにはどうすれば?
  • 補修とセットで考えたい外壁の塗装
  • 補修は業者?DIYでできることとは

放置は危険!雨漏りと腐食のリスク

サイディングの隙間やコーキングの劣化は、単なる美観の問題ではありません。

これを「まだ大丈夫だろう」と放置することは、住まいの寿命を著しく縮める時限爆弾を抱えているのと同じです。

最も直接的で分かりやすいリスクが「雨漏り」です。隙間から侵入した雨水は、壁の内側にある防水シートや断熱材を湿らせ、徐々にその機能を奪っていきます。

やがて壁を貫通し、室内の天井や壁にシミ、カビとして現れます。この時点で気づいたとしても、すでに壁の内部では腐食がかなり進行しているケースがほとんどです。

さらに深刻なのは、壁内部にある家を支える柱・梁・土台といった構造体の腐食です。

木材は一度濡れると乾きにくく、常に湿った状態が続くと腐朽菌が繁殖し、木材の強度を著しく低下させます。これにより、地震発生時の倒壊リスクが格段に高まります。

また、湿った木材はシロアリを呼び寄せる格好の餌場となり、被害が家全体に広がる危険性もはらんでいます。

見えない場所で進行する二次被害の恐怖

サイディングの隙間から雨水が浸入すると、見えない壁の内部で深刻な二次被害が進行します。

現在の外壁の多くは、一次防水(サイディング)と二次防水(透湿防水シート)で建物を守り、その間の通気層で湿気を排出する「通気工法」で施工されています。

しかし、隙間やコーキングの劣化で一次防水が破綻すると、壁内部の二次防水(透湿防水シート)や断熱材の性能が低下し、湿潤化を招きます。その結果、以下のような問題が発生します。

  • 断熱材の機能不全
    湿気を含んだ断熱材は断熱性能が著しく低下し、「夏は異常に暑く、冬は底冷えする」といった住環境の悪化を招き、光熱費の増大にも繋がります。
  • 健康被害
    壁内部で発生したカビの胞子が室内にも飛散し、アレルギー性鼻炎や喘息、皮膚炎などの健康被害を引き起こす原因となります。
  • 高額な修繕費用
    広範囲の腐食は、外壁補修だけでは済まず、壁を剥がして柱を交換するなどの大規模リフォームが必要になります。費用が数百万円に達することも珍しくありません。

初期段階での数万円〜数十万円の補修を怠った結果、将来的にその何十倍もの出費が必要になることを理解しておく必要があります。

放置は危険!雨漏りと腐食のリスク

注意すべき水切りや基礎まわりの隙間

建物の数ある隙間の中でも、特に致命的なダメージにつながる可能性があるのが、「水切り金具」や「基礎」のまわりです。ここは建物の足元であり、家全体を支える最も重要な部分です。

「水切り金具」とは、外壁の最下部や窓の下などに取り付けられた「L」字型の金属製の部材です。

壁を伝ってきた雨水が土台や基礎に回り込むのを防ぎ、適切に地面へ排水するという重要な役割を担っています。

この水切り金具とサイディングボードの間に隙間が生じると、雨水が直接建物の土台部分に流れ込む道筋ができてしまいます。

土台は家全体の荷重を支えるまさに「縁の下の力持ち」です。

ここに水分が継続的に供給されると、木材の腐食やシロアリ被害をダイレクトに引き起こし、建物の耐久性に致命的なダメージを与えかねません。

また、コンクリートの基礎との間に隙間がある場合も同様に、地面からの湿気を吸い上げたり、跳ね返った雨水が侵入したりする原因となります。

普段はあまり意識しない場所かもしれませんが、定期的にしゃがんで下からのぞき込むようにして点検しましょう。

「変形はないか」「ゴミが詰まっていないか」「隙間が空いていないか」を確認する習慣をつけることが、住まいを長持ちさせる上で非常に重要なのです。

注意すべき水切りや基礎まわりの隙間
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隙間を埋めるにはどうすれば?

外壁の隙間(目地)を補修する際の標準的な方法は、原因となっている古いコーキングを新しくする作業です。これには「打ち替え」「増し打ち」という2つの代表的な工法があります。

打ち替え工法【推奨】

現在充填されている劣化したコーキングを、カッターナイフや専用工具を使って全てきれいに撤去し、目地を清掃します。

その後、新しいコーキング材とサイディングボードの密着性を高めるための接着剤(プライマー)を丁寧に塗布し、新しいコーキング材を隙間なく充填する方法です。

手間とコストはかかりますが、防水性能や耐久性を新品同様に回復させることができるため、最も確実で根本的な解決策と言えます。

通常、プロの業者による外壁メンテナンスでは、この「打ち替え」が標準工法となります。

増し打ち工法【応急処置】

既存のコーキングを撤去せず、その上から新しいコーキング材を重ねて充填する方法です。撤去の手間がないため、コストを抑えられ、工期も短縮できるというメリットがあります。

しかし、すでに劣化して剥離しかけている古いコーキングの上に施工しても、すぐに一緒に剥がれてしまうリスクがあります。

また、十分な厚みを確保できないため、耐久性も期待できません。

あくまで応急処置的な意味合いが強く、構造上コーキングの撤去が困難なサッシまわりの一部などで限定的に採用されることがあります。

あいじゃくりのズレやボードの割れの場合

隙間の原因がコーキングの劣化ではなく、サイディングボード自体の反りや割れ、あいじゃくりの嵌合不全である場合は、コーキングを補修するだけでは問題は解決しません。

その際は、損傷したボードのみを交換する「部分的な張り替え」や、専用のパテを使って欠損部を補修する方法が必要になります。

このような状態を発見した場合は、原因の特定が難しくDIYでの対応は困難なため、速やかに専門業者に診断を依頼しましょう。

隙間を埋めるにはどうすれば?
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補修とセットで考えたい外壁の塗装

サイディングの隙間を埋めるコーキング補修を検討する際には、ぜひ「外壁塗装」をセットで行うことを強くお勧めします。

これには、コスト面と機能面の両方で非常に大きなメリットがあるからです。

最大の理由は、「足場代の節約」にあります。2階建て以上の住宅で安全かつ高品質な作業を行うためには、建物の周りに足場を設置することが不可欠です。

実際、労働安全衛生規則では、高さ2m以上の場所で作業を行う場合、原則として足場(作業床)を設置することが定められています。(参考:厚生労働省(安衛則 抄・解説)

このため、外壁のコーキング補修や塗装といった高所作業には、安全対策としての足場設置が前提となるのです。

この足場の設置・解体費用は、工事費全体に占める割合も小さくありません。あくまで目安ですが、一般的な30坪程度の住宅で15万円〜25万円ほどかかるケースが多いです。

ただし、足場費用は工事規模や敷地の条件によって大きく変動しますので、具体額は見積りで確認することが重要です。

コーキング補修と外壁塗装を別々のタイミングで行うと、その都度この高額な足場代が発生してしまいます。

しかし、同時に行うことで、足場の設置が一度で済み、トータルのメンテナンス費用を大幅に削減できるのです。これは非常に合理的で賢い選択と言えるでしょう。

また、機能面と美観の観点からも同時施工が理想的です。

そもそも塗装の主な目的は、サイディングボードの表面に塗膜を形成し、防水性を高めてボード自体を紫外線や雨水から保護することにあります。

コーキングの劣化が目立ち始める築10年前後は、この塗膜の防水機能が低下してくる時期とほぼ一致します。

同時にメンテナンスを行うことで、外壁全体の防水性能を一度にリフレッシュできるのです。

さらに、新しいコーキングは色がきれいなため、色褪せた塗装面の中でコーキングのラインだけが白く浮き出てしまい、外観のバランスが悪くなることも防げます。

理想的なメンテナンスサイクルは、築10年を目安に「コーキング打ち替え」と「外壁塗装」をセットで行うことです。

このタイミングで一度しっかりリフレッシュしておけば、次の10年〜15年(使用する塗料のグレードによる)は安心して過ごせます。

トータルコストを抑え、住まいの資産価値を維持するためにも、ぜひ同時施工をご検討ください。

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補修は業者?DIYでできることとは

メンテナンス費用を少しでも抑えるために「自分で補修できないだろうか?」と考える方もいらっしゃるでしょう。

結論から申し上げますと、ごく限定的な範囲の応急処置であればDIYも不可能ではありませんが、基本的にはリスクが大きいため専門業者への依頼を強く推奨します。

DIYでできる範囲とその限界

DIYで可能なのは、あくまで「地上から手の届く範囲の、ごく軽微なひび割れ補修(増し打ち)の一時対応」までです。

本格的なシーリングの「打ち替え」施工には、プライマー塗布、バックアップ材による目地深さ調整、適切な目地寸法(幅約10mm・深さ5mm以上)の確保といった専門知識と技術が不可欠です。

これらの下地処理が不十分な誤施工は、早期の剥離や新たな漏水を引き起こす原因となります。

これはあくまで次の本格的なメンテナンスまでの「時間稼ぎ」に過ぎないと認識し、基本的には専門業者に診断・施工を依頼してください。

安易なDIYに潜む大きなリスク

費用を抑えるつもりのDIYが、かえって大きなトラブルや余計な出費を招くケースは少なくありません。

DIYのリスク

高所作業の危険性

2階部分など、脚立で届かない場所の作業は絶対にやめてください。毎年、脚立からの転落事故が後を絶ちません。命に関わる重大なリスクです。

不適切な施工による劣化促進

プライマーの塗り忘れや充填不足、材料の選定ミスなど、正しい知識と技術がなければ、施工した箇所からすぐに剥がれてしまいます。

かえって雨漏りのリスクを高める可能性すらあります。

仕上がりの悪さ

コーキングを均一に美しく仕上げるには熟練の技術が必要です。見た目がデコボコになり、家の美観を損ねてしまいます。

根本原因の見逃し

隙間の原因がコーキング劣化ではなく建物の歪みなどであった場合、表面的な補修では何の意味もありません。

結局、プロにやり直しを依頼することになり、撤去費用などが加算され、最初から頼むよりも高くついてしまうことが多々あります。

専門業者に依頼するメリット

初期費用はかかりますが、専門業者に依頼することで得られるメリットは計り知れません。

経験豊富なプロが建物の状態を正確に診断し、劣化の原因を突き止め、最適な補修方法を提案してくれます。

確実な施工による高い防水性と耐久性が得られるのはもちろん、工事に対する「保証」が付く場合が多く、長期的な安心感に繋がります。

まずは無料診断を行っている信頼できる業者を2〜3社探し、相見積もりを取って診断内容や提案、費用を比較検討することから始めるのが最も賢明な方法です。

補修は業者?DIYでできることとは
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サイディングの隙間やあいじゃくりを正しく知る

外壁に現れる小さな隙間は、お住まいが発している重要なメンテナンスのサインです。

そのサインを見逃さず、正しい知識を持って対処することが、大切なお住まいの寿命を延ばし、将来の予期せぬ出費を防ぐ鍵となります。

この記事で解説したポイントを、ご自宅のセルフチェックやメンテナンス計画にお役立てください。

  • サイディングの隙間の主な原因は経年劣化や建物の動き、施工時の問題
  • あいじゃくりはサイディングボード同士をはめ込むための凹凸形状の部分
  • 新築時の目地の隙間は熱膨張などを吸収するために意図的に設けられている
  • 雨水が溜まりやすい横方向や建物の下部の隙間は特に危険度が高い
  • コーキングを充填する目地の標準的な隙間幅は約10mm
  • あいじゃくり部分の隙間には、通気のための「正常な隙間」と「異常な隙間」がある
  • 継ぎ目が目立ってくる主な原因はコーキングの経年劣化
  • コーキングの寿命は一般的に7年から10年が目安とされる
  • 隙間を放置すると雨漏りや家の構造体(柱など)の腐食につながる
  • 壁内部の断熱材の劣化や健康被害を及ぼすカビ発生のリスクも高まる
  • 水切り金具や基礎まわりの隙間は建物の土台を直接傷めるため特に要注意
  • 基本的な補修方法は古いコーキングを撤去して新しくする「打ち替え」
  • 外壁塗装とコーキング補修は同時に行うことで足場代を節約でき効率的
  • 同時施工は家全体の美観を統一し、サイディング自体の保護にもつながる
  • 軽微な補修以外のDIYはリスクが高いため専門業者への依頼が強く推奨される

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